上海市で7月25・26日に中国最大規模の同人イベント・COMICUP(以下、CP)26が無事開催された。無事と表現したのは、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、本来5月開催だったイベントが6月に延期され、再び7月に延期された末の開催だったからだ。
上海では大きな感染拡大が起きなかったが、5~6月に北京などで感染が報告されるたびに本当に上海で開催できるのかと不安になったし、開催直前には大連で感染者が確認されて対策が強化されたため、もし上海で起きていた場合、CP26は再び延期、または中止になっただろう。
これまでCPには北京から何度も参加しているが、今回はサークル参加する友人からサークルチケットをもらい、その店番という名目で入場することができた。コロナによる変化を含めた今回のCPの様子を書き、備忘録代わりにしたい。ここでは上海に行くまでの登録や準備について書く。
CP26にサークルとして参加する友人は当然創作物を持って行くつもりであり、上海出発直前まで日本アニメの同人漫画及びグッズを製作する上で締め切りと闘いながら散々産みの苦しみを味わっていたが、自分の心配事は無事に上海に行けるのか、着いてもちゃんと行動ができて北京に帰れるのか、北京に帰っても何事もないか、だった。それはやはりコロナが関係していた。
今回の上海・北京間は片道4時間半かかる高速鉄道を使用したが、この切符もこれまでと違っていて、発券がなく電子チケットだった。チケットの電子化自体はコロナがきっかけではなく昨年からすでに始まっていたのだが、初使用の自分としてはちゃんと申請がされているのか、それに中国の「身分証」を所持していないわれわれ外国人はパスポートを使用するので、どのように改札ゲートを通過するのか考えると不安になった。
もう一つはホテルの予約であり、これも高速鉄道と同様に以前からパスポートナンバー及び名前(ローマ字)を入力するシステムだ。上海旅行の際はいつも安宿を取っていた。しかし友人が、半年以上海外(日本)に行けていないどころか中国国内の旅行も満足にできていないので、せめて出先の上海では良いホテルに泊まろう、湯船のある部屋を取ろうと言って五つ星ホテルを取ったので、じゃあ自分もとで友人とは異なるホテル(昆侖大酒店)を予約した。
一泊600元(約1万円)ほどで、でかい部屋やベッドもそうだが、デスクがあるのが非常にありがたかった。ここでならいくらでも「カンヅメ」できる。
・手応えのないデジタルへの不安
高速鉄道もホテルの問題は当時から考えても単なる杞憂にすぎないが、それ以上に気がかりだったのは健康コードだ。現在、中国各地ではその土地(省や市)特有の健康管理アプリをスマホに入れ、店舗や施設に入る際はそれを提示し、自身が感染の疑いがないことを証明しなければならない。自分が住んでいる北京も行き先の上海も感染リスクは低く、移動が原因でそのコードがグリーン(セーフ)からレッド(危険)に変わることはないのだが、しかし何か不都合が起きないかを考えてしまった。
ちなみにホテル予約時もホテル側に宿泊の条件をちゃんと確認し、PCR検査の証明は必要かとメールで聞いたところ、感染低リスクエリアに住んでいる人は不要と言われたのでその手間は省けた。一応北京ですでに検査をして「陰性」の証拠はあるのだが。
さらに今回のCP26はサークル参加者・一般参加者関係なく事前に実名と身分証(外国人などはパスポート)ナンバーの登録が必要だった。これもまた本当に登録できているのかが心配だった。
しかし実際は、高速鉄道のゲートはパスポートを機械で読み取り、上海に着いても健康コードは正常に起動し、CP26の会場にも入れたし、北京に戻っても特に異常はなく(2日後に健康コードの再登録が必要になったが…)、問題が起きることはなかった。
一方友人はサークルチケット(サーチケ)が無事届くのか気を揉んでおり、なんと上海から北京にサーチケが届いたのは出発前日の7月23日(木)だった。そのため、サーチケに同封されているサークル出展契約書は現場で提出した。
コロナと初めてのこと、さらに旅行という要素が重なった結果、余計な気苦労が増えただけなのだが、こういう風に感染拡大予防が理由で必要な登録がどんどん必要になっていくと、心配性の人間はますます暮らしにくくなる。
最近はコロナに感染すること以上に、今後中国(北京)で発表される措置に自分が対象としてちゃんと含まれているのだろうかという方が心配だ。成功体験を積むことでその緊張も幾分緩和されるので、不安に対する一番の対処法は挑戦なのかなと今更ながら考えてしまった。
・1年ぶりの上海
無事上海に到着し、ホテルに荷物を置くと早速夕食を食べに出掛けた。夕食はもちろん、上海に来たら毎回食べているアレだ。
哈霊麺館のカエルラーメン
いつも通り美味かったが、カエル肉のプリシャキ感が足りなかった。
半年ぶりに見た上海の町並みはやはり郷愁を感じさせるものだった。上海の町並みは日本と似ていると言われるが、そもそも東京など本州に全然行ったことがない自分でも懐かしさを感じるのは、さすがは「魔都」上海と言ったところだ。
そしてビールを2缶買って部屋に戻り、風呂にバブを入れ、約半年ぶりに湯船に浸かり、デカイベッドに早めに寝て明日の本番に備えた。