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プロフィール
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栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
34
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      

 


 


 


天野健太郎氏による日本語版が文藝春秋から出て、2016年後半から日本でブレイクした1367の原書(香港版)を読み終えました。2014年に原書が出版されたばかりの頃は全く反応しなかったのに、日本で売れたら慌てて読み始めるなんて典型的なミーハー的行動だなと自分でも思います。中国大陸でも最近になって一部の書店には繁体字版(香港や台湾で使われている中国語表記)の原書が置かれるようになりましたが、大体がライフスタイル関係やグルメなどおしゃれな書籍ばかりで、ミステリなどエンタメ書籍を大量に置いてある書店はまだ少ないです。しかもそのミステリも京極夏彦ら海外作家の繁体字版ばかりで、オリジナル作品がほとんどないというのが現状です。


 


なので、今回もいつも通り中国大陸のオンラインショッピングサイト「タオバオ」を使って大陸の代理店に香港から本書を取り寄せてもらいました。去年に注文してから届くまで1カ月ぐらいかかりました。値段は送料込みで90元(1600円)ほど。本体価格は350ニュー台湾ドル(約1300円)なので全然差がない。


 


 


 


本書は6編の短編小説からなり、2013年から1967年までの香港社会を舞台に、事件の一部始終をまるで見てきたように推理する「天眼」と呼ばれた敏腕刑事関振鐸が各時代の香港を象徴したような事件を解決するという警察ミステリ小説です。第1話が関振鐸の晩年、第2話が引退後の関振鐸、第3話が引退間際というように時間に逆行する構成になっていて、最後は1967年の香港暴動です。


 


日本語版が去年出ているのですでに詳しく書かれたレビューがたくさんあるでしょう。また、翻訳者自身が書いた紹介記事もあります。


 


陳浩基(ちんこうき,サイモン・チェン)『13・67』(執筆者・天野健太郎)


  


中国大陸側の反応を見てみますと、日本で「2018本格ミステリベスト10」や「2017年 週刊文春ミステリーベスト10、本格ミステリ・ベスト10」などの海外部門で1位を取ったことが中国のミステリ読者ほか多数の人々から注目されたようで、私がそのランキングトップの報を微博(中国版Twitter)に発表したところ一気にリツイートされ、10万回以上の閲覧数を叩き出しました(普段は300回ぐらい)。「日本で評判なら読んでみよう」というコメントもあり、ミステリにおける日本の信頼度の高さを実感しましたが、だからといって大陸でいきなりブームが来た形跡は見当たりません。SNSサイト「豆瓣」を見てみるとこれがきっかけで読者が爆発的に増えたということもなく、2014年に原書が出版されてから一定の頻度で好評のレビューが上がっています。


 


しかし、『1367』ブームと関係ないとは言えない話もあり、作者陳浩基(サイモンチェン)が過去に2回島田荘司推理小説賞を受賞した『遺忘刑警(日本語タイトル『世界を売った男』)が中国大陸で出版されるらしいです(あくまでも伝聞)。


 


島田荘司推理小説賞受賞作の中国大陸での出版は第1回受賞作『虚擬街頭漂流記』以降ありません。第5回受賞作の『黄』は作者が大陸の人間だったためか大陸での出版も早かったのですが、台湾や香港の作家の作品はなかなか大陸で出版されません。


 


『遺忘刑警』の大陸版出版が、今後島田荘司推理小説賞受賞作品の出版を促すことになるのか、それとも『1367』出版の布石になるのかは不明です。『1367』の最終話で1967年の香港暴動を書いているため大陸での出版はないだろうと言われています。


 


しかし香港では本書の映画化も決まっていると言いますし、だとしたら映画が何らかの形で大陸に入ることでしょう。そもそも本自体、タオバオとかを使えば香港や台湾から輸入できますし。


 


ですので、大陸版の出版は不可能かもしれないけど、大陸でも台湾や香港の文化を楽しめるチャンネルは今後も引き続き残してほしいなぁと思いました。


 

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最近中国の漫画が日本でウェブ連載、または電子書籍化して日本語でも読めるようになっています。


その中の一つに『英俊又可愛』というギャグ漫画が『ハンサム&キュート』というタイトルで少年ジャンプルーキーに連載しています。


 


リンク先: ハンサム&キュート(日本語)


 


この漫画、元気な美少女が交通事故に遭って美少年の体に意識が移されて今後は男として生活するという内容なのですが、男女入れ替わりモノに特有の「秘密性」がなく、少女が男になったことは両親から幼馴染や親友にまでバレており、本人も周囲の人間も彼女の体の変化にてんやわんやするというちょっと異色のギャグ漫画になっています。


ずっと想いを寄せていた隣人のお兄さんにオシッコする方法を聞いたり、幼馴染の女の子に抱きしめられて勃起してしまったり、外出中に一人でトイレ行くの不安だからお兄さんに付き添ってもらって同性愛者と勘違いされたり、おい下半身のネタばっかだな。


 


 


とまぁ、結構面白い漫画なので興味がある人は読んでほしいのですが、日本語版が読める作品は置いといて、今回は同じ作者の別作品を紹介します。


 


 


『食之東方』は中国らしく美食、特に中華料理をテーマにした漫画です。杭州(東部)出身の陸桃、ハルビン(東北)出身の唐梨、成都(西南)出身の銭楽児、広州(南方)出身の白桑という4人の少女が大学寮の一室で生活するという一見よくある日常系漫画なのですが、経緯がよくわからないのですが宇宙生物と戦ったりします。


 


 


 


北京の大学の学食のマズさを思い知る陸桃


 


 


 


もちろんメインは食事であり、主に少女たちが自炊をしながら自分たちの故郷の料理をお互いに教え合うという内容が描かれますが、食をテーマにしている割には食に対するこだわりやうんちくが全く描かれておらず、女の子が単に飯を食うだけで終わっているところが物足りないところです。


 


しかし、その中でも好きなのが月餅を食べる回。中秋節(中国のお月見)の日に各人が面白いと思った月餅を持ち寄って相手に食わせるというゲームを行います。ですがどいつもこいつもイロモノしか持ってこず、誰も手を付けようとしないという。


 


 


上から、ナッツ月餅とハスの実月餅、求肥月餅とスピルリナ(藻の一種)月餅、バニラキャラメルアイス月餅と漢方月餅、雲南ハム月餅とニラ月餅。


 


以前、月餅関係の文章を翻訳した時も「ナッツ月餅」の評価が明らかに低かったのですが中国人はそんなにコレが嫌いなのでしょうか。ナッツが歯に挟まったりするから?


 


中国人は本当食に対してうるさいし、地方から北京に来た学生は北京の飯が如何にマズイかでいくらでも喋れるし、各人それぞれが中華料理に対してプライドを持っていますがそれ以上に自分の故郷の料理こそ一番だと思っています。だから描こうと思えばいくらでも『美味しんぼ』みたいに他の料理をディスりまくるギスギスした漫画も、料理に関するトリビアや秘訣たっぷりの漫画も描けるはずです。


 


もう少し対象年齢が上の料理漫画がいつかできるといいですね。


 リンク先:食之東方(中国語のみ)

 


今夜宜有彩虹』(今夜は虹が出そう)


 


 


 


中国ユーモアミステリ(バカミス)の旗手・陸燁華の新刊であり、『超能力偵探事務所』とは異なるシリーズ?らしい。


 


二つの視点が交互に展開するストーリーはなかなか核心的な地点にたどり着けず、どのようにまとめたら良いのか悩む内容だった。


 


 





落ちぶれてホームレスになってしまった「オレ」はある日、川で身投げを目撃する。身投げした場所に行ってみると、「警察には通報しないでください。家にあるお金は差し上げます」というメッセージが落ちていた。そこでその家に行ってみると、次は「別荘に行け」というメッセージ。


ところ変わってホテル上海花園酒店の「彩虹楼」では喫茶店従業員の沈氷月が小説家の丁と編集者の趙と共に死体を発見する。ホテルの一室に横たわるその死体はホテルのオーナー呉家元のもので、不思議なことに死体は六面鏡で囲まれていた。現場に残された不思議な暗号と踊るピエロが書かれた紙切れ。探偵に扮した趙編集者は現場のおかしな点を次々と指摘する。





 


 


どうやら「オレ」の宝探し的なハードボイルド小説部分と沈氷月を主人公とする一般的なミステリー小説部分は軸が異なっているらしい。しかし一応小説を読んでいる身としてはこの二つの物語がいずれどこかで交差するだろうと身構えるのだが、読み進めても一向に交わる点が見当たらない。


 


まさか村上春樹の小説じゃないんだから重ならないまま終了ということもあるまいと不安になってきたところに奇人編集者趙によって二つの世界が結び付けられる構成も見事だし、その余りに馬鹿馬鹿しいロマンチックなオチには本書を「バカミス」と分類して良いのだろうかという疑問すら生じる。


 


 


 


陸燁華は本書後書きでこのストーリーを書くきっかけになったインスピレーションを書いている。ちょっと翻訳して引用してみたい。


 


 


…中略…ありうる「意外な犯人」はほとんど書き尽くされてしまった。探偵が犯人、警察が犯人、語り手が犯人、ひいては読者が犯人という作品まであるが、しかしちょっと待ってほしい。まだ誰も「犯人」が犯人という作品は書いていないのではないか?

 これに思い至ったとき、ストーリーのトリックも自然と誕生した。物語が3分の1進んだ段階で探偵が犯人を指摘する。しかし「作者はそいつが犯人だと言っている」ことと「物語がまだ3分の2も残っている」という事実を組み合わせることによって、読者に「コイツは絶対に犯人じゃない」と思わせる。


 


 


一度犯人だと指摘された人間が最終的にやっぱり犯人だったという展開が果たしてまだ誰も「書いていない」のかはわからないが、その後の文章でここ最近とりわけ印象に残ったミステリーの手法に触れている。それは「突然推理」(原文ママ)だ。


 


 


「突然推理」とは何もおかしなことが起きていない状況で、探偵が突然犯人を当てることだ。聞くだけなら非常にスマートだが、実際のアイディア出しはたまらなく苦痛だ。
 普通のミステリーの構造はこうだ。問題が発生する→手がかりを探す→手がかりと問題を組み合わせる→犯人を指摘する。難点は3番目にあり、前2つは3番目に合わせて調整することもできる。
 しかし「突然推理」は、手がかりを探す→手がかりを集めて問題を指摘する→手がかりと問題を組み合わせる→犯人を指摘する。という構造だ。重要なのは解答部分ではなく、何が問題なのかすらも自分で推理しないといけない点だ。
 
 「突然推理」については優秀な2作品をモデルにできる。梓崎優の『冰凍俄羅斯』と時晨(中国ミステリ小説家)の『緘黙之碁』(沈黙の碁)だ。


 


 


「突然推理」という聞き慣れない単語は字面から意味が大体わかるがしっかり把握することは難しい。彼の言う事件の手順は、事件が起きた現場に異常があっても、それが何故異常なのかきちんと説明しなければいけないということだろうか。例えば本作では事件現場の部屋の窓が本来なら開いているはずなのに閉まっていたということが事件を解決する鍵になっている。なにせこの「突然推理」はおそらく作者・陸燁華の造語らしいので(百度で検索しても全くヒットしない)、私が理解するにはまだ時間がかかりそうだ。


 


ところで陸燁華が参考にした梓崎優の『冰凍俄羅斯』は日本語に直訳すると『凍るロシア』になるんだが、これは短編集『叫びと祈り』に収録されている『凍れるルーシー』のことを指しているのだろうか。ちなみに、梓崎優の小説は中国大陸で正式な翻訳版がまだ出ていないようだが「民翻」(民間翻訳。ファンが個人的に非商業目的で翻訳した作品)がある。おそらく陸燁華はこれを読んで勉強したのだろう。


 


『超能力偵探事務所』しかり、チャレンジ性豊富な作品を出して着々と自分のキャラクターとスタイルを形成している陸燁華。本書解説で中国ミステリ小説家・陸秋槎も指摘しているが、凄惨さを感じさせない陸燁華のコメディ的なミステリーは中国ミステリの成長を見て取る格好の作品かもしれない。


 

 


 


 企業エリア


メインはやはりBILIBILI動画か。会場入ってすぐ見えるBILIBIRIの大きなモニターではその真下のステージで踊るコスプレイヤーのダンスが映し出されている。


企業ブースの商品には全く興味が無いのでどこも見るだけに留まったが、ゲームのブースが多く一見しただけではそのゲームが日本製なのか中国製なのか分からなかった。


 


 


 


例えば『全民舞姫』というVRを使用したダンスゲームはCVに竹達彩奈や田中理恵など日本人の大物声優の名前があるのでてっきり日本製かと思ったが、ゲーム画面に映るダンスの舞台(自室や屋外)を見ると非常に中国的。調べてみるとこのゲームは上海のゲーム会社が作った中国製だそうだ。


 


 


『萌戦無双』もいかにも日本製のゲームという感じだ。ただ、タイトルに「モセンムソウ」と書いてあったのでこれは比較的簡単に中国製だと気付いた。その他、CVに井上喜久子らの名前があるいかにも中国風のゲーム『食之契約』があった。



『陰陽師』『兄に付ける薬はない!』など、中国製だが声優は日本人というアニメやゲームは今後ますます増えるだろうが、内容はともかくこのように作品を生み出せるコンテンツ力を持つ中国を見ると「海賊版」という言葉も遠い昔のものになる日も近いという気がしてくる。


 


まだ中国に海賊版が今より大量にはびこっていた時、その理由は「日本でこういうゲーム(漫画)が出ますよ。でも中国では買えません」「新作アニメが放送されますよ。でも中国では見られません」という、中国人消費者が強いられていた「おあずけ」によるものも大きかったのだと思う。しかし、例えCP21の企業ブースで展示されている最新のゲームやアニメの全てが中国でも享受できるのかは定かではないとしても、今の中国では簡単に正規版を手に入れられるようになった。


 


 


 


アニメ化が決定しているBLゲーム『魔道祖師』ブースでは中国人声優のイベントが行われた。


 


 


中国ではおなじみのゲーム『戦艦少女』(『艦これ』とは異なる)のグッズを買おうとブースの外まで長蛇の列が並んでいる。


 


 


 


中国でも放送が予定されているアニメ『ラーメン大好き小泉さん』のブース。


 


好きなラーメンの人気投票企画があったが、とんこつラーメンの圧倒的人気、そしてラーメン二郎のマイナーぶり。


 


コスプレ-


 


中国製ゲームやアニメなどが次々生まれた結果、同人イベントのコスプレにも変化が生じ、今回のCP21でも『陰陽師』『凹凸世界』など中国製ゲームのコスプレイヤーが大勢いた。もちろん中国でも有名な日本アニメFATE『宝石の国』、そして根強い人気の『東方』(どうでも良いけどこっちのイベントって東方キャラのコスプレをする「男」が多い気がする)もたくさんいたが、日本人には分からないコスプレをしているレイヤーたちがイベントで着実に増えている。


 


日本人には分からないコスプレが増えたことは、すなわち中国のコンテンツ力が高まったという証拠なのだろう。


コスプレ写真は撮ってないので当時の様子を知りたい人はTwitterで「CP21」を検索して欲しい。


初日の9日は上海にしては肌寒く、10日は逆に防寒着がいらないほど暖かかった。そのせいか2日目の方がコスプレイヤーの数が多かったように記憶している。2日目はコスプレ撮影の日とかいう決まりでもあるのだろうか。


 


くまモンの抜け殻。多分中の人がトイレにでも行ったのだろう。


 


 


CP21の不満点・疑問


 


・公式サイトで出展ブース数及び出展品数を確認することはできるが、来場者数がいくらでどのくらいの売り上げがあったのかなどのデータがほとんど発表されない。

 →12月16日に公式発表があり、12月9日と10日で15万人の来場者と延べ3000を超えるサークルが参加したというデータが出た。


 COMICUP21無事開催!君は会場に来たか?(中国語)



・今回は一般入場者も開場の1時間半前に入場できてVIPチケットのプレミア感がなくなっているので、例えば有名サークルを優先的に並べるみたいな特典を付けてほしい。


 


・いくつかのサークルでは日本の同人誌の公式中国語版を売っているが、一見するとわからないので注意書きでも付けてほしい。



  とは言え、来年のCP22も当然参加するんだろう。


 

 


『水滸猟人(水滸伝ハンター)』


 


著者の時晨はこれまで『黒曜館事件』『鏡獄島事件』などロジック重視のミステリ小説を書いてきた作家だ。その彼が書く武侠小説なのだからてっきり武侠ミステリのジャンルかと思いきや結構ガチな武侠小説で驚いた。


 


 




水滸伝の舞台になった中国は宋の時代。内憂外患に悩む宋朝は梁山泊を筆頭とする無頼の輩を取り除くために彼らを賞金首にして同士討ちを目論む。しかし梁山泊は敵対勢力を滅ぼし、または吸収し着実に強くなっていった。


梁山泊に一門を滅ぼされた祝家庄の棒・廷玉」は梁山泊に恨みを抱く者たちを集めて復讐を果たそうとする。兵器を司る兵誅城の家に生まれ、貯蔵する武器と奥義書を狙った梁山泊に一家を皆殺しにされた暗器使いの「袖里乾坤・唐霄」や、記憶喪失でありながらも武術の達人である自身が一体何者なのかを確かめたい徐燎らは廷玉の仲間になり、共に梁山泊を倒そうと誓う。そして、梁山泊が名門・少林寺まで狙っていることを知った彼らは巨大な陰謀に巻き込まれていく。


 





 


梁山泊が敵役として登場する本作では『水滸伝』の実在・虚構キャラクター及び時晨オリジナルのキャラクターが入り乱れ、その情景が目に浮かぶような命がけの死闘を繰り広げる。武侠小説に詳しくない私には分からなかったが、鉄棒・廷玉も『水滸伝』に登場する虚構キャラクターらしい。『水滸伝』や武侠小説に詳しい読者が読むと「あのキャラをこう使うか」というような驚きを感じるに違いない。


 


 


小説の内容は純然たる武侠小説だ。前半に氷を使用したトリックと言うかペテンが登場した辺りで「ここからミステリに偏っていくのか」と期待したのだが、それは結局「良い」形で裏切られることになった。


風・雷・電と書かれた三節棍を自在に操り次々と敵を撲殺する廷玉は如何にも「好漢」という感じだ。無数の暗器を身に着ける唐霄毒は一見小賢しいのだが、毒まで揃えたその武器の種類以上に頭脳が恐ろしく、遥かに格上の相手を罠にハメて仲間もろとも皆殺しにする様子はまさに主人公の風格を持っている。


武力をもって宋朝を牛耳ろうとする梁山泊、宋朝の内部で暗躍する奸臣たち、そして宋朝に敵対する女真族ら敵対勢力も登場する本作はもちろん1巻で終わるわけがなくすでに2巻の発売が決定されている。


 


武侠小説と言えば金庸や古龍など有名な大家がいるが、有名すぎて読む気にならない。以前読んだ『武道狂之詩』の作者は香港人作家であり、遠いからあまり応援する気になれない。そんな中、本格推理小説家の時晨が武侠小説家としてデビューしたのは武侠小説初心者には嬉しいニュースになるのだろうか。


今後も推理小説を書き続けていってほしいし、本作のシリーズで武侠ミステリっぽい作品も書いてもらえたら最高だ。


 



百度百科:時晨


 


時晨の百度百科(中国版ウィキペディア)の「代表作」の欄に『水滸猟人』が書いてあって笑った。なんで今まで推理小説書いていた作家が初めて書いたばかりの武侠小説が代表作になってるんだよ。これ更新したの絶対『水滸猟人』の関係者だろ。


 


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