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栖鄭 椎(すてい しい)
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1983/06/25
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契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
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813日から19日まで開催された上海書展(上海ブックフェア)で816日(土)に日本から招かれた島田荘司・麻耶雄嵩両先生によるサイン会が新星出版社と上海新華伝媒の共催で行われました。

 

19時スタートにも関わらず、18時過ぎに会場の外には既に長蛇の列が出来ておりました。上海ブックフェアは同時刻に他の作家のサイン会も行われるし、特に案内もないのでこのぐらいの長さになると果たしてこれが両先生のサイン会の列なのかわかりません。

私も、列の中に麻耶雄嵩の『鴉』を持っている女の子を見つけていなければ並ぶのを躊躇っていたでしょう。

 

 

19時過ぎにようやく建物の中に入れましたが、その頃には両先生のトークは終わっており早速サイン会がスタートしました。

 

最初このサイン会のシステムがよくわからず戸惑ったのですが、壁際に並ぶ列とは別にもう一つ短い列がありました。

 

部屋の周りを並んでいる人たちはサインを書いてもらう本を現場で購入するために並んでいます。

現場には島田先生の『アルカトラズ幻想』、『Pの密室』、『最後の一球』、『星籠の海』などや、麻耶先生の『隻眼の少女』や『翼ある闇』(2冊とも20148月発売)などおよそ1,000冊の新刊本が用意されておりました。聞くところによると完売したらしいです。

 

そして席に座っている人たちは自分で本を持ち込んでおり短い列に並ぶことができるため余裕があり、またはサインがいらないから座っております。

 

 

ちょっと見づらいかもしれませんが書籍購入組の列は部屋を一周し更に外にまでズラッと並んでいるのに対し、持参組の列はせいぜい数十名しか並んでおりません。

私は北京から本を一冊も持ってきていないので、購入列に並ぶのが妥当なのですが19時から21時の2時間しかないサイン会では絶対に私の番が来ないと思い、列から抜けて持参組の列に並び直し、両先生から握手だけしてもらい会場の椅子に座りました。

 

 

そこでのんびりとサイン会の様子を眺めていたのですが、参加者の多さに一番戸惑っていたのは主催者側のようで会場には「サインは11冊までです」というアナウンスが流れ、その後に「サインを貰った人は出て行ってください」と指示が出され、サインを貰い自分の席に戻ろうとした女性がスタッフに強引に追い出されそうになっていました。

 

 

何故こういうことが起こってしまうのかと言うと、問題は持参組の列にありました。彼らは一人で数冊の本を持ってきている人が多く、私が見たところでは麻耶先生の『翼ある闇』の日本語版文庫本まで持っている人もおりました。ただしスタッフにその本へのサインを断られておりましたが。

 

 

そして彼ら持参組の列は短いために本を持って何度も並ぶ直すことが可能となっているわけです。これが中国のサイン会で見る通常の光景か定かではありませんが、以前北京交通大学で行われた島田荘司先生のサイン会でもやはり彼らのような人がいました。

その所持してきた数冊の本が彼一人のものかそれともサイン会に行けない友人に頼まれて持ってきたものかわかりませんが、彼らは仲間と手分けして何とか全ての本にサインを貰おうとしておりました。

 

 

その結果事件が起こります。全く進まない購入組の列の後ろの方に並んでいた女性がスタッフに対して突然「アイツもアイツもアイツももうサインを貰ったのにまた並んでいるぞ!ルールを守れ!ルールを!!と現場を静まらせるほどの絶叫を上げ、会場から出て行きました。

 

私も既に並び終えた人間なのでこれ以上居続けたら流れ弾を食らう恐れがあったので会場を後にしました。このとき既に20時を回っておりました。そして会場の外の光景がこちらです。

 

 

 

まだ外にこれだけの人数が並んでいました。

 

結果としてこの日は500人以上が集まり、数百人がサインを貰えなかったとのこと。このことに対し新星出版社の褚盟氏はマイクロブログで「空前の成功だが上海の読者には申し訳ない」とコメントを出しました。

 

 

上海に限らず、私のように北京などの他都市から来た読者もたくさんいたでしょう。怒鳴った女性もしかり、恐らく島田先生宛の手紙を日本語で書いていた女性も会場にはおり、中国人読者が如何に先生方に会いたかったのかをうかがい知れます。

 

 

褚盟氏は今回の失敗を反省し、上海に『日本推理文化盛会』(日本推理文化大会)を組織すると宣言しました。具体的にどんなことをする組織なのかは不明ですが、上海にいる日本推理小説の読者の受け皿となるでしょう。

 

 

また53日に島田荘司先生がマイクロブログで話していた『新星島田賞』短編賞設立についても今回の来中で進展があったに違いありません。

 

 

今回のブックフェアの大盛況ぶりを肌で感じた島田荘司先生はマイクロブログで「中国に住んで、中国の作家になりたいと、本気で思いましたよ」と中国に対し大変好意的なコメントを出しました。

『新星島田賞』もあることですし、なんか今年辺りにもう一回中国に来てくれそうですね。またサイン会があったら今度は必ずサインを貰おうと思います。

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 1回目

 2回目

 

北京の交通大学で行われたミステリイベントのメインに当たる島田荘司先生講演会の様子をいつまで経ってもアップしないのは別にサボっているからじゃありません。………忙しかったんです……

 

あと、私よりよっぽど島田先生の講演の様子を詳しくアップしている人がいまして…その人の記事を読んじゃうと、もう自分が書く意味なんかないかなぁと

 

しかもそのブログは201020139に、つまり交通大学で行われた講演会よりも前に記事をアップしています。そして201312月には交通大学であれほど通訳がトチって蛇足とはまさにこのことだわ!!と参加者全員が思った『まだらの紐』のエピソードまで書いています。

 

だから201310月の交通大学での講演内容を知りたかったら、その方のブログに書かれている2010年の北京大学の講演の模様と、20139月に台湾で行われた第3回島田荘司推理小説賞の講演会の模様を読んでもらえればだいたいわかると思います。

 

 

そもそも講演の内容なんて毎回新しくする必要はないと思うんですよ。

 

島田先生の講演の内容は英米で誕生したミステリ小説がどのような発展を遂げ、一方で日本のミステリがいわゆる『探偵小説』から本格や新本格へ言ったジャンルへと移行していった過程を説き、両者ともその発展の過程には科学技術の進歩法整備の充実、常識の変化が必須だったことを主張していたように思えます。(うろ覚え)

 

だから2010年に北京大学でやった講演と2013年に交通大学でやった講演内容が似ていても、それはミステリ小説の定義を今まで知らなかった(と思われる)中国人学生にとってすごい新鮮だったと思うし、それを『推理之神』の島田荘司先生から聞けるってことだけでも栄誉なことでしょう。

 

まぁ『Yの悲劇』を『紅酒的悲劇』(ワインの悲劇)に訳してしまう通訳がどれほどその素晴らしさを伝えられたのかはわかりませんが……

でも2010年の北京大学での講演とは異なり、実際にミステリ小説を執筆した学生たちが集まった今回の講演会ではミステリ小説における科学的根拠の重要性は学生たちの今後の創作の指針となったことでしょう。

 

 

だから今回の講演会は島田先生の講演そのものよりも、この講演を聞いた学生たちが最後に先生へどんな質問をするのかということに期待していたのですが、余談で少しだけ触れるはずだった『まだらの紐』の翻訳に通訳者が殊の外手こずったせいでそんな時間なくなってしまいました。

 

 

さて、これは私ではなく他の方が危惧していたことなので、私はその尻馬に乗っかるだけですが、講演の中で島田先生が仰っていた本格と新本格の定義はどうやら島田先生独自のものらしいです。

 

 

日本のミステリ読者なら『確かにそういう考え方もできる』と納得するでしょうが、中国人の読者にすればその定義こそ絶対であると誤解し、視野が狭くなってしまわないか心配です。

 

 2014年に島田荘司原理主義者のような作家が現れて、新星出版社の褚盟氏とともに中国ミステリ界を荒らし回る展開になったらそれはそれで面白いんですけど。



 今回の講演は不慣れな通訳もあり島田先生の意図が伝わったとは言えず、私の目には成功には映りませんでした。しかし講演後に島田先生が尋常じゃないサービス精神を発揮し、来場者全員にサインを書いてあげたことは学生たちにとって忘れられない思い出になったんじゃないでしょうか。


 先生、次は私もちゃんと先生の本を持って列に並びます。いや、だって講演終わりにサイン会開く時間なんてないと思っていたので。

 てゆうかそんな時間あるんなら質疑応答にあててほしかったなと…

 

 

『北京高校推理聯盟 第1回ミステリー作品募集大会』では北京の各大学合計12のミス研が参加し、12の作品がエントリーされました。当日に全ての作品を読む時間などは当然無かったため、執筆者による作品のあらすじと特徴の紹介に留まりましたが、中国色を強く出した作品や、同人誌的なパロディ、実験的な内容、有名作品のオマージュなど、聞く限りでは面白そうでした。

 

本当は前作品きちんと紹介したいのですが、何せもう二週間以上前のことで、しかもメモも十分に取っていなかったので、入賞作品のみ紹介しようと思います。

 

とりあえず参加団体の一覧をば。

 


北京大学推理協会

北交推理社

北航推理愛好者協会

北京体育大学夏鎮SHARP-SOUL推理

北京電影学院

北京第二外国語大学

華北電力大学風庄推理社

首都経済貿易大学灰斑馬推理社

清華大学学生推理協会

中央民族大学夜之瞳協会

中国人民大学推理協会

中国法政大学推理第13研究会

 

これら12団体の中から以下の作品が選出された。 

3



清華大学から

寝室驚魂

(停電になった部屋に突如何者かが出現し、水浸しの靴跡を残して去っていった。そいつの目的とは一体?)

 

人民大学から

怪館風:五角館殺人密報

(カー、エラリー、アガサという名の男女が五角形の館に宿泊する。あの作品のオマージュだということは一目瞭然だ。)

 

華北電力大学から

戯子人生

(清の時代を舞台にした作品だったと思う)

 

3名の受賞者には『歳月推理』で『罪悪天使』シリーズを連載している推理小説家午曄氏から賞品が送られた。氏は北京の大学で教鞭を取っているので適任だろう。

 

2



華北電力大学から

三分之三復讐

(3人がそれぞれ相手の殺人を依頼する。誰か1人は残るはずだが全員死んでしまうという話。タイトルは『北の夕鶴2/3の殺人』から取っている。)

 

清華大学から

五幕劇

(全然覚えてない。タイトルから推察するに演劇関係の話だろうか)

 

これら2名の受賞者には李清?とかいう先生から賞が送られた。この人の素性は最後までよくわからなかった

 

1

 

人民大学から

関于心理健康的一個故事

(これも覚えていない。タイトルをネットで検索すると該当作品が出てきたので読んでみたところ、大学内で起きた過去の事件を告白する形式らしい)

 

 

1位の受賞者には新星出版社午夜文庫副編集長褚盟氏から賞品が送られた。

   

誰かが後日まとめてくれるだろうと期待していたからあんまりメモを取っていなかったんだけど、まさか今になるまで誰も書かないとは思わなかった。せめて司会を担当した北京交通大学のミス研ぐらいはレポート書いてほしかったが、写真をアップするだけで文章は何も書いていないようだ。

 

審査員の判断基準がいまいちわからなかったが、イロモノはあまり選ばれず手堅い結果になった顔触れだ。

 

私としては名前の響きだけで北京大学推理協会が書いた『十二生肖館殺人事件』が受賞すればと思っていたのだが、名前と内容が釣り合っていなかったのかあえなく落選。8,000字という文字制限の中でこのタイトルはあまりに仰々しかった。

 

そしてこれもネットを検索すると2011年にウェブに掲載した作品を読むことができる。大学のイベントとはいえ出版のチャンスもゼロではないのだから削除したほうがいいと思うんだけどなぁ。

 

受賞作が果たして内輪のみで発表されるに留まるのか、それとも世に出ることになるのかわからないまま授賞式典は終わり、進行はいよいよメインの島田荘司講演会へと移る。

 

長いので次回に。

 

 

やっと時間がとれたので10月13日に北京交通大学で行われた『北京高校推理聯盟 第1回ミステリー作品募集大会』授賞式典及び島田荘司講演会の様子を書き起こします。


 


学内に貼られている案内からもわかるとおり一応メインは授賞式のわけですが、ほとんどの参加者は講演会のあとのサイン会を目的にしていたと思います。
 


会場は400人ほどが収容できそうな講堂。当初は101室が会場だとアナウンスされていたのに、当日になって隣の102室に変更されたのは中国ならではのご愛嬌。


 
正直立ち見を覚悟していたが、開会30分前に着いても座る場所を選べるぐらい会場は空いていた。そして現場で北京在住のミステリマニア『名無しのオプ』さんと合流する。250人ほどいた来場者のうち、日本人は関係者を除けば我々2人だけだったと思う。今回のイベントは日本の公的機関と全く関係がない(2010年1月に島田荘司先生が来た時も日本側からの宣伝はなかった)ので日本人が知らなかったのも当然かもしれない。

 
開会予定時刻の14:00を30分ぐらい過ぎた辺りで島田先生が来場され式典はようやくスタート。各サークルの学生たちが島田先生の誕生日を拙い日本語で祝う動画が流され、その後に各応募作品の紹介が始まる。


 
北京の各大学のミステリー小説研究会が集まって出来た団体が『北京高校推理聯盟』だ。北京大学、清華大学、人民大学などの有名大学で構成され、2011年には既に団体としての活動を始めていたようだが、こっちのミス研は日本のミス研と性質がだいぶ異なり、創作活動はせずみんなででゲームをする。この団体もこれまではクイズや宝探しゲームなどのイベントを行っていたらしい。

 
そしてこの『北京高校推理聯盟 第1回ミステリー作品募集大会』ではそれらミス研の構成員が創作した1,000文字から8,000文字程度の短編作品の中から受賞作品を決める。賞金は1位でも500元(8,000円ぐらい)と少ないが受賞作には出版の可能性もあるようだし、スポンサーが新星出版社(中国国外のミステリー小説を翻訳出版している会社)なので、将来性を見ると悪くはない話だろう。

 
ちょっと長くなりそうなので応募作品の紹介は次回。
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 6月10日14:00から北京西単にある北京図書大厦で人気サスペンス作家蔡駿の新作『地獄変』の発表を兼ねたサイン会が行なわれた。

 
 イベント開始30分前には既に高校生もしくは大学生と思われる若者が30人程度並んでおり、7:3の割合で女性が多かった。
 
 蔡駿の小説で描写される登場人物は極めて現代の若者らしい。それは彼らが現実の中国人のように映画やマンガや有名人に代表される海外の異文化を好んでいるからだ。登場人物が物語の中で現実の中国でもメジャーな作品や人物を取り上げることで、特に若い読者は彼らと思い出や過去を共有しているかのような親近感を抱く。
 
 ここに並んでいる80後や90後(1980年代、90年代生まれ)だろう若者たちを見ると、年下をターゲットにし続けている蔡駿の力量を感じずにはいられない。
 
 CIMG0153.JPG
 14:00を迎えると列は50人程度にまで伸びていたが、サイン会はすぐには始まらなかった。まず蔡駿による本作の説明及び質疑応答が会場に集まっていた記者たちに向けて行なわれた。しかし会場のマイクの調子が悪く、蔡駿が何を言っているのかさっぱり聞こえなかった。電子書籍に対する意見など蔡駿からは結構重要なことが聞き出せたらしいので、メディア側が後日まとめてくれるだろう記事を呼んで補完するしかない。

 CIMG0158.JPG
 
 左の耳から右の耳へ抜けていくトークと、空気を読まず定期的に館内に流れる蔡駿のサイン会を知らせる放送に耐えて、14:30にようやくサイン会がスタート。あとは流れ作業であっという間に自分の番に。
 
 CIMG0164.JPG
 
 To阿井 蔡駿 20126・10と書いてある。
サインが読者の名前入りだったのは意外だった
 
 
 
 新作『地獄変』は密室に閉じ込められた大勢の人間の思惑が複雑に絡み合い、歪んだ形で発散される大長編サスペンスだ。

 事故で地下に閉じ込められた23人は7日後に救助されるまで協力するどころか互いに殺し合い、生存できた6人は全員何かを隠しているように警察の調べに対し嘘の証言をする。
 400ページにも渡る本作で蔡駿は登場人物たちを使って一体どんな地獄を表現したのだろうか。また、帯文には芥川龍之介の言葉『生活本身比地獄更像地獄(人生は地獄より地獄的である)』が引用されているが、これは作品を読み解く上での手がかりなのだろうか。
 

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