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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
34
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      

アガサ少年探偵所-鳥小屋の影 アナ・カンポイ
 (
阿加沙少年偵探所―鳥房夜影 AnaCampoy

 

本書はスペインの有名なジュニアノベルシリーズの中国語版です。以下のサイトでは『アルフレッド&アガサシリーズ エルスターの10羽の鳥』というタイトルになっていますが日本語版はまだ出版されていないようです。世界的に有名な実在の映画監督と小説家が子供の頃に出会い事件を解決するというパラレルワールドを描いています。

 LOS DIEZ PÁJAROS ELSTER (SERIE ALFRED & AGATHA)《エルスターの10羽の鳥(アルフレッド&アガサシリーズ)》

 


ロンドン東部に暮らす11歳の少年アルフレッド・ヒッチコックは親にイタズラがバレて放り込まれた留置所で冤罪を訴える男ヴィドックから伝言を頼まれる。だがその伝言の相手とは自分と同年代の少女アガサ・ミラー(のちのアガサ・クリスティ)だった。自分の屋敷の庭師であるヴィドックの冤罪を晴らし真犯人を捕まえるようとするアガサに半ば強引に付き合わされることになったアルフレッドは彼女の愛犬で尻尾が二本ある奇妙な犬のモリトールと一緒にアガサの隣家エルスター家で発生した盗難事件を調査する。


 

本書にはヒッチコックとアガサにまつわる実際のネタが多数散りばめられています。アルフレッドが留置所に入れられるのもヒッチコックの実体験から来ていますし、事件の中心であるエルスター家の主人のエルスター夫人が鳥を大量に飼っているという設定は彼の映画『鳥』を想起させます。アガサの執事の名前がエルキュールなのは言わずもがなです。これらのネタは本書の最後にちゃんと説明されていて読者には嬉しい配慮です。

 

アルフレッドは家が貧乏で労働者階級が多く住むロンドン東部に住んでいるのに対し、アガサは貴族街に住むお嬢様で屋敷には執事までいます。ですがこの貧富の差で二人に軋轢が生じることはなく、むしろアガサは両親が毎日家にいるアルフレッドを羨ましく思っていて彼を差別することはありません。このあたりは児童書らしい道徳観です。学校では冴えないいじめられっ子でギークのアルフレッドはアガサにせっつかれて最終的にはロープを伝って屋敷に侵入するまでの行動力を持つようになり、アガサとの出会いによって自信を付けます。

 

 

実際にアガサとヒッチコックって実際には接点があったのでしょうか。このシリーズでは巻ごとに特別出演のように有名人が登場します。2巻ではコナン・ドイル、3巻ではエジソンと言ったキャラクターが出演していますが、おそらく実在の人物にちなんだ事件に巻き込まれるのでしょう。

 

本シリーズが日本語訳される日が来るかはわかりませんが、中国以外にフランスやイタリア、ギリシャなど数十カ国でも既に販売されています。児童書らしく子どもたちの冒険が存分に描かれてハラハラされますし、日本では馴染みのある欧米の偉人らが続々登場するので遅かれ早かれ日本語版も出そうです。ただ、中国語で200ページぐらいあるから日本語にしたらもっと分厚くなりそうです。

 

 

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The Baker Street Letters (著)Michael Robertson    

福尔摩斯先生收 (訳)王欣欣

 

 アメリカ発のミステリー小説中国語翻訳版。格好良い装丁に目を惹かれて買ったのだが、帰宅後調べると本書がまだ日本では翻訳されて発売されていないことを知り、読む前から喜びを味わった。ちなみに本書は大陸よりも先に台湾で出版されていてベストセラーとなっている。

 

 

主人公のReggie(中国語で雷吉)は弁護士事務所を自分の弟Nigel(中国語で耐吉)らとともに立ち上げたのだが、その住所が世界で最も有名な探偵事務所があった場所、ロンドンのベーカー街221Bだったので連日届くシャーロック・ホームズ宛の手紙に悩まされていた。

事務所を設立する以前からずっとこの住所宛に届いた手紙の数々を保管してある倉庫を整理すると、20年前にロスアンゼルスから何かのデータ表が同封された『父親を探して欲しい』と書かれた女の子からの手紙を発見する。しかし奇妙なことにその手紙が届いた20年後となるReggieたちが事務所を構えてから再び、その女の子と同じ名前同じ筆跡の手紙が届く。

 

本屋をプラプラしてたらこんなものを見つけてしまい思わず買ってしまった。


yueno.JPG


日本四大推理奇书之 脑髓地狱


中国語で書かれてもわかる。

夢野久作の『ドグラ・マグラ』の中国語版がなんと出版されているのである。

これだけでも驚きなのだが、それ以上に目を惹くのは帯の文章。

「私にとって、日本独自の芸術品は三つしかない。大阪の太閤の城、黒澤明の【羅生門】、夢野久作の【ドグラ・マグラ】だ。私の【もののけ姫】と【千と千尋の神隠し】はまだまだ遠く及ばない」


なんと、宮崎駿の推薦文が載っているのだ。

これがオフィシャルな物なのか、何かのインタビューから引用したものなのかはわからないけど、まさか宮崎駿の美意識がこんなところで見られるなんて思わなかった。


しかし不満点もある。

本書は作中作の様式がとられていて、読者は主人公とともに新聞記事やレポートを読んだりします。その中の一つにキチガイ地獄外道祭文というお経があるのですが、中国語版だとその中の
スカラカ、チャカポコ。チャ カポコチャカポコという素敵な擬音が表現されていません。铿、铿、铿(keng keng keng)・・・・・・で済ませちゃってるんですよ。それに節回しも利いていないし
中国語は韻を踏むことにかけては他より抜きん出ているのだから、原文の曲調を壊すことのないお経を書いてほしかったです。


そしてもう一つ。これは何も本書だけが責められる物ではありませんが、一応言っておきます。

本書のはじめに天蝎小猪という中国人小説家が序文を書いているんですが、その序文が夢野久作の生い立ちと作品発表の時系列とドグラ・マグラの粗筋をまとめただけという、中学生のダメな読書感想文といったやっつけ具合なんですよ。

もう少し頑張って欲しかったです。


しかし何で出版されたんだろう。そこが一番の謎だ。

最近、青空文庫を重宝しています。

 

僕自身、大学時代は新青年小説を読んで探偵小説フリークに、そしてミステリ好きになった人間なのでこのようにちょっとダウンロードするだけで大好きな夢野久作や海野十三などの新青年出身作家の作品を読めてしまう青空文庫には本当に頭が上がりません。

 

中国の大学内には『コピー屋』があります。一枚0,1元(1,5円)でペラ紙一枚から教科書一冊までコピーすることができるし、またUSBを持って行けばファイルも印刷できるので、そこで青空文庫の小説を200枚ほどまとめて印刷しています。

 

夢野久作が新聞記者時代に書いた『街頭から見た新東京の裏面』や海野十三の『敗戦日記』をちゃんと紙に印刷して横書きの状態で読むと、定められた形式の日本語しかない中国では逆に新鮮に感じます。中国には日本人向けの雑誌は多いが小説が足りない。

 

僕自身、東京には全く思い入れがありませんが夢野久作の新東京裏紀行文を読みながら今の北京の情景を重ね合わせると、自分でもこういう地に足の着いた、勝手口からものを視ているような生活の臭いがする文章が書けるんじゃないかと錯覚したりして、建設中のビル一つを見てもなんだか物思いに耽られたり出来る。

 

また海野十三の敗戦日記は流石小説家が書いただけのことはあり、日記とは言えかなり詳細な記録が記述されている。SF作家らしく原子爆弾に筆を費やしているが、敗戦後には海野十三としての断筆宣言をしている。

 

そして彼が海野十三のPNを捨てたあとにこのようなことを書いているのには興味がいった。


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