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栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
41
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

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1215日と16日、上海の新国際博覧センター(SNIEC)で「COMICUP23」(CP23)が開催された。


 


2017年のCOMICUP20から4回目となる参加だが、今回はお目当ての同人を買いに行くということより、COMICUPの現状を知るのが目的だった。中国では最近、同人業界に不穏な空気が漂っているのだ。


 


201711月、ネット作家の狗娃子天一は自作BL小説『攻占』をネットで数千冊販売し、エロ本を売って金を稼いだということで逮捕された。そして201810月に行われた一審で、本を7000冊売って15万元(約240万円)の利益を得たとして、懲役10年の判決が下された。この結果に中国ネット界隈は騒然となり、特にネットでBLイラストを描いている作者らはこの判決を知るや否や、微博(マイクロブログ)からそれらのイラストを自主的に削除したようだ。


だがこの判決は20年前の司法解釈を根拠にしており、現代にそれを適用するのは無理がある。そして同年1218日の二審では、7000冊販売と言われているが実際は4000冊程度、利益の15万元の中に製造コストが含まれていない、『攻占』がエロ本であるという判定の基準が不透明、などの理由が挙がり、作家側に追い風が吹いた。


 


 


日本のコミックマーケットと異なり、COMICUPの主力はオリジナル二次創作の女性向け同人で、出展者や入場者も女性の方が多いように感じる。BLメインのイベントが昨今の情勢にどのように対応しているのかを知るために参加したわけだが、現場に来たら同人業界が置かれている立場が予想以上に厳しいことが分かった。


 


 


今回もイベント前日の金曜日に仕事を終えて18時発の上海行き高速鉄道に乗り、23時頃ようやくホテルへ。いつものユースホステルが改修工事中だったため、外灘(バンド)にある同系列のユースホステルに泊まる。ここの方が会場の新国際博覧センターに近く、今度からここを利用しよう思った。しかもホテルの近所に、上海に来たら毎回行っている24時間営業のカエルラーメン屋の支店があるのだ。


 


 


15日は朝食にカエルラーメンを食べてエネルギーを補充し、朝7時にはホテルを出た。


今回はサークル出展者の知り合いからサークルチケットをもらっているため、会場に入るために長蛇の列に並ぶ必要がなくなった代わりに、朝8時半まで会場入りしていないといけない。


 


ちなみにVIPチケット所持者は9時半入場、一般チケット所持者は10時入場だったが、会場は9時頃にVIPチケット所持者向けに開放された。予定入場時刻と実際の時刻が違うのはいつものことだ。


 


会場に入って同人エリアに着いて驚いたのは写真撮影の徹底した禁止だ。事前に公式から、同人エリアでの撮影を禁止するというアナウンスがあったが、そうは言っても大した効力はないだろうと高をくくっていたが、現場には非常に厳格なルールが敷かれていた。各サークルブースのネームプレートの上に貼られた「撮影禁止」の紙、ブースを区切るアルファベットの垂れ幕に書かれた「撮影禁止」の文字、「撮影禁止」の立て札を持つCPスタッフなど、とにかく到るところで禁止の文字が飛び込んでくるので、同人エリアで写真を撮ろうという考えはなくなった。


 


公式の取り決めによれば、同人エリアで写真撮影が可能なのは取材証を持つ人間だけで、それもブースを撮影する時は出展者の許可をもらう必要がある。また、壁には入場者へ向けた規則も貼られ、出展作品を笑ったり突っ込みを入れたりしない、ブースの前で長時間喋って販売の邪魔をしない、出展者との交流はマナーを守って行うなどの文言が並んでいた。今回の撮影禁止は今までの入場者の態度を改めるものだったのかと思ったが、私にサークルチケットをくれた出展者によると、「色々言っているが、一番の心配は、会場で出展されている本の写真をネットにアップされ、それが警察の目に止まること」だと言う。


 


確か、前回CP22では現場で出展物の違反を指摘された女性が逆上して、逆にCOMICUPを警察に通報してやると騒いだ事件があったようだが、今回の撮影禁止の措置はこのような報復を予防する目的があったかもしれない。


  


というわけで、同人エリアの写真は全くなく、ただ記憶に基づく報告をするだけだ。


  


15日と16日両日、私は8時前後に会場入りした。CPのスタッフと警備員を除き、会場にいるのはサークル関係者ということになる。しかし、8時の段階ですでにブース前に列ができているのはどういうわけだろう。CPではもうお馴染みになったゴシックロリータエリアの各ブースにすでに列ができているのにも驚いたが、何より目を引いたのは同人エリアにありながら実質公式サークルの『魔道祖師』ブースで、8時にすでに列が3つに分けられるほど、多くの女性が並んでいた(ちなみに『魔道祖師』は作者が同人グッズ販売の自粛を呼び掛けている)。私もサークルチケットを譲ってもらったのであまり人のことは言えないが、サークル関係者であることを利用して早くから並ぶのは「ナシ」じゃなかろうか。


 


あと、ブースと言えば、私は気付かなかったが、同人グッズの値段を書いた値札を置いていないところが多かったらしい。販売はしていないという建前で警察の介入を防ぐのが目的だろうか。


  


今回は見たところ、男性向け女性向けともにそこまで過激な表紙は少なかった。


  


今回興味があったのは日本語訳もされている中国の人気漫画『一人之下』の島だったのだが、やはりほとんどが諸葛青と王也という女性向けカップリングばかりで、私の好きキャラである肖自在をテーマにした同人が一つもなかったので何も買わなかった。


 


 


 


殺人嗜好症の異常者でちょっとずれてる肖自在(一応味方側)


 


 


ところで、中国ではすっかり生活に欠かせなくなったスマホ決済だが、今回のCP23で私は現金を使わなかったので、現金受付拒否のブースがどのくらいあったのか不明だ。だが、同人即売会も支付宝(アリペイ)と微信(ウィーチャット)のスマホ決済が主であり、もしかしたら近い将来、こういうイベントでは現金禁止がルールになるのかもしれない。


 


 


そう言えば、CP20に引き続き、日本から漫画家の士貴智志が来ていて、ブースでサイン色紙を描き続けていた。しかし、せっかく日本の漫画家が来ているというのに隅っこで黙々とサイン色紙を描いているのはもったいないと思う。トークショーをやれとは言わないが、通訳も付いているし、会場には有名無名の中国人漫画家も来ているんだから、もう少し中国人との交流を増やせば良いんじゃないだろうか。


  


 


COMICUP23報告 その2に続く


 


 


 


 

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