12月9日(土曜)と10日(金曜)、上海の新国際博覧中心で同人即売会COMICUP21(CP21)が開かれた。
前回5月に同場所で開催されたCP20にハマってしまった私は今回も当然参加。
CP20の模様などはここに書いているので興味がある人は読んでほしい。
8日(金曜)に会社から高鉄(高速鉄道)に乗り、約6時間かけて上海虹橋駅に到着し、付近のユースホステルに着いたのは深夜12時過ぎ。本番を控えてこの日はすぐに就寝。
本番の翌9日は朝8時過ぎにホテルを出て地下鉄に乗り、会場付近の7号線の花木路駅に着いたのはそれから1時間後。花木路駅のプラットフォームや改札口付近にコスプレイヤーがたむろしている。着替えや化粧をしている子らも少なくない。
CP21は午前10時開場だ。その時間前にすでに大行列が出来ており、一般来場者はその時刻からようやく入場できるが、VIPチケット購入者は8時に事前入場ができ、並ぶ必要もない。
しかし6時半のほぼ始発の地下鉄に乗り、8時前に会場に着いた知人たちの情報によると、上海にしては寒い天気の中並ぶ入場者に運営側が優しさを見せたのか、8時半には開場して中に入れたという。一般来場者は入場してから会場に入るまでも長い時間歩く必要があるが、これでますますVIPチケットの存在価値がわからなくなった。
中国の同人イベントは大体有料だ。CP21では、事前予約の通常チケットが1枚48元だったが、当日チケットは60元(1元17元)。VIPチケットは1枚99元だった。もちろんVIPチケットは予約の段階ですぐ完売するので普通チケットの2倍の値段というわけだが、通常チケットと入場時間があまり変わらないのであれば購入者は少し損をした気分にならないのだろうか。
ちなみに上記の知人たちは事前に9日と10日の2日分のチケットを購入したのだが、11月に北京大興区の火災により進められた宅配物倉庫整理のせいで起きた宅配便の遅配が原因でチケットが届かず、当日現場で購入することになった。だから日本のコミケのように始発の地下鉄に乗ったのである。
結局私も9時過ぎには入場。しかし入場してから会場に入るまで5分以上歩いた。CP20より入場してからの距離が長くなっているような気がする。
写真はチケット改札場所の様子だ。「実体票」が要するに普通の紙のチケットで、「電子票」が電子チケットだ。前回は電子チケットの確認がやたらチンタラしていたのでこれには期待していなかったのだが今回はスムーズだった。これなら次回から電子チケットを購入しても良いかもしれない。
会場―同人エリアの様子
CP20の時は同人エリア2館と企業エリア1館の計3館を使用していた記憶がある。今回は2館と2館の計4館で企業エリアの規模が増えたが、同人ブースも数が増えた。
CPの同人ブースはやはり女性向けが多い印象だ。『ユーリ!』や『僕のヒーローアカデミア』など日本と同じジャンルの他、『陰陽師』や『全職高手』など中国オリジナルのジャンルや『布袋劇』という中国独自のコーナーもある。
当然来場者も女性の方が多い…気がする。少なくとも、同人エリアには女性来場者の方が多い。だからVIPチケットの購入者も大体が女性なのだろう。なにせ人気があり行列ができているブースに並んでいるのは大抵女性だった。特に今回で言うと「StudioRS現実幻境」というサークルは1日中行列が途切れることなく、2日目の10日はすでに画集など売り切れていたのにオマケ目当てにまだ大勢が並んでいた。
中国の同人即売会を語る上で「オマケ」は一目に値する存在だ。中国語で「無料」と書くオマケはポストカードやポスターなどの他、クリアファイルやミニ冊子なども含まれる。おそらく日本語から来ているだろう「無料」にお金を払う必要はないが、お金で買えないという厄介な面も持ち、購入品とセットでサービスとして付いてきて、「無料」だけを配るサークルは少ない。「無料」欲しさにグッズや本を購入するようになったら中国の同人即売会にハマっている証拠だ。
この「無料」文化は何なのか。日本のコミケ事情を知る知人は、中国だと公式グッズとバッティングする恐れがないからここまで豊富な種類の「無料」グッズが生まれたのではと言っていた。さもありなん。
しかしこの「無料」、良い物ばかりではなく正直言って欲しくない物も多い。私がある同人誌を購入しようとした時、それと一緒にポスターと袋まで付けてくれたのだが、荷物が多くなるから同人誌だけくれとサークルに言うと「本だけじゃ売れない。サービスだからもらってくれ」と押し付けられた。
サークル側も全員が上海暮らしというわけではなく私のように北京などから出てきた人間も多い。だから売れ残りを持って家に帰りたくないのだろう。しかしポスターはともかく袋はデカイし使い道はないしで全く無用だ。
もらった「無料」の品々
袋・ポストカード・クリアファイル・うちわ?・冊子など
同人サークル
今回目立ったサークルは圧倒的な行列の長さを誇った前述の「StudioRS現実幻境」だ。その他行列を作っていたのもやはり女性向けサークルが多く、正直私にはそれがオリジナル同人なのか二次創作なのか、そして中国のものなのかどうかすらもピンとこなかった。
東方の島では設定集を販売し、事前に微博で何度も宣伝をしていた「」というサークルが行列を作っていた。私も並んで購入した。
その他、東方の音楽関係サークルではビートまりおを始めとする日本から来たサークルも多く、あちこちで日本語が聞こえた。翌10日に上海の別の場所で東方のミュージックフェスティバルが開催されたのだが、彼らはそこにも参加したのだろうか。東方関係以外で日本人が出展しているところはなかった、と思うが実際は不明。FATEの島で日本語を聞いたという情報はあった。
今回は早い段階で現金払いから微信支付(WeChat Pay)に切り替えたためか、購入した同人誌の数はCP20よりだいぶ多かった。ほとんどのサークルが微信支付か支付宝のどちらかに対応しており、サークル側も現金より電子マネーの方が便利そうだった。
サークルによっては支付宝(Alipay)しか対応していないところもあり、私のスマホにはそのアプリがないのでそういうところは現金で払うしかなかった。いくら使ったかデータが残るので、次回からは電子マネー払いをメインにしていったほうがいいかもしれない。
支付宝オンリーのサークル
微信支付と支付宝どちらもOKのサークル
同人エリアの端っこに小さな企業ブースがある。
ディズニー映画『リトルマーメイド』のデザイナーPHILO BARNHARTはCP20に引き続き今回もいて画集にサインとイラストを描いていた。PHILO BARNHARTは宇宙の銀河を切り取ったかのような派手なジャケットを着ていたのを覚えている。
成都で『COMIDAY』という中国語のアニメ情報誌を出版している会社があった。
しかし話を聞いてみると、この雑誌は出版しているが市場に出ることはないようで、今回のようなイベントでのみ販売しているのだと言う。日本と中国のアニメ事情を特集したり、有名な監督らのインタビューを掲載していたり面白い内容だった。
日本からセル画?を売るブースが来ていたがこれがちょっと近寄りがたい雰囲気を出していた。ブースの中は日本人の中年男性だけ。外に看板も出しておらず遠目から見ると何を売っているのかわからない。やっと来た客がセル画の値段を尋ねるとようやく電卓を出して日本円から人民元に換算する始末。
本人たちにはそのつもりはないんだろうが、感じが悪いし不気味だったし色々対応がお粗末だった。
そこではエロイラスト集も売られていたがどうもどっかで見た絵柄だったので有名な漫画家だったのかもしれない。だが個人的感想を言うと、コンセプトもないエロ同人誌(しかも古い)を売るぐらいなら中国向けに新しいイラスト1枚でも描いた方が断然マシだと思う。
おそらくこのブースはCP20で士貴智志サイン会をやっていたところと同じ会社だろう。CP20のときは漫画家本人が色紙にかなり丁寧なイラストとサインを描いていたせいでファンとの交流が全然できず、それもどうだろうと思ったのだが、今回に比べたらだいぶマシだ。流れ作業で大勢のファンにサインだけするのではなく、1枚のイラストに集中するという企画は面白いし希少価値があるが、今回のコレはなんだったんだろうか。もし次回も出展するのならせめて何をしているブースなのかポスターとか貼ってくれ。