COMICUP(CP)はN1(同人誌)、N2(コスプレ)、N3(企業)の3エリアに分かれ、N3から各エリアを通過していく構造をしている。だから、N1に行くにはN3とN2を通らなきゃいけない。各エリアはそれで完結しており、日本のコミケの西館東館のような区分けはされておらず、同人誌を買うために別のエリアや別の場所に行く必要はない。
私はN3の企業エリアなど目もくれずN1へ向かった。N3には中国で人気のあるアニメ・漫画・ゲームの企業ブースがあり、『戦艦少女』や『戦車少女』『陰陽師』などの販売ブースや、新作アニメ・ゲームの宣伝ブース、非売品のフィギュアの展示ブースなど多数の企業が出展していた。日本の角川も中国語版の漫画やライトノベルなどを売っていた。
(行列が並ぶ角川ブース)
(写真はCP2日目に企業ブースの『戦艦少女』グッズ購入のために屋外にまで並ぶ中国の若者たち)
N2はコスプレエリア兼ゴスロリエリアであり、中国のゴスロリショップが出店し服やら装飾品を売っており、やはりゴスロリを着た少女たちが列を作っていた。まさか中国でこんなにゴスロリ愛好者がいるとは思わなかった。
(ゴスロリエリアの様子)
さて本命のN1である。
島が最も大きいはやはり『陰陽師』である。『東方Project』『ユーリ!!!』『FATE』も大きく、その他に『耽美原創』(オリジナル耽美系)という島もある。配置図を見るとわかるが、AからHまでほとんどが女の子向けのブースである。
各ブースはテーブル一つ椅子三つで一単位と言ったところだ。大きなサークルはブースもデカイ。人気のあるサークルや有名な作家(?)が来ているサークルには列ができており、行列の一番後ろには『隊尾』(最後尾の意味。何故か台湾繁体字)と書かれたプラカードを持つ人がいる。人だかりができるサークルは壁際が多いので、中国でも「壁サークル=人気」という認識で良いのだろうか。並んでいるのはやはり女の子が多い気がする。
(作者のサインを求める女性ら)
(最後尾札を持つ女性)
(人気サークルにできる女性の列)
各サークルを回っている子たちは手に購入リストを持っており、時々それにチェックを付けている。日本のコミケでも見た風景だ。また、人気サークルにはファンから差し入れが贈られる。
完売の札を出しているブースの子たちはスケブにイラストを描いていた。出展者同士の交流もあるんだろうか。
耽美系や一部男性向けサークルには肌色の多い出品物がたまに見られたのが気になった。
CP参加のサークルは事前に審査を受けるわけだが、中にはこんなもんがよく中国で審査通ったなと思える内容もちらほらあった。とは言え、日本のコミケで見かけるエロ同人漫画はほとんどなく、露出の多いイラスト集ばかりだったが、耽美系は絡みのシーンも描かれていた。男同士なら規制が緩いのだろうか。
(小林さんちのメイドラゴンのエロポスターを貼るサークル。ヤバイ箇所にポスターを上貼りしている。出品物はエロイラスト集だった)
日本の同人誌の中国語版(台湾繁体字が多い。多分作者の許可を取ったものだろう)や日本語の同人誌を売っているブースも多かった。中国語版はともかく、日本語の同人誌は成人向けっぽいのもチラホラあったが大丈夫なんだろうかと思った。
(上が中国語版、下が日本語版の同人誌)
(同人ソフト『永遠消失の幻想郷』の中国語版を販売するブース。2日目には売り切れていた)
北京のコスプレイベントで見るようなおそらく海賊版のTシャツも少ないながら売られてはいた。また、明らかにアニメとか漫画とかに興味を持っていなさそうな中年男性・女性がいるブースもあったが、多分海賊版の業者なんだろう。
『原創』(オリジナル)島にあるのに『陰陽師』やその他の二次創作ものを置くブースが多くて戸惑った。オリジナルの作品を一つでも置いていれば『原創』ブースを設営することができ、あとは二次創作でも何でも置いてもいいんだろうか。
『無料』の札を貼った小物を並べるブースも多かった。写真を撮っていないのが本当に残念だ。
中国語で「タダ」「無料」を表す言葉は一般的に『免費』と書く。この『無料』は「ご自由にお取りください」ではなく、何かを購入した場合のプレゼント、またはマイクロブログなどのSNSでそのサークルを宣伝した場合のお礼などの意味合いが強いようだ。もちろん、勝手に持って行っても良いと言うサークルもある。
ちなみに、中国語では「つまらない」「退屈」を意味する言葉に『無聊』がある。この『無聊』も上記の『無料』もピン音表記が同じ「wuliao」であるので、上の写真に込められた意味合いとは、このグッズは『無聊』(つまらない)ものなので、『無料』(タダ)でお取りくださいではないかと私は思うのだが、いかがだろうか。
1日目は閉館時間16時までねばってその後はどこに遊びに行く元気もなくホテルに帰宅した。同人誌にいくら使ったかざっと計算したところ500元(約8000円)は使っていた。一緒に参加した友人は小説ばかり買い、700元以上使ったらしい。
(1日目の戦利品)
5月1日 CP2日目
この日はのんびりしようと9時半ごろ会場に着いた。1日目とは打って変わってチケット売り場の長蛇の列がなくなっており、会場入り口前の行列もなくなっていて全く並ぶことなくスムーズに、10時前にはN3(同人誌エリア)へ行けた。
会場の外では昨日の賑わいぶりを嗅ぎつけたのかダフ屋のオッサンが「チケットがあれば並ばなくていいよ!」と叫びながらチケットをさばこうとしていたが、実際はなくても並ぶ必要なんかないので赤字にになったに違いない。
(赤い矢印のついた、人の流れに逆らいずっと突っ立っているオッサンがダフ屋である)
CP公式サイトに書かれている開場時刻は10時だが、私は9時半には入場できたので、この日は9時には開いていたかもしれない。ということはVIPチケット購入者は何時から入ったんだろうか。というか、前日に運営から「明日は○時に会場に入れます」みたいなアナウンスをVIPチケット購入者はもらっているのだろうか。2日目のVIPチケットの存在に疑問を持った。
(1日目は3列以上に分かれていたのに、この日は1列しかなかった)
公式サイトによると、2日目は1日目よりも若干参加サークルが減っている。だから空っぽになったブースも目立った。それは人気サークルも同様で、この日も列ができているブースは多かったが、一部のグッズはすでに売り切れだった。
(サークルが撤収し空になったブース)
(ポスターに『売り切れ』札を貼るサークル)
しかし、空になったブースに、昨日売り子たちが食べていたスイカの皮だけが残されている光景には笑った。何で写真を撮らなかったんだろうか。
この日は、昨日ホテルでカタログをチェックして気になった『月刊少女野崎くん』の同人誌と『魔神英雄伝ワタル』のポストカードを買いに行こうと思ったが、前者はすでに売り切れで、後者はけっこうな人気サークルで女の子がいっぱい並んでおり、恥ずかしくなってためらっているうちになくなってしまった(後者のブースはいくつかのサークルと合同だったようでワタル以外にいろいろな、おそらく中国オリジナルの漫画やゲームの同人グッズもあった)。
2日目だけ参加したサークルっていたのだろうか。全然代わり映えしないどころか、ブースの数が減っているし、売り切れも続出しているしで、個人的に1日目に同人誌エリアを十分楽しんだら2日目も同人誌エリアに行く必要はないと思った。1日目は同人誌エリアで、2日目は企業エリアみたいな回り方が正しいのかもしれない。N3には1日目とは全く異なる弛緩した空気がエリアには漂っていて、一瞬北京のコスプレイベントにいるみたいな気持ちになった。
それで気分が覚めてしまったというのもあり、また16時の高鉄で北京に帰らなければいけなかったので、2日目はそんな金を使うことなく13時半に会場を出た。
次回、戦利品