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HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
41
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
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 日本では時代遅れのものに対して「令和の時代に?!」ってツッコむことがあるが、それでは中国ではなんて言うのだろうかと考えた。「小康社会の全面的完成が実現する今年に?!」だろうか。そのぐらい新鮮味がない内容だった。



 嵐の夜、欣欣と羽羽の双子姉妹は観光バスに乗り遅れたという林芸を車に乗せ、少数民族の村に雨宿りする。村には他にも、民俗学者だという白澤、陳と葉の男女のカップルが避難しており、意図せず来客となってしまった6人は歓待を受ける。その夜、陳が行方不明になり、村で禁断の地扱いされている広場で男性のバラバラ死体が見つかる。だがそれは村の医者薩克のものだった。雨により外界と隔絶された村で、旧習を利用した事件が起きる。
 ありふれた設定にもかかわらず、別に何かの方面に関してこだわり抜いたわけでもなく、全然コテコテじゃないので肩透かしを食らう。少数民族の村には一応村人全員が守る禁忌があり、それを利用したトリックが登場するのだが、今の時代にタブーとか言われても人を殺すような人種はそんなの気にしないだろう。



 登場人物もその個性が物語を面白くする役割を果たしていない。一応主人公?の欣欣と羽羽が双子である意味がよく分からず、本作では探偵役の民俗学者の白澤が他人に不快感をもたらす女好きという、読者から好かれない設定にしたのかも理解できない。冒頭で唐突に登場する林芸が重要人物じゃなかったらどうしようかと心配していたので、きちんと事件に関与していて安堵したぐらいだ。

 さらに6人の客をもてなす村の長老は中国で一般的に話されている「普通語」が分からず、高齢のためいつも家にいるという設定なのだが、この人物が実は自由自在に動いて犯行を行っていたり、何らかの形で事件に関わっていたりするのかと思いきや、結局、閉鎖的な村と招かねざる客の対立関係を緩和させる装置に過ぎなかったのも拍子抜けだった。




 過去の名作から舞台や設定などをつまみ食いしたように見えるが、実際は一つ一つの掘り下げがとても浅く、どれもこれも受けるポイントを外しまくっている。だから、読んでいる途中までは、前近代的なミステリー小説の体裁を借りた、全く新しい実験的な展開になるのではとワクワクし、その期待は残りのページ数が決定的に薄くなる後半まで続いた。『匿身』というタイトルから、何かの秘密が事件の核心となっているのだろうという当たりはつけられ、それが少数民族の風習と結び付いていることが明らかになるが、過去の名作に備わっていた湿っぽさや陰惨さが全然感じられず、結末を読んでも驚きはない。



 本当になんで今さらこんな作品を書いたんだろうか。ページ数を2倍ぐらい増やして、各キャラや村の歴史の掘り下げを徹底的にやれば、昔の長編探偵小説のオマージュにはなっただろうか。
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最近は武侠小説『水滸人』書いている作者の久々のミステリー小説。今までの作品の総集編であるとともに新たなスタートを切る内容だったのだが、読み進めるほど最初に感じた面白さがなくなっていくという作品だった。出てくる「密室」に謎も魅力も全然感じないし、時晨どうした?と心配になった。


 




数年前に中国を震撼させた天才密室殺人犯「密室ピエロ」。警察に逮捕された彼は精神病院に入院させられるも、名前も正体も不明のままその病院からこつぜんと消えてしまい、今では伝説の存在になっていた。そして現代、密室ピエロの復活を思わせる密室殺人事件が発生。被害者は麻薬の売人で、密室となった部屋には赤い水が撒かれていた。事件を担当する唐薇はこの事件が模倣犯の仕業と主張し、長年密室ピエロを追ってきたベテラン刑事・潘成鋼の反感を招き、事件の謎を解かなければならなくなる。そこで知り合いの探偵(数学者)の陳爝と助手(小説家)の韓晋に相談すると、海外にいた陳爝は電話越しに事件を解決しただけではなく、犯人が赤い水を撒いたのは警察に対する挑戦であることも見抜く。ガムテープで閉じられた部屋、警察内部の留置所で発生する人体発火事件など密室にこだわる犯人の目的とは?




  


本作というかこのシリーズの今後の重要人物となる密室ピエロは作品ではっきりと、「『バットマン』のジョーカーと一緒」と書かれているので外見や言動が想像しやすい。実は過去作『鏡獄島事件』ですでに名前だけは出ていたので、構想自体は昔からあったのだろう。また、彼が入った孤島の精神病院は『バットマン』のアサイラムのような施設であることも、作者のアメコミ好きを感じさせる。冒頭にアメコミ要素を持ってきたのには興奮させられたが、面白かったのはそこまでで、密室の謎を含む肝心の内容は話が進むにつれてどんどん面白くなくなった。


 


唐薇の指摘通り、今回の「密室ピエロ」は実際に模倣犯であり、麻薬で親友を亡くした余命幾ばくもない男が「密室ピエロ」と思われる人物の自宅から様々な密室殺人方法が書かれたノートを拾い、それを参考にして麻薬密売組織の関係者を次々に殺していくという内容だ。しかしメインである密室の謎にはどれも魅力を感じなかった。おそらくそれは、自分が考える密室殺人とは、「捜査の手が及ばないようにするために犯人が頭を絞って作る」ものであるのに対し、本書に登場する密室にはいずれも教科書があり、「密室ピエロが殺人を行った証明」としか使われていないからだ。要するに、模倣犯が犯行を「密室ピエロ」に押し付ける以外でわざわざ密室をつくって被害者を殺す必要がなく、「どんな形であっても密室になっていれば良い」と読めてしまった。


 


本書の密室のテーマは「温度差」なのだろうし、作中で述べられる科学的な手法が現実での再現性があるものなのかは興味がない。だが、科学的知識が必要となる犯行であればあるほど理解を放棄してしまう。また、糸を使った密室も登場するのだが、日本のミステリー読者の悪い癖で「今どき糸か」としょげてしまった。「密室ピエロ」という存在を読者に印象付けようとする余り密室にこだわりすぎ、どの密室にも迫力を感じなかったのが残念だ。


 


本作にはシリーズの主人公陳爝と韓晋コンビがほとんど登場しない代わり、これまで本シリーズに出てきた数々のキャラが再登場し、一見すると最終作のような印象を受けるが実はセカンドシーズンの始まりであることが分かる。だから本作が詰め込み過ぎに感じるのも当然かもしれない。正直期待はずれだったので、次作があるなら早く出してこの評価を覆してほしい。


 


 

 

 タイトルはおそらく韓国のスリラー映画『暗数殺人』から取っている。「暗数」とはウィキペディアによると実際の数値と統計結果の誤差で、警察が把握している犯罪件数と実際の件数の差を指す言葉のようだ。

 
 刑務所に取材に来た「私」は、蒋鵬という若い囚人のインタビューを試みる。この刑務所の元看守だという異色の経歴を持つ彼は、補助警察隊だった父親の死と関係がある満期出所者を個人的に捜査し、誤って死なせてしまい、警察から追われる身となった。しかし彼はその後も警察から身を隠しながら、刑務所を出所した元囚人たちの事件を再調査し、警察すら把握していなかった新事実や事件を次々と暴いていった。そしていま、彼は全ての発端となった「筆記(ノート)」にまつわる話をし始めた。

 蒋鵬が看守だった頃に刑務所内で拾ったノートには、自分の父親の事件と関係する囚人を含む7人の囚人の名前と「卦(占い)」の結果が書かれていた。その1人目の調査で、警察が記録している事件の背後にはまた別の殺人事件や犯人たちの口外できない事情があることを知った彼は、すでに終わった事件を取り憑かれたように再調査していく。本書はその7人の囚人と彼らを占った占い師の話の計8編が収録されている。

 事件が起きた時期はどれも1990年代で、中国の農村部が主な舞台として設定されている。ここから当時の田舎の捜査能力の限界が理解できるほか、当時の陰鬱とした農村問題も見えてくる。

 例えば『第一案 師徒案』では、未成年少女への性的暴行の罪で収監されていた男が登場するが、実は本当の犯人はその父親で、男は父親の罪をかぶって服役していた。そして出所後、仲間と共に父親の家に盗みに入ったところ、父親に買われた姉妹(病気のせいで子供のような外見をしているが大人)と出会い、彼は父親に間違われて殺されてしまう。

 また『第四案 硫酸案』では、身元不明の男子によって娘の顔を硫酸で焼かれてしまった男がその復讐を遂げて収監されるが、その男子の母親は男が以前轢き殺したと思っていた女性で、父親は結婚相手を探していた身体障害者だった。

 どの事件も地上から薄い膜を隔てたところにある地獄の浅い層を覗いているようで、生まれや境遇などを斟酌すると犯人側にも同情心を抱いてしまう。しかし、このように犯人しか知らず、また供述したところで罪が重くなるだけの秘密を蒋鵬が掘り返したからこそ、事件の闇に埋もれた女性たちの被害が明らかになったのであり、犯人側にも事情があったとは口が裂けても言えない構成になっている。

 一つの事件の裏には犠牲になった数多くの人生があり、加害者だけではなく被害者も口をつぐみ、陽の光が当たらないまま忘れ去られてしまうこともある。シリーズ物の犯罪ドキュメンタリーフィルムを連続で視聴したような読後感を味あわせてくれる作品だった。
  


 『逆時偵査組-凶手何時来訪(タイムトラベル捜査班-犯人はいつ来る)』。このタイトルから察せられる通り、ジャンルとしてはSFミステリー小説だ。しかしタイムリープ能力を駆使した捜査が重点で、科学的に難しいところはない。




 敏腕刑事の路天峰は、10年前から自分では制御不能なタイムリープ能力を身に付け、不定期的に1日を5回繰り返していた。彼はその能力を使って難関の警察大学の受験に合格し、刑事になってからはそれを駆使して重大事件を未然に防ぎ、順調に昇進を果たしていた。「RAN」という遺伝子治療法研究で名を挙げているバイオ企業・風騰ゲノムの幹部が立て続き殺され、社長の駱騰風に犯人「X」から脅迫状が送られたことで、路天峰は彼の護衛を命じられる。そして4月15日、駱騰風の存在をよく思わない団体「逆風会」から次々と刺客を送られるも無事護衛の任務を果たした路天峰は、16日を迎えることなく2度目の15日を迎える。そして4月15日を繰り返し、新たな真実が次々と明らかになり、駱騰風を狙う手段がますます複雑化する中、路天峰は「X」もまたタイムリープをしているのではないかという疑いを強めていく。

 主人公の路天峰はすでに10年間タイムリープ能力と共存しているので、この超能力に戸惑ったりその原因を突き止めようとしたりする描写はなく、展開がスムーズだ。刑事なのに自分でコントロール不可能な超能力をあてにしているのはどうかと思うが、彼にとって同じ1日を5回繰り返すというサイクルはもう不動であり、本作でもその法則が崩れることはない。


 同じ1日が繰り返されるたびに事件をより詳細に調べ上げ、最後の5回目までに完璧な作戦を立ててどんな重大事件でも犠牲者を出さずに解決するというのが路天峰の手法だが、その異常なまでの事件解決能力は当然上司や部下から怪しまれる。だから警察には、絶対秘密で信頼できる「情報提供者」が外部にいるという設定で通しているが、前回のタイムリープで新たに容疑者リストに加わった人物を次のタイムリープでいの一番に捜査する際、全くノーマークだった人物の捜査を急に命じられた部下は、やはり不気味に思うだろう。

 本作では、「RAN」という遺伝子治療法を研究開発する風騰ゲノムトップの駱騰風を中心に据え、彼の警護期間中に事件が多発する4月15日を路天峰が繰り返す。タイムリープするたびに新たな事実や関係者が現れ、事件の謎は深まるばかりか、路天峰の恋人で風騰ゲノムの科学者・陳諾蘭まで事件と重要な関わりを持ち始め、路天峰はますます疑心暗鬼に陥る。謎を次々に登場させることで、読者の目を「そもそも路天峰がタイムリープできる理由は?」という疑問からそらしているのかもしれない。


 そして一連の事件を捜査する中で、数々の関連事件が起きた日付が、自分がタイムリープした日と同じであることに気付き、犯人「X」もまたタイムリープで何度も同じ一日を繰り返し、完全犯罪を実行しているのだと悟る。


 結局のところ、路天峰一人がタイムリープを繰り返し、その都度部下に様々な情報を集めさせて次の「当日」の対策を練ることと、時間経過と事件の展開に従って指示を出すことにあまり違いはないのだろう。
 

 タイムリープするたびに捜査側としてのアドバンテージを高めていく設定は『All You Need Is Kill』っぽいが、今回の事件でのネックは犯人側もタイムリープを使えるということ。だから路天峰と「X」が4月15日を5回繰り返す中で、相手の裏をかこうとどんどん策略を張り巡らせた結果、最悪の事態を引き起こしたといってもいい。


 長年「そういうもの」だと思って深く考えたことがなかったタイムリープ能力の理由も「X」の正体も重要だが、終盤になって「逆風会」とは異なる組織の存在がほのめかされ、この巻では到底全ての謎を明らかにすることは不可能になった瞬間、物語は次巻に続くことが確定する。事件の背後に謎の組織を据えてシリーズ化するのは大嫌いなので、2巻を買うかは不明だ。ちなみに2巻では路天峰の能力が強化され、3日前にタイムスリップするらしい。


 そして2巻はもう間もなく出るとのこと。中国ミステリー界隈は最近、1巻出したらすぐに2巻を出すという売り方をしているが、これは出版社の販売戦略と作品の長文化がうまい具合に一致した結果なのかもしれない。
 筷 怪談競演奇物語

 

 

 

 三津田信三や陳浩基といった日本、台湾、香港の5人の作家が「お箸」を題材にしたリレー小説を繰り広げるというホラーミステリー集だ。どうでも良いけど、リレー小説って中国語で「接龍小説」って書くの、カッコいいなって思った。

 

 以下、ラインナップ

 

『筷子大人』(おはしさま)
       三津田信三 翻訳担当:RAPPA

『珊瑚之骨』(サンゴの骨)
      (台湾)薜西斯 

『咒網之雨』(呪いのネットに降る雨)
      (香港)夜透紫 

『鱷魚之夢』(ワニの夢)
     (台湾)瀟湘神 

『亥豕魯魚』(間違いと混乱)
     (香港)陳浩基 

 

 (注)『おはしさま』のタイトルは三津田信三のツイートを参考し流用。それ以外は仮訳。

 

各話あらすじ紹介

 

 『筷子大人』(おはしさま)

 あるパーティに遅れてやって来た雨宮里深と名乗る女性が、今から約20年前、彼女が小学5年生だった頃に体験した事実を語るという体裁の怪談的な短編。

 春休み明けに関西からやってきた音根(ねこ)君という少年。音根君は給食時、手作りの竹のはしをご飯に突き刺した。それが不吉な習慣だと知る私は、音根君にわけを尋ねると、彼は「おはしさま」という儀式とそのやり方を教えてくれた。

 ちょうど叶えたい願いがあった私は親らを説得してこの儀式を続けていると、ある夜から定期的に不思議な夢を見ることになる。道場のような場所で、音根君に似た男子など9人の子どもたちが寝ているという内容で、夢を見るたびに誰かが死んでいった。

 

 『珊瑚之骨』(サンゴの骨)

 占い師海鱗子のところに、過去に起きたはしにまつわる超常現象について程という女性が相談にやってくる。分野違いだと遠回しに追い返そうとする海鱗子に彼女は、「あなたから答えを聞きたいのです」と言い、15年前の昔話をする。

 好きな人と同じはしを使い、相手のはしとこっそり交換し、3ヶ月間相手にバレなければ両思いになるというおまじないが流行っていた中学校で、程さんは「天使」と呼ばれているおとなしい少年のことが気になり、彼のはしを狙う。だが彼のはしは、頭がチェーンで繋がっていて、しかもそれをいつも胸元にぶら下げているので交換の隙がない。しかも高価な珊瑚でできている真っ赤なはしで、同じ物を用意することなど不可能だ。どうしても貸してほしい程さんは彼に頼むが、このはしは王仙君という神様が宿っている大切な物だから絶対に貸せないと言われる。そこで程さんはチェーンで繋がっているはしの片方を盗む方法を考え出す。

 

 『咒網之雨』(呪いのネットに降る雨)

 林麗娜、龔霆聰、李一志、葉思婕の4人はライブチャンネルを運営するネットインフルエンサーグループだった。林麗娜の恋人の龔霆聰はチャンネルの登録者を増やすため、「鬼新娘のはしの呪い」という都市伝説を捏造する。鬼新娘という幽霊が出ると言われる新娘潭に、ご飯を盛ったお椀を置き、呪う相手の名前を書いたはしを刺せば、鬼新娘がその魂を地獄に連れて行くという内容だ。

 この都市伝説は香港で大流行し、ネタバラシをした龔霆聰は一躍有名人になったが、同様に大量のアンチを生み出し、彼らの事務所には呪いのはしまで届くようになった。そして呪いなどないと言い張る龔霆聰は、その証拠として差出人不明の呪いのはしを使って生配信中に食レポをするが、突如苦しみ出して苦悶の表情を刻んだまま絶命する。

 アンチの矛先は残りの4人に向けられ、特に龔霆聰の恋人だった林麗娜はネットでの誹謗中傷に悩まされていた。そんな中、林麗娜の携帯電話に、「鬼新娘」を名乗る人物からメッセージが届く。

 

 『鱷魚之夢』(ワニの夢)

 民俗学や妖怪に詳しい推理小説家の「私」は、出版社が台湾、香港、日本の作家を集めて企画した「はしにまつわる怪談」をテーマとするリレー小説に参加し、4話目を担当することになる。そして、はしのタブーに関するイベント終了後、張文勇という記者から「おはしさま」という日本の怪談を教えられる。それは彼女が敬愛するM先生が自身のTwitterで言及していた怪談だった。

 張文勇は、台湾や香港でもはしにまつわる都市伝説が流行っていることを伝えただけでなく、「おはしさま」の夢に出てくる空間の間取りが、台湾に昔あって今はダムに沈んでいるBという国立小学校の構造に酷似していると告げる。その小学校では以前、9人の5年生のうち8人が行方不明になるという怪事件があった。そして「おはしさま」の儀式中の夢に登場する子供も9人。真相を確かめるため、「私」は張文勇とともにすでにB小学校へ向かう。

 

 『亥豕魯魚』(間違いと混乱)

 「おはしさん」の儀式を行い、84日間生き延びた張品辰が叶えたかった願いとは、交通事故で意識不明のままとなっていた聶暁葵の目覚めだった。当時の事故の原因が自分であると責めた張品辰は、香港にいる探偵の阿文から「おはしさん」の儀式を聞き、無事成功させて聶暁葵を目覚めさせる。だが、自称九龍(クーロン)一の名探偵で、超常現象を専門に研究する阿文は、聶暁葵の事故に何らかの悪意が働いていると言う。3人ははしの呪いを終わらせるべく「おはしさま」と対決する。

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