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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
40
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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(4月30日のCP20の様子)


COMICUP(略称CP)とは毎年夏と冬の2回にわたって上海で開催される同人誌即売会である。今年で10年目を数える歴史あるイベントと言えるが、私は今年までこのイベントの存在すら全く知らなかった。

 


公式?サイト:http://www.allcpp.cn/allcpp/event/event.do?event=220
 

北京在住の私にとって中国で開催されるアニメ・漫画関係のイベントとは日本のコミックマーケットのような内容を意味しない。大抵のイベントがコスプレイベントであり、ステージでレイヤーが踊り、歌い、演劇をし、販売ブースでは海賊版を主とする様々なアニメグッズが売られている。そこには同人誌という創作物は存在しない。

 

なので、私は中国で同人誌はもう買えないものだと思い込んでいた。「もう」と言うには訳があり、私は10年ほど前の2007年か08年に留学先の中国人民大学の学生サークルが校内で開催した小さなイベントで東方のメーサク同人誌を購入したことがある。それが健全な内容であったことは特筆する必要もないだろう。

 

また、今年の521日には北京で二次創作物イベントが開かれる。だから、私の知らないところでも同人誌即売会が北京で行われていたのだろうが、北京の大型コスプレイベントである『I DO』や『COSPACE』や『MYC』などでは同人誌は販売されていないので、私がそう思い込むのも仕方ないだろう。

 

しかし、同人誌文化は魔都上海に根付いていたのである。そこで私は、サークルを運営しているわけでも、取材を命じられたわけでも、他に上海に用事があるわけでもなく、ただ中国の同人誌が欲しいという理由だけで、429日から51日のメーデー三連休を利用して上海へ行った。

 

CPのチケットは一般チケットとVIPチケットに分かれ、それぞれに電子チケットがあったが私は2日間つづりの一般チケットを予約購入した。430日と51日の2日分で80元だ。VIPチケットの特典は入場時刻の繰り上げ、これだけである。CP10時開催なのだが、VIPチケット購入者はそれより30分前に入り、人気のサークルにいち早く行き、望みの品を購入することができる。

しかし、一般チケット購入者が入場すればもうVIPの特典はなくなる。だから遊園地のVIPチケットみたいに行列を無視できるというわけではないので、その繰り上げ30分の前にVIPチケットを購入するかどうかは、自分がどのジャンルのどのサークルを目当てにしているのかによる。私もお目当てのサークルはあったが、中国で人気の『陰陽師』とか新作アニメには興味なかったので、VIPチケットの購入は不要と判断した。

 

430日当日、私は大きなリュックを背負って上海の上海新国際博覧センターへ向かった。開場時刻は10時だったが早く着いた方が会場の外で並ぶ必要もないだろうと考えて早めに出たのだがこれが全く甘い見通しであったことをすぐに教えられる。


なんだかんだあって9時頃に会場に着いたのだが、地下鉄駅から続く人の流れの大きさに「アレ?」と思いながらすでにバッチリコスプレしている彼らと共に進んでいくと、当日券売り場に長蛇の列ができているのに面食らう。

 
(写真左の列が当日券を求める人々。チケット所持者は右側を歩いている)

前日、CP公式サイトの掲示板にチケット1100元で買う、とか、VIPなら200元で売るみたいな転売発言が多く書き込まれていたが、上海の炎天下に並ぶ手間を考えたら、多少高くてもチケットを事前購入した方がたしかに良い。

 

しかし、チケットを持っている私も行列に苦しめられた。入口前にも3列に分かれた行列ができていたのである。日差しが厳しく、傘を用意している参加者を羨ましく思った。みんなと並んでいると周囲の声が耳に入ってくる。私の隣りにいた女の子グループは「私はこことこことここ行くから、そっちは頼むね」みたいな役割を確認していた。また、会場時刻の変更が噂されVIP8時半にはもう入っている。一般チケットは9時半には入れる」という話が飛び交っていた。


(一般参加者ゲートの入口前)

しかしその噂は真実であり、9時半に列が動いた。館内に入ってもまず荷物検査があり、それから館内を3分ほど歩き、ようやくチケット確認所へ着く。ここで面白いことが起きていた。チケット確認所は実体チケット(要するに実際持っている紙のチケット)とよくわからない種類のチケットと電子チケットのだいたい3つに分かれていたのだが、電子チケット購入者が多いのか、それとも何か不便が起きているのか、電子チケットに行列ができているのだ。

 
(手前が電子チケットの列)

実体チケットを持つ私は並ぶことなく入場することができた。電子チケットとは並ぶ手間とかチケットを切る手間を省く便利な物だと思っていたのだが、電子チケットに速さを求めるのがおかしく、送料不要でスマホに何かが起きない限り絶対持ち忘れることがないという利点しかないのかもしれない。

 

何はともあれ、私は10時ぐらいに会場に入ることができた。

 

次回の同人誌エリア感想に続く

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合租男閨蜜 著:正月

 

「合租」とは一つのマンションの部屋に数人が共同で住むことを指します。「男閨蜜」とは女性から見て一般の男友達よりは親しいが、彼氏という関係ではない男性を指す言葉だそうですが適当な日本語はあるんでしょうか。

 

中国の、特に北京や上海の家賃は高いので独身者は友人やネットなどで募集した他人とルームシェアをします。私の外国人の友人も昔、2人の中国人女性と3人でひとつのマンションに暮らしていたので、恋人の関係ではない男女2人が同棲することも中国ではおかしいというわけではなさそうです。

 

この漫画は大学時代そんなに親しくなかった凌小邪(男)と童仙仙(女)が、卒業後に手違いで同じマンションに暮らすことになり、傍目には恋人同士に見えるが実際は友人同士という生活を送るという内容です。

 

私はこの漫画を読んで初めて「男閨蜜」という言葉を知ったのであまりよく理解していないせいもあると思いますが、友達以上恋人未満であるが単なるルームメイトでもない「男閨蜜」というあやふやな存在を飲み込めないまま読み終えてしまいました。ですので、今も疑問符ばかりが浮かんできます。

 

というよりも…

 

  

 

 

 

 

いや…お前ら今はフリーだし(童仙仙には片思いの男性がいる)、まだ若いんだからそのまま付き合っちゃえば良いんじゃねぇの?って思うのですが、この設定って果たして中国人には受けるのでしょうか。

それとも、恋人でもない女性と同棲している中国人男性はこういう関係を羨むのでしょうか。個人的には『お笑い』よりも理解し難い設定だったと思っています。

 

 

(ちなみに、上のシーンはすべてウェブ漫画からコピーしたものですが、オッパイ揉んでいるシーンはコミック版では以下のようになっており、セリフも改変されていた。)

 

 

裏表紙に書かれた説明文も意味不明です。

 

赤枠には中二蘿莉白飄飄(中二病ロリータ白飄飄)という記述がありますが、白飄飄とは彼女のことです。

 

 

全く中二病らしさを感じませんし、ロリでもないです。どっちかというと童仙仙の方が幼く見えます。

 

中国では、日本のオタク用語が本来の意味と異なる、または曲解され、もしくはイメージが広がりすぎて、何故対象にその言葉が使われているのかわからないという現象が起きます。一体この紹介文を書いた人間は白飄飄(作中では柳飄飄という名前)の何を見て中二蘿莉と形容したのでしょうか。中二病もロリも中国と日本で全く違う使われ方がされているとしか思えません。

 

 

この作品は今もネットで連載されていて、今後は2人がカップルになったり、凌小邪の方にも気になる女性が現れたりするらしいのですが、そうなると単なる恋愛漫画に成り下がりそうです。

 

そしてこの漫画の作者「正月」は何と、『快把我哥帯走』の作者「幽・霊」と同じく双子だそうです。こちらは双子の兄弟だそうですが、中国の漫画界は双子でデビューするのが流行っているのでしょうか。

 

参考:合租男閨蜜のウェブ漫画URL

 

 

 

双子の姉妹漫画家「幽・霊」の第二弾。デビュー作『快把我哥帯走』はテンションの低い兄妹の話だったが、本作『頭条都是他』は男性アイドルグループが主人公だ。『頭条』とは中国語で『トップニュース』という意味だから、タイトルを翻訳するとすれば『トップニュースは彼ばかり』となるだろうか。

 

 


人気アイドルグループ『FLY』のメンバーである尹深はアイドルとしての実力もあり知名度も当然高いのだが、俺様的な傲慢な性格や迂闊な言動が災いしてアイドル活動以外のことばかりがいつもニュースに取り上げられる。同じグループの梵允諾と流蓮に度々迷惑をかけているのだが彼自身は悪気に思うどころか、むしろどんなニュースでもトップで扱われないと不機嫌になる。そして、FLYのアルバムの人気がBlack Heartというアイドルグループに負けたことで彼のイライラは頂点に達する。中国のアイドル事情を反映した?笑えるシーンあり、シリアスシーンありのギャグ漫画。


 

尹深には自分がアイドルだという自覚はあるのですがそれ以上に自意識がデカいせいで何かとスキがありまくりで、一言で言い表すなら『炎上しやすい』タイプです。例えば子供と一緒に遊ぶテレビ番組で本気を出して子供を泣かせたり、変顔を写真に撮られたり、女性タレントの売名行為に使われてツーショット写真を撮られたりして、そのたびごとにネットを騒がせます。

別に悪いことしているわけではないのにスクープになって炎上するアイドルやタレントって日本にもいますよね。そういう点では親しみやすいキャラクターかもしれません。

 

そして彼の負けず嫌いの性格とダメ人間らしさが如実に出ているのがこのシーン。

 

 

Black Heartに一位を奪われたという現実を受け入れたくない彼は、Black Heartが組織票で一位になったと思い込む。そして自分のファンに彼らを通報するよう呼びかけようとするが、それでは足りないことに気付き、とうとう警察に電話しようとしたところを他のメンバーに止められる。

 

 

この必死な顔、何かのパロディでしょうか。インパクトが強すぎる。

 

これ、アイドルというかニコ動の歌い手やYouTuberレベルのプロ意識じゃないのか…と漫画とは言え引いてしまう描写が多々ありますが、実力のある人間が自意識とプライドに支配されながら障害物を蹴散らしている様子は読んでいて痛快です。

何より本作が、彼が新人アイドルとしてこれから業界の荒波に揉まれていくという作品ではなく、プロとして完成された姿がコレで、このままメンバーやファンに迷惑をかけながらアイドル活動を続けて行くという設定が面白いです。

 

本作はネットでも読めますが、日本からはアクセスしづらいかもしれません。

 

参考:頭条都是他のウェブ漫画URL

http://www.dmzj.com/info/toutiaodushita.html 

 

 

 

 

前回の続き

 参考サイト

 



海賊版サイトとネタバレ師との間に一体なにが起こったのか。まずは海賊版サイト『鼠絵漢化』が発表した『掲示板のネタバレ師の通報を受けて鼠絵が全ての中国語版マンガを撤去した件に関する通知』を見て、あらすじを簡単にまとめたいと思います。

 


『掲示板のネタバレ師の通報を受けて鼠絵が全ての中国語版マンガを撤去した件に関する通知』

 

鼠絵は一本の通報によって「呼び出し」を喰らいました。関係者の協力の下、この鼠絵を粛清しようとした勇者の正体を調べたところ、驚くべきことがわかりました。それは掲示板に長年ネタバレをアップしていたlawofuekiだったのです。

彼はもともと鼠絵漢化サークルに所属していましたが入団テストの成績が普通だったのでワンピースの翻訳をさせていませんでした。その後彼は掲示板のワンピーススレッドやジャンプスレッドに簡単な翻訳や転載をするようになり、いつしか有名人となり、鼠絵漢化サークルを退団しました。

そして、lawofuekiは毎週木曜日にあらゆる海外サイトに張り付いてジャンプスレッドにジャンプを最初に転載する「神」のような存在になりました。

 

つい最近になって鼠絵がアップした翻訳に間違いがあったことで、鼠絵と掲示板の間に軋轢が生じたが、これがlawofuekiを刺激したのか彼はその後「合法的な利益を守る」という名目で鼠絵を通報するようになり、Twitterでもジャンプの編集部に密告しました。

彼は正義の名の下に通報しているしれませんが、彼自身も毎週マンガを転載しています。我々(鼠絵)がやっていることは確かに真っ当なことではないですが、彼のような小物に関わっている暇はありません。


 

 

『鼠絵漢化』の声明は今回の騒動に対して特に謝罪はしておらず、通報による処置も取ってペナルティも受けたと説明し、文章の大半が通報者であるlawofuekiを責める内容でした。

 

 

しかしlawofuekiは『鼠絵漢化』の声明に対して?(両者の声明がどちらも削除されているので時間軸がよくわからない)以下のようなコメントを発表しています。

 


『鼠絵を通報したことに対して責任を持つ。自分がしたことに後悔はしていない。』

 

きっかけは最近鼠絵の微博に晒されたことだ。鼠絵の原文を理解していない勝手な解釈の翻訳には前々から不満を持っていたが、これがTwitterで通報した原因じゃない。私が通報した理由は鼠絵が非常に下品だからだ。

私は以前鼠絵に属していたがそれは今回の通報と関係はない。今回の件で各所に大きな影響を与えてしまったが後悔はしていない。そして違法アップロードに関して、私が掲示板に転載していることも正規版の著作権を侵害しているだろうという指摘があるかもしれないが、私はそれを否定しない。もし今後違法アップロードで制裁を受けてもその処分を甘んじて受け入れるつもりだ。違法アップロードをする人間はみなこういう覚悟を持ってやっていると思っている。

中国という正規版と海賊版の狭間で存在している奇形的な社会が現在の状況を作り出した。私はもう掲示板での業務を辞めるつもりだ。それが自分の行為の責任である。


 

 

事態を釈明しているようで責任転嫁の態度が見え隠れし文面から真摯さが伝わらない鼠絵に比べるとlawofuekiのコメントからは騒動を引き起こした人間が持つ覚悟が感じられますが、彼が正義であると思い込むのは軽率です。事件の経過を見ると鼠絵の横暴な態度に腹を立てたlawofuekiが自爆的な行動を取ったと言えますが、私から見ると双方は同じ穴のムジナでありどちらが正しいかは判断しづらいです。

 

ちなみに上記のlawofuekiのコメントを載せているサイトはlawofueki贔屓で鼠絵批判を展開していて、その非常に長ったらしい文面には今回の事件で浮かび上がった鼠絵への疑惑や鼠絵の過去の所業などがつぶさに記載されていますが、公平性の面で信憑性に欠けます。

ここで取り上げられている鼠絵の問題点を紹介するのも面白そうなのですが情報の裏取り作業も含めると本当に何日かかるかわからないのでここではやりません。

 

 

私は今回の事態を単なる仲間割れとしか見えませんでしたが、双方の言い分を見ると同業他社同士の潰し合いだったことがわかりました。そして事件が大きくなった理由は以下2つの存在にあると思います。

 

 

1.翻訳組の存在

日本語のマンガを中国語に翻訳する団体のことを翻訳組、アニメやドラマに中国語の字幕を付ける団体のことを字幕組と言いますが、日本のマンガやアニメに限定すればこれらの仕事は一般的に無償のボランティアのようです。(他の海外アニメや海外ドラマも金銭が発生していないかは不明)

私は過去にマンガの翻訳をしていた中国人と2回会ったことがありますが、彼らは私の「バイト代いくらだったんです?」という問いに対して「そんなの貰うわけないじゃないですか」と驚いたように答えてくれました。

マンガやアニメ好きの中国人にとって翻訳組などはタダでも良いからやりたい仕事なのかもしれません。(しかし中国語のマンガの最新話を作るにしたって中国語に翻訳する以外にコマのセリフを中国語に修正するDTP作業もあるから全ての作業者が一銭も貰っていないということは考え難いです。まぁそういう世界だと言えばそれまでですし、ある程度以上の仕事はボランティアではない人間が担当しているかもしれません。)

 

lawofuekiも当初は鼠絵の翻訳組に所属していましたが、新人には人気のある作品を割り当てられないようでワンピースの翻訳には参加できなかったそうです。そして彼は個人でワンピースの最新話を翻訳して掲示板にアップするネタバレ師となりましたが、これが鼠絵の仕事内容とかぶっていますので両者は敵同士となるわけです。

 

lawofueki贔屓の上記サイトには鼠絵の誤訳を紹介しており、lawofuekiも鼠絵の下手くそな翻訳に怒りを覚えていたとコメントしているので、時には両者の間で喧嘩が発生したのでしょう。そして鼠絵にとってもよりによってネタバレ師に自分たちの翻訳の質が個人より劣ると指摘されると腹が立つわけで、ネタバレ師を攻撃したりネットに晒したりしたようです。

両者の険悪な関係が今回の事件を引き起こす要因の一つとなりました。

 

 

2.海賊版の存在

鼠絵とlawofueki双方のコメントを見て失笑してしまうのは双方とも自分がやっていることを悪いと思ってはいるのですが、だから海賊版業界から手を引いて償いますという結論にはならない点です。通報された鼠絵はlawofuekiだって同じことをやっていると拗ねてみせ、lawofuekiの方は「いつでも捕まる覚悟はある」と全く信用出来ないセリフを吐いています。

 

lawofueki贔屓の上記サイトでは鼠絵批判を繰り返していますが、鼠絵はけしからんという論調で進んでいるコメントの結論が「だから海賊版サイトの利用を止めるべきだ」とはならず、「鼠絵漢化ではなく他の海賊版サイトを見るべきだ」になっていて海賊版サイトの是非を考えることを放棄しています。そして鼠絵は翻訳などをボランティアにタダでやらせているくせに企業として儲けているのがけしからんという主張もしていますが、ここらへんはちょっと嫌儲的な考えで賛同できません。儲けているからダメ、ではなく、この行為自体がダメだと言えないと批判にはならないでしょう。

 

海賊版が既に文化として根付き、良質な海賊版作品を作り出して商売ができるまでに発展してしまったことで海賊版をアップロードする作業者もそれを享受する読者も海賊版がなくなるということを想像できないから今回の事件はひとつの海賊版サイトとひとりのネタバレ師の争いという形で終わりそうです。


・終わりに 

2015年に『熊猫漢化』という海賊版サイトの関係者が日本で著作権違反で捕まったことで現在そのサイトではマンガの違法アップロードが行われていないことを考えると、海賊版サイトはいつなくなってもおかしくない存在ですし、「いつでも捕まる覚悟はある」と豪語したlawofuekiも実際に何らかのペナルティを受けることになるかもしれません。しかし、仮に鼠絵がなくなっても他のサイトでは相変わらず海賊版マンガはアップされ続けるでしょうし、鼠絵のように儲けたいと考えて新たに海賊版サイトを作る者も現れるかもしれません。更に、ワンピースの翻訳で有名だったlawofuekiが引退するということを受けて、今度は自分が彼のようなネタバレ師になってやると考える者もきっと出てくるでしょうし、あの海賊版サイト(ネタバレ師)が気に入らないから通報してライバルを減らす手段を取る者も現れるかもしれません。

 海賊版マンガや違法アップロードは既に同好の士だけが楽しむ趣味の世界を超えて、相手より一分でも早く最新話をアップしてやろう、相手よりもっと上手く翻訳をしてやろうと鎬を削る世界と化し、遂にはライバルに特攻を仕掛けて共倒れを狙いドロドロの内情をさらす仁義なき戦いの世界へと突入しました。ですが読者側からすれば今後も中国語版をアップしてくれれば誰でも良いので、今回のような共倒れは二度と起きないで欲しいと言ったところでしょう。ですので今回のような騒動は決して海賊版根絶には繋がらないと思いました。

主に日本のマンガ、とりわけ『ワンピース』や『進撃の巨人』などの有名作品を中国語に翻訳し、日本の発売日よりも早く最新話の中国語版をアップロードするサイト『鼠絵漢化』でトラブルが発生したそうです。

 

このサイトは2013年に自分たちが翻訳した『進撃の巨人』が漫画雑誌に無断転載されていることに腹を立てて注意したところ、外野から「お前らだって勝手に翻訳してアップロードしているじゃないか」と指摘を受けたことがありますが、中国人のマンガ読者からすればたくさんのマンガを無料で翻訳し、しかも日本より早く公開してくれるところですので重宝されているようです。

 進撃の巨人が読めるのは漫画少年だけ!

しかし2016510?(具体的な日時は不明)にサイトからマンガが全て撤去される事件が発生し、511日に公式サイトから『掲示板のネタバレ師の通報を受けて鼠絵が全ての中国語版マンガを撤去した件に関する通知』という声明が出ました。

  

この件はマンガを勝手に中国語に翻訳してアップロードする海賊版サイトと掲示板でマンガの早バレを提供するネタバレ師の『仁義なき戦い』であり、どちらが正義というわけではありません。少なくとも私の目には内ゲバというか仲間割れに見えました。

中国の海賊版業界の内情を理解するためにもその顛末をまとめようと思います。ただ、関連サイトを読めば読むほど情報が多すぎてすぐには整理できないので、一旦参考サイトだけをメモして後日まとめたいと思います。

 

参考サイト

http://www.yxdown.com/news/201605/291842.html

http://www.zhihu.com/question/46177975

http://www.weibo.com/p/1001603974765743326288


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