人民大学の同人フェスティバルが今年もまたやってきた。もも、留学に来てから欠かさず行っているイベントに参加しないわけにはいかない。
もう卒業して遠くに住んでいるというのに、出展者でもないのにわざわざ地下鉄で一時間もかけてボクはいったい何やってんだ?!
まぁそんな自己嫌悪は終わってからすることにして現場へ向かう。前回とは違い、今回は朝からやっている同人即売会から参加することに。
例によってロシア人オタクアンドリーを誘う。最近読んだ漫画は『北斗の拳』だそうで、出会い頭に『お前はもう死んだ』とちょっと間違った決め台詞を言われる。
即売会は例年以上の盛り上がりで30以上のブースが出店していた。現場にいるのは一般オタクとコスプレイヤー。やはり人気なのはボーカロイドや東方シリーズでエライゴツイカメラを携えたカメラマンが押し寄せる。ボクの自慢のカシオのデジカメなんか持っているヤツなんか一人もいない。
なんか格好いいカメラマン
セクシーな胸元
なんか人だかりができてるなと覗いてみたらどうやら女の子2人が男キャラの格好をしてキスをしているBLシーンを展開しているらしい(ややこしいな)。これいろんな人に写真に撮られてるんだけど後日どっかのサイトにアップされる心配はないんだろうか。
ここだけ血なまぐさいFPSの世界。万が一暴動が起こっても彼らに任せれば安心だ。
スカウターのみのコスプレなのに、一見してドラゴンボールのドドリアさんだとわかる卑怯すぎる容貌。
日本のコミケよろしくその場でスケッチブックに絵を描く出展者などなど。
同人誌は大学という場所柄エロいのはなさそうだったが、女性向けBLが目立ったのが印象的だった。ブースによっては本だけ買うことはできず、本+ポスターやCDを特製の袋に入れて1セット50元という日本のコミケと同じちょっと高い値段。しかしそれらが飛ぶように売れ、午後になるとほとんどのブースが売り切れで店じまいをしていた。
午後のコスプレイベントは場所を替えて屋外から屋内へ。
キャパシティ800人の講堂に1,000人は収納されており、ぼろい銭湯のサウナぐらいの気温だ。
このイベントは午前中の誰でも入れる即売会とは違いチケットが必要なのだが、そのためにはこんなに長い列に並ばなきゃいけない。しかしそこは中国。友人でありブース出展者の中国人オタクKさんに便宜を図ってもらいチケットをアンドリーの分と2枚もらう。
さすが第7回目となるイベントとなるとチケットチェックが完備していて、以前のようにチケットを持っていなくても入れるという矛盾はない。
と思ったら開場して2時間もチェック係が消えて誰でも入れるようになってた。まぁ何時間もチケットだけチェックするのは疲れるもんね。
会場の中でおこなわれているのは寸劇である。コスプレイヤーたちがそれぞれキャラに成りきって自分たちで考えたオリジナルのストーリーを演じる。常に動き回っているので台詞は別の人間がマイクで喋っており、舞台上の彼らは基本口パクだ。
オリジナルストーリーと言っても展開は原作に基づいているので、それを知らなければ楽しさは半減だ。それを承知で見続ける。
……
……
………
フッ…
何言ってるかサッパリわかんねぇ(´―`)
ダメだ。原作云々じゃなくマイクの状態が悪いせいで外国人のボクには上手く聞き取れない。素人が作った脚本なのが信じられないぐらいドッカンドッカン受けていて、笑い所がわからないのが本当に悔しい。
しかしここでもBLが大人気。ちょっとそれっぽいシーンになると『ヒュー』とか『キャー』などの黄色くそして野太い声が上がる。
なんかつまんないな、とチケットが取れなかった人が聞いたらぶっ飛ばされそうですが、そもそもコスプレをした素人がやる劇なんか見て面白いわけがない。まぁ原作の漫画を知ってる銀魂の寸劇は流れが若干わかるだけ見られたものだったけど。
コスプレ劇をやるなんて中国独自のものだと思う。なんでこうやって発展したんだろうか。アニメがいくら好きでもイリーガルな方法でしか見ることができず、商業的にも参加できない悔しさと何でもOKの無法地帯的なところがあるから自分たちで好きにアフレコやったりキャラを演じたりするんだろうか。
今回のイベントも大盛況に終わった。来年はもっと規模が大きくなるだろうし、流行するアニメによってはコスプレのバリエーションももっと広がるだろう。しかし参加者は年と共に変遷する。ボクの友人のKさんも今回が最後と言っていた。今後参加者のレベルが上がるのか下がるのか、それは残された者次第だ。
着替えもせず帰る彼らの姿は潔さがあった。
PS:一昨年も去年もいたマリオさんとルイージさんですが、今年はマリオさんだけいました(写真は撮れなかった)。こんなところでルイージの不人気が……
PS2:今回の戦利品