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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
40
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
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 相変わらず日本人への暴行事件が起こる中国で日本人をターゲットにした当たり屋とか、日本人が中国人に乱暴したってデマが起きないのが不思議でしょうがない。
 
 最近日本人の友人の身に極めて不愉快な事件が起こった。友人とそのパートナーの中国人が大家と部屋を更新するかどうか喫茶店で話し合っていたのだが、大家が提示した家賃があまりにも非常識だったため友人は呆れてその場をパートナーに任せて外に出た。
 すると大家も店から出てきて部屋の鍵を返せと言う。いくらもう契約する気がないとは言えまだ満期になっていないのだから返せないと友人が言い返すと、大家は火が付いたように喚き「日本人が私を虐める!」と叫んだ。


 その場はパートナーの執り成しで事なきを得たのだが、もしその仲裁がなければ友人は周りにいた血の気と不満が多い中国人によって愛国の被害者になっていたかもしれない。または友人自身が大家をぶん殴っていたはずだ。
 
 こんな話が出ると、それは中国人のごく一部だよとか、理性的な人もいるとかのフォローがされるが、嘘つき村と正直村が存在しないのだからそりゃその土地土地にはいろんな人がいるだろう。人殺しにだって気心の知れた親友がいてもおかしくなく、そう考えたらこの大家にもきっと良い人の側面があるはずだ。
 


 私は人付き合いが好きな方ではないので、今まで面と向かって『日本鬼子』と罵られたことも、友人のような不快な事態に遭遇したこともなかったが、半日デモ以降危機を身近に感じるようになると、やはり自分も中国のドラマに出てくる日本兵と同様退治される悪人側なんだと思い込むようになった。それこそ中国に到着した瞬間から『悪人』という属性が付いてしまったかのように、いざというときは『悪人』として討たれ『正義の味方』の溜飲を下げる役割を体を張って演じなければならないのではないかと考えた。
 

 中国人が中国国内へ向けた日本人は悪い人ばかりじゃないという理性的な声に励まされそうになるが、だったら中国人も悪い人ばかりじゃないよね?と疑問が浮かぶ。結局、国単位で悪人扱いされていると、良い人なんて属性は自分のキャラクターを知っている相手にしか通用しない。
 
 
 日本人であるというだけで理不尽な偏見や暴力に遭うのであれば、中国で良い人でいる必要なんかあるだろうか。

 こっちで活躍している日本人たちはそれこそ不良が雨の日に捨て犬を拾うように、日本と日本人のイメージアップに努めてきたけど、こういうことがあるとせっかくの努力も水の泡になる。一生懸命やってきたことも無駄になるリスクがわかっているのであれば、いっそのこと最初から良い人なんか目指さず、ヒール(悪役)になったほうが生きやすいんじゃないか。
 
 悪人は人から憎まれ恨まれ蔑まされるが、ヒールは自らが選んだ役割であるが故にそれらに屈しない強さを持てる。それに、中国であまり良い人として有名になると今度は日本人から石を投げられる心配があるが、ヒールは嫌われるほど自信と魅力が増す。
 
 
 ヒールという選択肢は出自を利用した過酷で魅力的な個人の売り出し方だ。

 今の中国で中国人から更に嫌われて憎まれ役として有名に成ることは難しいし、ましてや魅力的な悪を表現する事を許してくれないだろう。だが別に露出しなくても日常生活上で自己防衛としてヒールに徹するのはありだと思う。
 

 個人の人格がどうであれ日本人である以上『悪人』という属性から逃れられることができないのであれば、日本人としてではなく一人の人間として嫌われた方が筋が通っている。無自覚な悪人としてぶん殴られるよりも、自覚的な悪役としてその痛みを受け止めたい。つまりヒールになりきり有名になれるのならそれがベストだが、日常生活をヒールのような心持ちで送っているだけでも精神衛生上良いんじゃないかと。
 
 ヒールに成るには逆境をものともしない度胸と力、そして元々備わっている魅力が必須だが、何せ最初から『悪人』という属性が付いているのだからベビーフェイスになるのも一苦労だ。そして良い人として積み上げてきた功績が報われない結果に終わるのであれば、常にアウェイ状態のヒールという生き方は例え最期があだ花だとしても、誰からも哀れまれることない終わりに自分自身すら魅力を感じるのではないだろうか。

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