中国はいま物価高で肉やら野菜やらが軒並み高くなり、その煽りは大学の食堂にも及んでいます。メニューの値段が高くなったりすることはないんだけどご飯に肉が少なくなって、代わりに骨や脂身が多くなった。
僕は豚の角煮定食が好きなんだけど(日本のような大きな角煮じゃない、3センチ大の肉の甘煮)その角煮がほとんど脂身で食べててくどい。しかも脂身を食べていると子供の頃のトラウマを思い出してしまい、うまく味わえなくなる。
小学生の時、友人が持っていた漫画に『学校の怖い噂』っていうマガジンで出してたコミックスがあった。それは『アウターゾーン』のようなSFホラーでもなければ、『となりの花子さん』みたいなおどろおどろしい怪談でもなく、人を噛む小さな宇宙人が出てきたりトカゲのように地を這う女教師が出てきたり、プールで溺れ死んだ先生が生徒にしがみついてプールの底に引きずり込むなどの、質感が伝わってきそうな生理的嫌悪感を起こさせる漫画だった。
その中で『ディビット』だか『マイケル』っていうみんなに苛められているでかくてノロいハーフの子が靴をどこだかに隠されて、それを探している途中に交通事故で死んでしまい幽霊になっていじめっ子たちに靴の在り処を聞いて回るって言う話があった。
そして、彼の嫌いな食べ物って言うのが『脂身』でいじめっ子たちが彼の給食のお椀に大量のそれを入れて彼を吐かせるんだけど、そこの脂身の描写が脂ぎっていて脂臭そうで本当に吐きそうになるほどなんですよ。
友人たちは脂身に怯える彼にゲラゲラ笑っていましたが、僕はディビット以上に脂身が恐ろしくて今でも脂身を食べるたんびに思い出す。
この漫画、他に同級生が自販機で80円で売っている正体不明の黒いジュースを飲む話があったり、ナメクジを食べるナメクジおばさんがいたり、『食』と『ホラー』を執拗に結び付けていた。口の中に物が入るという何でもない生理現象に拭いがたい嫌悪感を加え、しかも画力も半端じゃないから一瞬自分の口の中に『何か』があるって錯覚しちゃうんだなぁ。
ラーメン屋に置いちゃいけない本の一つに数えられてもおかしくないよ。