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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
42
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
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 『真犯人』が入れ替わり立ち替わり出現し、読んでてスゴい疲れるサスペンス。

「アイツが真犯人だ」→探偵「実は真犯人をおびき出すための嘘です」。
「ボクが真犯人です」→探偵「誰かをかばっています」。
「じゃあアイツが真犯人だ」→探偵「捕まえに行きましょう。多分違いますけど」

 急展開につぐ急展開だが、パターンが全部一緒だからとにかくクドくて飽きが来る。
 

 名探偵が警察に殺人事件の解決を頼まれるというお馴染みの展開からスタートするが、探偵と助手が傍若無人というか2人揃って自信家で、警察はそれとは真逆に恨みでもあるのかってぐらい無能に描かれている。
 

 雨の夜の日にだけ起こる女性のみを狙った連続殺人事件が4件目を数えた日、名探偵高峰のところにとうとう警察から事件解決の依頼が来る。4件目の被害者が警察局長の娘とあって窮地に立たされた警察はとうとう外部に協力を求めたのだ。しかし高峰は4件目は前の3件の事件を模倣した別人による犯行と断言する。高峰の聞き込みによって関係者の口から語られなかった真実が明らかになり徐々に真相に近づいていくが、『真犯人』が次々に逮捕され、ついには自首する人物まで現れ捜査は混迷を極めていく。
 

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 作品が過去に2度島田荘司推理小説賞に入選している王稼駿(第一回では規定違反により資格を取り消されている)が編纂した短編推理小説集。各掲載作品はいずれも最推理(中国大陸で売られている推理小説雑誌)で掲載されたものだと思われる。
 
 本書の特徴として各作品に推理雑誌の編集者や推理小説評論家による書評が付いている点だろう。書評を読んでから本編に入っても良いし、もう一度本編を読み返すのも良しだ。
 
 作家陣には編者の王稼駿をはじめ、劉念夕、氷穎、鶏丁、夜先生、河狸、無聊的生魚片、段一、汐辰ling(令に羽と書く)、釘子がいる。『歳月・推理』派の私には馴染みのない名前ばかりだったので、作品のあらすじとレビューを書こうと思っていたのだが、ある作家の来歴がどうにも腑に落ちなくてとても全員分のレビューに取り掛かる気分になれなかった。
 
 その作家とは王稼駿とともに本書に作品が2つも載っている劉念夕。
 

 
 中国ミステリでハズレを引きたくなかったら、台湾か香港の作品を読めばいい。台湾人推理小説家林斯諺の新作『芭提雅血呪』(パタヤ 血の呪い)はその信頼に応えてくれた。まぁ新作と言ってもそれは中国大陸でのことであって、台湾での初出は2010年だからあくまでも簡体字版に限った話である。

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 タイのパタヤにあるホテルで人体消失事件が発生する。被害者はホテルの一室で謎の炎に体を焼かれて屋外のプールに転落、死体も上がらずにそのまま行方不明になった。そしてその噂も無くならないうちに台湾からやってきた観光客団体の一人、陳善駿が事件のあった部屋で全く同じ事態に見舞われ、観光客仲間の目の前から姿を消した。
 
 これだけなら外国で起きた単なる怪奇現象で済んだのだが、後日その団体メンバーで写真家の沈昭鵬が台湾の自宅で殺害されたことが両国の事件を繋ぐことになる。心霊写真マニアの沈昭鵬はタイで陳善駿が自室で炎に包まれてプールに落下する瞬間を写真に収めていたのだが、彼の部屋からそのネガが消えていたのだ。
 
 台湾警察に事件の解決を頼まれた探偵の林若平はついに現地パタヤに乗り込む。そこで彼を待っていたのは知人で探偵の日本人阪井誠司だった。2人の調査により沈昭鵬は陳善駿消失事件の核心に触れる写真を撮っていたため命を狙われていたことがわかる。そして真犯人の魔の手は2人にも迫っていた。
 
 

 真本格、純推理、2010年オリジナル本格推理の幕を開ける作品…とちょっと目を引く文言が帯に書かれているが、中身はミステリファンの期待を手酷く裏切る内容だった。だが先入観を取り払って読んだ場合に全く別の感想が生まれる怪作の可能性もなくはない。

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 惨劇の舞台となる山頂の別荘は過去に何度も関係者が死んでいる曰くつきの物件であり、12室ある客室にはそれぞれやぎ座やおうし座などの12星座の名前が割り当てられている。

 そこに集った無個性な主人公の『私』をはじめ、タロットや占星術ができるちょっと『イタイ』女や、洋楽とAVが大好きなチャラ男、本書で探偵役を引き受ける推理小説オタク、病弱な女など12人の大学生が殺人事件に巻き込まれる。第一の殺人が行なわれたあと、携帯電話の電波が不意に消え、更に悪天候で外に助けを呼びに行く事もできない完全な陸の孤島と化した別荘で、主人公はアマチュアの探偵を頼りに連続殺人を食い止めようとする。
 

 クローズドサークル、密室殺人、占星術などミステリ小説の王道を踏襲しており、舞台設定もトリックにおあつらえ向きである。更に肝心の探偵が成り行きで探偵役になっただけの素人で、徐々に探偵の不可解な行動が目立ってくるという展開には十重二十重の謎の存在を感じさせる。
 
 しかし死体の側に描かれた梅の花と『0914』という数字の意味について全く言及されなかったり、犯人の動機どころか被害者同士の関係性すら読者に考えるヒントも与えられないまま物語が佳境を迎える段になって、本書に漂っていた地雷臭がいよいよ顕著になる。
 

 
 燕南飛と凡一の合作ミステリ首席探偵陸凡一シリーズの三作目。
 
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 本書がシリーズ最終章だとどこかで眼にしたが、むしろこの終わり方で四作目に続けたら大したものだと素直に褒めたい。
 

 今度の舞台は墳峰村という名前が若干不吉な山間の村。過去に原因不明の疫病で大勢の村人が死に倒れ、未だに迷信深い土地柄のままになっているその村で起きた猟奇殺人事件が起きた。現場には40センチ以上の駆り出された陸凡一は、既に到着していた同僚の欧陽嘉や現場の警察官馬所長らと共に捜査に当たる。現場に残された28センチを超える大きな足あとと強大な力で引き裂かれた死体を目の当たりにした刑事たちは山に住む野人か怪物の仕業を疑う。また病院では全身の血を抜かれた看護師の死体が見つかり、猟奇殺人事件はますます常人の理解の範疇を超えていく。
 
 ミステリの定石を考えると一連の事件は怪物や超常現象の仕業に見せかけた人為的なトリックであることは想像つくし、陸凡一や欧陽嘉もその前提で捜査を進めるのだが、読者としてはもしかしたら本当に怪物が出てくるかもしれないという不安が消えない。しかし、そんな不安など物語ラストを読めばまだ作者に遠慮していたとわかる。
 
 その後物語は閉鎖的な環境を利用して村を陸の孤島にしたり、恐慌状態の村人を魔女裁判じみた行動に走らせて警官と一触即発の状態にさせたりと緊迫感を増していく。また『陰森恋人』とタイトルにあるように、ある登場人物の昔の恋人が猟奇殺人どころか過去に起きた疫病にも関わっていたという真相や、その他の人物の過去が明らかになると、先ほど自白したばかりの犯人が語った動機が突然信用出来なくなり、彼らの人間関係を疑うことになる。

 20数年前に蔓延した疫病のそもそもの原因が村に隠されていた『731部隊』の細菌施設であったように、実行犯が判明したとしても彼を犯罪に駆り立てた黒幕の存在がいるので、犯人の自白に隠された真意を見ぬかなければいけない。
 


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