先日は北京のクラブ街で開かれた『じい』氏主催のヒップホップパーティへ行った。
会場にはクラスメイトのほか各地から集まった中国人・外国人が多く来ていた。だが楽しみ方は人それぞれなのか一緒に来た友達のロシア人アンドリーは他の外国人と一緒にロシアンポーカーに興じていた。
みんなが喋ったり踊ったり歌ったりしているとこでお前らなにしてんだよ・・・
A「なんかこの一角だけホテルモスクワみたいですね」
となりで友人Aのつぶやきが聞こえた。
長い黒髪のアンドリーのほか、変なグラサンをかけてるロシア人、トレンチコートを着た2メートル近い大男のカザフスタン人、金髪碧眼のドイツ人たちの様子を見ていると確かにマフィアが暇つぶしにポーカーやってると見えなくもない。
飲酒喫煙はしているがお金もかけてないしみんな笑いながら遊んでるのに、なんでこうも不健全に見えるのか。これで葉巻があったら本当にブラックラグーンの世界だよ。
パーティは『じい』氏たちの演目も盛況に終わり、宴もたけなわというところでフリーダンスの時間になり世界各国の男女が入り乱れてのダンスパーティに。踊るのが苦手な僕は先に帰ろうかとアンドリーを呼びに行ったら、グデングデンに酔っ払って人事不省になっているドレッドヘアーの男が手足を持たれて外へ運ばれているのが見えた。
こういう迷惑な酔っ払いは世界共通、どこにでもいるようです。
アンドリーと2m近いカザフスタン人の一緒に帰ることになり、彼と自己紹介をすることに。
「名前なんて言うの?」
「オレ?パ○×リー」
「えっ?もう一回言って」
「パ○ュリー」
・
・
・
・
・
パチュリー・・・・・・?ずいぶんデカい魔法使いだなぁ・・・・・
夜はすっかり更けていると言うのに店のあたりにはまだ人の賑わいがあり、クラブ帰りの客を狙って路上で水や果物を売っているおばさんの姿があった。
ここならすぐにタクシーが捕まるだろう、そう思い道路に出ると
「バーバ・・・・マーマ~~~」
?
なんだ?この助けを求める静かなうめき声は・・・
声のする方へ視線を落とすとさっきのドレッドが路上に寝ている。周りには彼の友達だろう外国人たちがどうしたものかと逡巡しており、一人減り二人減り最終的にはスパニッシュ系の人だけになってしまった。
放っておくわけにもいかんだろうと、僕らとスパニッシュさんの四人で彼をタクシーの近くまで運ぶことにしたのだが、こんな自分の力で立てないほどの酔っ払いを乗せるタクシーなどはなく、立て続けに乗車拒否をされる。
僕がどうしようかと考えていると、外国人三人が英語で会話している。
パ「ペラペラぺラ・・・水ぶっかけねぇ?」
ス「良いな、ペラペラ・・・」
するとスパニッシュ、近くで売っていたペットボトル水を持ってきてドレッドの体にジャバジャバかける。
だがドレッドは起きない。むしろ「バーバ、マーマ」の叫び声が酷くなった。
パ「ドレッドが乾いてるだろ?それに水かければ起きるんじゃねぇ?」
ス「なるほど」
なんのなるほど?!ペットボトル三本追加。
だがこのドレッドの中国人、少しも起きる気配がない。しかも彼の泣き声に人がいっぱい集まって来て、かなりヤバい状況に。
なおも水たまりに寝る彼とそれを心配そうに囲む僕らにはもう打つ手がなかった。救急車を呼ぶ案も出したが、ことをおおごとにはしたくないスパニッシュの友達心のため彼を起こす以外何もなす術がない。どうするべきか・・・
そんな閉塞状況の中、アンドリーが動いた・・・
ア「大きいペットボトルくれ!」
なにお前、倍プッシュしてんだよ!!
状況はどんどん危ない方向に・・・なんか怖くなった僕は傍目に見ている中国人たちの横で彼らの様子を見ていたら、水をぶっかけているのがマフィアの制裁にしか見えなかった。ドレッド、地上で溺れているよ・・・ゴボゴボ言いながら『不要!!不要!!』って叫んでるよ・・・
よくよく考えたらこのメンツ、程度の差こそあれ全員酒が入ってた。僕もウォッカを一杯ひっかけている。だから酔っ払いが酔っ払いの介護をしてる状況のため、スパニッシュがドレッドの酔いを醒まそうとボディにフックねじ込んでるのも仕方がない。
ここで僕は水を何リットルも浴びてすっかりビショビショになった彼を見ていると、あることに気付いた。
僕「なぁ、こんなに濡れてたらタクシーに乗れなくないか?」
ス「・・・そういやそうだな」
何回も冷たい水をかけたからドレッド、五月だと言うのに体から湯気が出てる・・・
そして騒ぎを聞きつけてカメラを持ってきた馬鹿が来やがった。女性にこういうことは言いたくありませんが物凄い不細工がドレッドの醜態を撮ってやがる!そ れにキレる僕ら。特にスパニッシュは英語と中国語を交えた汚い言葉で威嚇するのだがその不細工はよくわからんが『写真を撮る』権利を主張しやがってますま すスパニッシュを怒らせたため、僕とアンドリーが壁になることに。
その他にもいろいろやったんですが、なんだかこのドレッドはダウナー系の酔っ払いのようで父母を呼ぶ泣き声がますます大きくなり、事態は介護する前よりも酷くなった。
その後、一番近くで心配そうに見ていた中国人のオジサンの車を借りることができ、なんとか大事には至らなかったんですが、本当に一時はどうなることかと心配した。そして何よりも僕がこのマフィアグループにいるっていうことが一番怖かった。
というわけで大変有意義な一日でした。
え~と僕、どこに行ったんだっけなぁ・・・・
ロアナプラのイエローフラッグ?PR