枇杷を買った。
果物売りのリヤカーの中にホヤみたいな形の黄色い果物を見た。東海林さだおが本の中で枇杷なんか旬の季節がいつかわからないし、食っても食わなくてもいいものだけど一応抑えておきたい。と言い捨てられていた枇杷が売られていた。
ボクは枇杷が好きだ。黄色い皮を爪で剥いで、前歯で果肉をこそぐように食べる。際立った美味さはないが手に溢れる果汁の瑞々しさが如何にも初夏らしい。
そんな枇杷を中国人はどう扱っているのか。枇杷好きとしては海外でも冷遇されるのは忍びないので調べてみた。
のど飴の材料に使われる以外あんまり応用性がない。種はでかいし果肉は薄いので丸ごとかぶりつくぐらいしか味わい方がないのだろう。店でカットされた状態で出て来て欲しくない。
良く言えば無個性、悪く言えば自己主張なし。そんな扱いに困る問題児。味や見てくれが原因じゃないのに不人気果物。冷やした方が美味いのか、そんなことまでいちいち考えさせられる扱いづらい良い子ちゃん問題児こと枇杷。同じ種デカ仲間のライチはいろんな商品化が決まっているというのに、枇杷はジャムとかゼリーとか別に枇杷じゃなくても良いものばかり。産地はと聞いたらどこの県も声を潜める私生児。
甘からず酸っぱからず、リンゴや葡萄のように素直に味を形容できず、梨のように歯触りを楽しむものでもない。枇杷って本当に不遇だ。
しかしリヤカーで買った枇杷は美味しゅうございました。ただ、次にリヤカーを覗いたときは甘酸っぱさがウリでかぶりつくとアゴまで果汁が垂れるプラムに替わってた。だから枇杷よ、お前の季節はいつなんだよ