ボクにはアンドリーというロシア人の友人がおりまして。
彼はまだ18、9歳の子供で、日本の漫画やアニメが好きで毎日ネットでそれらを観ています。主なものはワンピースやブリーチといった少年漫画系なんですけど、観たアニメはけっこう幅が広くて、彼にグレンラガンやサムライチャンプルーなどといった名作を紹介してもらったこともあります。
これは一種のサムライ漫画ですけど、るろうに剣心やサムライディーパー狂とかといったメジャーな漫画とは違い、アニメらしくないサムライ漫画です。刀と刀を打ち合わせたり、派手な奥義を繰り出すわけでもなく、斬られれば死ぬという漫画では表現しがたいリアルを描いています。種類的に言えばバガボンドや無限の住人に似ているかもしれません。
それを彼に読ませてみたら、もうはまるはまる。
おそらく、ここまで静かで迫力のあるサムライ漫画を見たのは初めてなのでしょう。あいにくとボクが持っていたのは日本語版なので、彼にはアニメもあると紹介しました。英語字幕ぐらいはあるでしょう。
そしてボクの本棚をお気に召したアンドリーはもっとないかとせがみます。
じゃあ、と漫画好きなら誰もが読んでるであろう寄生獣を読ませました。
そしたらこれが失敗した。
アンドリーは寄生獣にも興味を持ったんですけど、ストーリーの展開が理解できないみたいなんです。それは漫画が日本語だからという理由ではなく、もっと複雑な要因があります。
彼がよく読む漫画は、絵を観ればだいたいの内容がわかる少年漫画ばかりなので、寄生獣のようにキャラの台詞の意味や顔色の変化を読み取る必要のある漫画はあまり読んだことがないんでしょうね。
彼はなんとか理解しようと、このパラサイトってどっちが味方でどっちが敵なんだ?と聞いてきましたが、それは愚問でしょう。そりゃ主人公側が『正義』側に決まってますけど、そんな簡単な善悪論じゃあ寄生獣は語れません。
だからボクは言ってやりましたよ。ロシア語版があると思うからそれを読め。ってね
いや、実際そうするしかないですよ。口では説明できません、百聞は一見にしかずです。
そしてボクは彼に読んで欲しいんです。完読しても終わらない、脳みそにずっと残り続けるような漫画を。
書を捨てよう、町に出よう
本よりも人と向かい合う方が価値がある。
いやいや、それでも本からしか学べないことも少なくないだろう。
愛だの友情などは現実ではなく漫画から学んだことのほうが多くはなかっただろうか。漫画と共に成長してきた人生だからこそ、漫画は捨てたくないものです。
外国人オタクのアンドリーには、心にずっと引っ掛かるような漫画を読んでもらいたいです。そしてジャンプだけがジャパニーズマンガじゃないってことを体感して欲しい。
こういうとき、マンガやアニメのアップサイトに感謝したくなりますね。違法ですけど。