二次元狂熱4月号購入
一冊20元という値段は他雑誌と比べてけっこう高いけど、CDが付いているしクオリティと値段が釣り合っている雑誌は内容も信じられるので、見つけるたびに購入することにしている。
目次は
① 投稿メールのコーナー
② 東北大地震について…日本のアニメ・漫画業界の反応
③ フィギュアニュース…東方のフランドール・スカーレットのねんどろいど紹介
④ 新作ゲーム速報…『大帝国』について
⑤ 第8回博麗神社例大祭について
⑥ 日本のAVメーカーTMAの新作情報
⑦ イラストレーター深崎暮人特集(20ページも!!)
⑧ 東方百合幻想郷にようこそ・星蓮船編の同人誌一挙紹介(どうやって買えと?)
⑨ ニコニコ動画月報(中国からニコ動は遮断されているんだけど、二次元狂熱を買う人間は壁ぐらい乗り越えろという意味だろうか)
⑩ あなたの知らない化物語(15ページもある!)
⑪ 今年度NO.1ゲーム・グリザイアの果実
⑫ 素晴らしき日々~不連続存在特集(24ページもあるってなんでだよ!?)
⑬ 付属CD
特筆すべきは⑤番のTMA特集か。
中国で最も有名な日本人って言ったら蒼井そらか、もしくは加藤は加藤でも加藤鷹だと思うけど、オタクに一番知られているのはゴローだろう。この特集ではゴローが所属しているレーベルTMAが2010年の冬コミで販売した全年齢向けのDVD『俺の妹がこんなに愛しいわけがない』と、後日発売されたAV版『俺の義妹がこんなにエロいわけがない』をまとめて紹介している。流石に本番行為を映した画像までは載せていない。AV紹介のわりにはセックスシーンの描写はしておらず、しかしこのレーベルの一番のウリであるネタ的な面白さにもあまり触れていない。純粋な紹介文だ。
⑦や⑩や⑫などの10数ページにも上る特集は投稿者が独自に執筆した文章であり、日本の雑誌から翻訳しただけの丸パクリではない。しかしだからと言って卓見が載っているわけでもない。それらを見たことがない読者に向けて内容を丁寧に説明してくれているだけだ。
そして⑬の付属CDだが再生してみて驚いた。4月号で特集されている各種ゲームのBGMやCGばかりじゃなく、東方projectの同人誌(中国語翻訳済み)やニコニコ動画のMADまで収録されている。紹介だけして読者を生殺しにさせない配慮か。そして20元という高価格はこのCDによるのだろうか。
・ノドから出た手が…
最新作のゲームや春季に放映されるアニメやらを散々紹介されても中国には秋葉原もないしテレ東も映らない。同人誌もそうだしニコニコ動画も同じだ。この雑誌には中国では到底買えやしないものばかり載っている。
しかし手に入らないわけでは決してない。新作アニメは動画サイトで見られるし、ゲームや同人誌は方法さえ知っていればいくらでもDLできる。
このテの雑誌で問題なのはまさにそこだ。読者は雑誌のおかげでいくらでも日本の情報を仕入れることができるが、外国という環境のもとでは情報入手→即購入という流れにはならない。そりゃ日本にも商品を買わずに違法DLして済ます人間は少なからずいるだろうけど、中国だと欲しい物はまずDLするという選択肢が用意されている。
そこに罪悪感という感情は存在しない。彼を取り巻く環境が彼の行動を許すからだ。
二次元狂熱は読者の購買欲ではなくもっと直接的な物欲を刺激する。そして読者は金銭を消費することなく物欲を満足させられる。
日中の環境はあまりに異なるのだから、日本の基準でものの良し悪しを計ってはいけないことはわかっている。でもこの二次元狂熱がアニメ雑誌として質が高いゆえに、そして開けっ広げにAVやエロゲーまでをも特集する面の皮の厚さゆえに、このクオリティが漫画・アニメ産業へ還元されないものかと期待してしまうのだ。