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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
40
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
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 ダン・ブラウンの『ダヴィンチコード』の翻訳者・越前敏弥による長年の文芸翻訳に関する経験談が書かれたエッセイです。


 本を出版する以上、翻訳とは個人の仕事に収まりません。本書では出版社の編集者や周囲の翻訳者、更には海外にいる知人の力を借りて一冊の日本語の本を作り上げる翻訳の裏側が書かれています。タイトル一つ、文章一本翻訳するのも至難の業で、これが本当に正しい訳なのかと考えてしまってドツボにはまる状況は文芸翻訳以外の翻訳者も何度も経験したことあるはずです。


 本書でも言われていますが、読めば別に大した事のないと思える訳文でも、それを実際に翻訳するまだに多大な労力がかかっています。読者は既に翻訳された作品を読んで正解を知っているからあれこれ言えますが、最初に答えを作る翻訳者は単語一つ翻訳するだけでも難儀します。しかしそのように悩み抜いた結果、名訳と言える文章ができるわけです。


 本書で主に書かれているのは当然英日訳のエピソードですが、決して特有のものではなく翻訳業界全般に通底する話であることがわかります。特に『翻訳の基本十か条』なんてどの言語の翻訳でも必要な条件でしょう。



 この本を読んでいるときは自分が中日訳をした際のことを思い出していました。例えば、『ダヴィンチコード』に登場する黒幕である『Teacher』の訳語を一ヶ月かかって『導師』に翻訳するというエピソードには昔中国の伝統芸能関係の文章で出て来る「上課」をどう訳すか悩んだ自分と重なりました。

 この「上課」とは一般的に「授業」と翻訳されるので最初はそのように訳していたのですが、伝統芸能の記事で使うのはちょっと現代的過ぎるという指摘を受けて、結局は相手側が提示した「稽古」を使用しましたが、たしかにこの方が文章の内容に合っていると思いました。


 私は別に著書一冊もないほぼ日雇いの兼業翻訳者ですが、それでも自分なりの翻訳の作法を持っていますしエピソードも多々あるので、そういうことを日々まとめておくことが大事だなと感じました。
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