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プロフィール
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栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
40
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

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 殺猫小屋 著:今夕何夕我是誰 

 shamao.jpg
 
 タイトルからは想像もつかないが本作はシャーロック・ホームズのパスティーシュ作品である。しかし中身はパロディと言うか大学のミス研が書いた二次創作レベルの代物で、なんでこんなものが25元もするのか腑に落ちなかった。
 
 いくらホームズ物の作品が世にありふれているとは言え、1894年のロンドンにテレビとテープレコーダー出しちゃマズイだろう。
 
 


 1894年5月10日から毎週日曜日になるとロンドンの有名な場所にミンチ死体によって描かれた真っ赤な七芒星が現れる。『七日血案』と名付けられた凶悪事件の7番目の舞台として予告されたディファナ寺院に向かったホームズとワトソンだったが、そこでも犯人の凶行を止めることは出来ず、七芒星が描かれた寺院は炎で燃え落ちる。
 捜査に行き詰まる二人の前に、『七日血案』の犯人を知る人物が現れる。彼は犯人の真の目的は自分が所持している『聖石』にあると訴え、ホームズにそれを託したあと何者かに殺されてしまう。
 凄惨な事件と『聖石』の間には一体どんな関係があるのか。そしてホームズは徐々に世界の真相に迫っていく。
 



 
 実は半分以上に目を通したあたりでとうとう我慢できなくなり読むのを放棄した。
 いやこれは酷かった。序盤にテレビやテープレコーダーが出るのなんてまだマシで、中盤以降は作者が悪い方向へ筆がノッたせいで、既にホームズ物というよりもミステリジャンルの範疇を超える悪ふざけが展開される。
 
 スーパーカーに乗ったホームズがワトソンとともに崖から飛び降りて空を飛ぶシーンは、モリアーティ教授との死闘で未だに目を覚まさないホームズが観ている夢か、晩年のコナン・ドイルの脳内風景と言われた方がまだ説得力がある。
 

 私はホームズの短篇集と『バスカヴィル家の犬』ぐらいしか読んだことがないのですが、原作もこのぐらいSFめいていたのだろうか?霧の街ロンドンの雰囲気を徹底的に破壊するストーリーのせいで、『聖石』なんていう中二病あふれるアイテムの胡散臭さが全く気にならない。
 
 
 この小説の何が一番腹に据えかねるかと言うと、序盤に『電灯やテープレコーダーなどの登場が本来の歴史背景と食い違っているのは、本作を書くために必要だったからだ』と注釈を入れている点だ。じゃあスーパーカーはどういう理由で出したんだろうか。

 
 こういう作品が好きな人は楽しく読めるのだろう。とんでもない設定が実は全て伏線でラスト数ページに怒涛の展開が待っていたのかもと考えると、途中で読むのを諦めた私は非常にもったいないことをしたと思う。
 
 
 意図のわからない原作レイプを繰り返した本作の最も恐ろしいところは、こんな小説を書く作者が1976年生まれのいい年したオッサンだったということと、中国人の反応を見ようと百度で本作のレビューを検索したらただの一件も引っかからなかったってことだ。


 まったく時間を無駄にしてしまった。

 本書から今の中国ミステリ業界がこんな小説すら市場に出るぐらい供給過多だと捉えることが出来たら少しは読んだ甲斐もあるのだが。

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