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プロフィール
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栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
34
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      

kabe.JPG

これは僕が留学している大学のはずれの壁に描かれた絵で、いわゆるウォールペイント(落書き)だ。

中 国と言っても不良はいる。しかも大学構内の壁に描かれているから、エリート大学と言われる本校の大学生がやってるんだろう。嘆かわしいと思う反面、とても 面白いと思う。そもそもこういうウォールペイントって言うのは反社会的なもので、自分勝手な自己表現の他に社会への諷刺が多少なりとも含まれていると思 う。

自由にものが言えない中国で本音を発言でき、更に自己表現もできる場所になってくれたら楽しいことになりそうだ、と僕は常々そう思ってた。

さて、先月の五月十二日、中国で世界を震撼させる大事件が起こった。四川大地震である。死傷者は当初の予想を大幅に裏切り、七万近い数に上り、最終的には十万人を超えるんじゃないかという意見も出ている。

被災者を追悼するために全国では大規模な大会が催され、テレビでは連日のように死者を弔い救助隊を鼓舞する番組が組まれている。各地の大学では募金活動や垂れ幕に寄せ書きなどが行われ、僕の大学でも学生たちが揃って自主的に参加した。

募金箱には真っ赤な百元札(1600円ほど)が惜しげもなく投げ込まれ、テレビでは百元札の束を寄付する人間が放送された。

留学生も活動する。僕の大学の日本人や韓国人は消極的なんだけど、西欧人などのいわゆる『外国人』が能動的に動き、他の留学生に参加を働きかけ、結果的には世界各国の様々な人種が追悼キャンドル点灯式に来て、犠牲者の冥福を祈った。

北京の道を歩く中国人は中国本土の地図がプリントされて『中国加油』(中国頑張れ)や『I LOVE CHINA』『抗震救灭 众志成城(地震に耐え被災者を救済せよ、一致団結して力を発揮しよう)などの文字が書かれた『愛国Tシャツ』を着ている。

友達の中国人は四川省出身だということもあり、今度の夏休みには被災地へボランティアしに行きたいと僕に言った。

 

外国人の僕は彼ら中国人の団結力の強さに驚かされて、日本人は無関心が問題だが中国人は感情的になりすぎるのが問題だなと一人で勝手に結論付けて、募金箱に拾った五元札(80円ぐらい)を入れた。

 

今回の大災害で日本の自衛隊や救助隊が派遣され、中国国内での日本の印象がずいぶん上がったことで、友人たちから感謝の言葉をかけられた。

「今年は日中友好の年になりそうですね」と笑顔で促されたが、「ああ、そうですね……」と言葉尻の濁った答えしか返せなかった。

来たはいいが天候や中国軍との関係で満足な仕事ができずに帰って行かなければならなかった自衛隊や救助隊員の虚しさを思うと一概には喜べない。韓国やロシアも協力しているんだから、日本だけ褒められるのはおかしな話だろう。

それに今回の災害で日中関係が良好になるなんて、今回の地震で亡くなった数多の死者を利用することにつながらないだろうか。僕は今度の日中友好ムードには悲観的だった。僕だけじゃない。全ての日本人留学生が喜んじゃいなかった。

中 国がいつ手の平を返すのだろうかとあまり期待していなかったから、僕は彼らに曖昧に微笑むだけだったけど、大方の予想通り先日中国政府から『あまり日本ひ いきになってはいけない、歴史を忘れるな』とお達しが出たので、彼らがこの話題を振ることはもうないだろう。もう困った顔をして話題を避けることもないの だと思うと若干気が楽になる。

 

中国が愛国熱で燃えあがっているいま、誰もその熱に水を差すものはいない。しかもこれは天災で誰が悪いわけじゃないのだから(あまりにも脆い建物を作った業者たちには十分すぎる責任があるけど)、敵がいないのに国民が団結しているという愛国の理想形を実現しているわけです。一時期はカルフールボイコット騒動なんかも出ましたが、カルフールが破格の募金をしたことで熱が引いたことも幸運だった。

 

だが災害の混乱にかこつけた嫌な事件は起こる。一般人による救援物資の強奪や軍人の横流し、寄付金の着服に幼児誘拐。また、胡錦濤や温家宝など共産党幹部が現地視察に訪れる際に、彼らを出迎えるために復旧作業が一時中断するなどの本末転倒な事態や、病院が治る見込みのない重傷者を病院の隅に追いやり、軽傷者や子供を人目につく場所に配備するなど笑えないことが次々起こっている。

 

だがこれはないだろう。

kabe1.JPGkabe3.JPGkabe2.JPG

これはさっきの画像の隣に描かれた新しい落書きだ。この絵が犠牲者を追悼し救助隊を応援している意味を表しているのが一目でわかる。

だけど……ウォールペイントっていうのは反社会的なものだろう?なぜ大衆に気に入られるような絵を描くのだ?

それに、こんな落書き描かれたら消すに消せない。消したらきっと理由の如何なく責められるだろう。僕は中国の法律に全然詳しくないけど、壁にこういう絵を描くことで犯罪を咎められないというのはウォールペイントとして矛盾を起こしている。

社会の敵、身近にある法律違反の代表なんだから一日で消される覚悟を持って、危険な絵を描くべきだろう。

例 えば『被災地に出向きあまりの惨状に瓦礫の山で泣いている共産党幹部の足元で、助けを求めている瓦礫に埋まった民衆』とか『民衆が集めに集めた寄付金が四 川へ送るまでの過程でどんどん減ってってる図』とかが面白い。これなら愛国心に水を差すようなこともなく、むしろ国民に『やはり政府には任せられない、民 間が頑張らなければ』とさらなる団結力を生ませる。

だが、この絵に描かれているのが救う人民と救われている人民の二種類だけで、役人の姿が描かれていないところが政府へのささやかな反抗なのかもしれない、と思ったりもしてみる。

 

今日もその壁がある道を歩いた。絵はまだ変わっていない。多分オリンピックが始まるまで、ずっとこのままなんだろう。
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