上の反対は下。右の反対は左。
じゃあ攻めの反対は?
デパートの普通の書店に売ってた。中国語では『腐女801』。こんなタイトルの本をデパートに置いていったい誰をターゲットにしてるんだろう。
日本にいたとき既に買っていたので別に25元も出す必要ないなとパラパラ読んだら、不思議なことに本の内容が記憶と若干違った。そして帯に『只看不买的是总受!』(立ち読みは総受けだぁー!)と書かれていたから、総受けはイヤなので購入を決める。
家に帰ってじっくり読んでから気付く。
これはただの翻訳漫画じゃない、腐女子指南書だ!
となりの801ちゃんの概要をざっくり説明すると、普段は話が合うだけのオタクの彼女の背中にはジッパーがついている。そして、男同士の仲がとても良いアニメを観たり、現実でホモっぽい光景を見つけたらカップリング大好き腐女子『801ちゃん』が背中から出て来て興奮しまくるという、もともとはネット漫画だ。
作者もオタク、登場人物もオタクなので作中には良くオタクスラングが出て来る。コナンの名台詞『バーロー』とか、ラピュタの呪文『バルス』とかオタクの基本知識を試されるネタが目白押しだ。
しかし中国語訳すると中国人でも元ネタがわからなくなる。
ココで重要になるのが漫画横の注釈だ。
漫画内に出て来る『骗人』(ウソだっ!)が『ひぐらしの鳴く頃に』からのパロディだと説明する注釈。
ツンデレの具体例を絵付きで説明してくれる。
元ネタを丁寧に解説してくれる、コレが中国オリジナルの日本ではあり得ないほどの親切設計。何故なら版権の関係で、こんなことやったら即回収騒ぎだから。
その他、この漫画は腐女子にはどういう風に見られているのかとか、総受けとはいったいどういう意味なのか、腐女子の萌えるポイントは何なのかとか、本家のネタラッシュに中国人の一般オタクが置いていかれないようにちゃんと説明してくれる姿勢は、著作権問題無視を抜きにして尊敬できる。
そしてこの本、原本にはないジブリとか有名アニメの画像を貼りまくっているのにどうやら日本の出版社から正式に許可を取った正規本らしいのだ。原本は既に4巻まで出ている。中国語訳も2巻以降の出版がもう決定しているらしい。翻訳者には頑張ってもらいたい。
漫画にも出て来るように、オタク同士の会話には漫画やアニメに出て来る台詞をそりゃもうたくさん引用する。そうした日本のオタクを思い出しながら再び本書を読んで危惧することがある。
中国人のオタクも嘘を吐かれたら『骗人!』と『ひぐらしのレナ』を真似たような口調の中国語で答えるんだろうか。想像したら日本のオタクよりもなんかウザイ。