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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
41
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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たまには趣向を変えて映画のレビューでも。
 
無形殺【Invisible Killer】
 
 wuxing3.jpg
 


・あらすじ・
 
女性刑事張瑶は大捕物の最中に偽造身分証を持っていた高飛という男を捕まえる。
 
彼はネトゲを通じて知り合った他人の妻を寝取った男としてその女性の夫から人肉捜索にかけられていた。高飛の個人情報は瞬く間にネットに伝播し、顔の見えないネットユーザーから犯罪紛いの嫌がらせを受けることになる。

そして不倫の指名手配犯として追われることになった彼はほとぼりが冷めるまで逃げている最中に警察に捕まってしまう。



その一方で高飛の不倫相手の林燕は夫に不倫がバレたことが原因で家から追い出され、ネットユーザーの目から身を隠しながら当てのない逃亡旅行をしていた。
 
そして高飛が釈放されてからまもなく、不倫相手林燕の首無し死体が浜辺で発見される。
 
彼ら2人にしつこく付き纏っていた記者、人肉捜索の発端を作った林燕の夫、そして警察の調査。多面的な証拠に基づき事件の様相が徐々に見えてきて、いったい誰が林燕を殺したのか、が明らかになってくる。
 
参考:百度百科 無形殺
 

2009年放映のこの映画のテーマは【人肉捜索】です。
 
【人肉捜索】なんて今でこそ手垢に塗れたネタで話題としても落ち目ですが、2009年当時ならまだ賞味期限内といったところでしょう。ボクもブログで何度か取り上げましたし、『人肉捜索』というタイトルの小説も読みました。
 
 
 
【人肉捜索】を改めて説明しますと有象無象のネットユーザーが総力を結集して、気に入らない人間の個人情報を暴きネットと現実世界でターゲットを徹底的に追い込んだり、疑わしい事件の真相を究明したりすることを言います。

前者は【中国紅十字 郭美美事件】、後者は【華南虎事件】が有名どころでしょう。
 

ネットで不正が明らかになるということは人肉捜索の良い側面であり人肉捜索支持者の言い分としてはポピュラーですが、その裏にいったい何人の人肉捜索被害者がいるのか忘れてはいけません。
 


・記憶力の良い面々・

この映画【無形殺】は人肉捜索の凄まじさが誇張されて描かれています。

それは物語冒頭で高飛を尋問する張瑶が「アンタ、どっかで見た顔ね」と口にした疑問に集約されているでしょう。

ただ、高飛と林燕の横をすれ違った通行人が振り返るってのはいささか失笑を禁じえない演出ですが。


 ・迷脇役・

過剰演出を最も表しているのがこの映画の影の主人公である記者2人組です。
 wuxing2.JPG
 wuxing1.JPG
 
カメラマンの六角精児さん(写真上)は高飛たちを追うのは仕事だと割り切っているのでまだマシです。

しかし高飛と林燕関係の掲示板で一番過激な書き込みをしていたことで六角さんの相棒に選ばれた一般人の中年男性(写真下)は言動が芳ばしすぎます。
 

金持ちは銃殺だと路上で息巻いたり、高飛に対してオレたちネットユーザーに謝罪しろと迫ってぶん殴ったり、我々ネットユーザーは高飛を裁く権利があるんだと警察に釈明したりと、正直見るに耐えません。
 

いい年した大人がネットの書き込みをリアルで言うと人間の尊厳はここまで下がるのかと、視聴者が落ち込むレベルです。


しかしこの2人がいないと物語が警察と高飛たち2者の視点でしか描かれず、人肉捜索の恐ろしさと面白さが伝わらないので、中年男性のデフォルメされたキャラ設定も仕方ないと言えば仕方ないのですが。(これで無職だったらバンバンがついて満貫なんですけどね)
 


 ・補足・

実はこの映画は【銅須門事件】という実際にあった事件がモデルになっています。
(注・『門』とはネット上でスキャンダル性や話題性の強い事件に使われます。この前起きた味千ラーメン濃縮還元スープ事件も【味千門】という名称で表されました。
アメリカのウォーターゲート事件(水門事件)が発端です)

 
死者こそ出ていませんが事件の発端や経緯は映画そっくりなので、ここではURLを貼るだけにしておきます。
 参考:百度百科 銅須門事件
 


 ・社会派というナマモノ・

一時期は隆盛を誇った人肉捜索専用サイトも今や、情報伝播の速効性と膨大な利用者数を誇るマイクロブログにすっかりお株を奪われています。
 
『現在高飛を尾行中なう』
 
というシーンがなかったのは映画の製作時期のせいですけど、たったこの一言がないばっかりに2009年上映というこの映画が一層古臭く感じられてしまいました。
 

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