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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
40
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
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気に入らない人物の個人情報をネットユーザーが一丸となって暴き出すことを人肉捜索と言います。情報を提供する人間はその人物の友人だったり同僚だったり元恋人であるかもしれません。彼らによって電話番号から職場の住所まで個人情報の全てを上げられると、そこからネットユーザー(中国語で言うと網民)のバッシングが始まります。

 

人肉捜索に関する有名な事件は去年の四川大地震の時に暴言を放った女の子のものでしょう。ニコニコ動画にも上げられてましたが、地震被災者に対し「もっと死ねばよかったのに」と女の子が言い放つ動画を見た網民(ネットユーザー)たちが、そら獲物が見つかったぞと瞬く間に彼女の個人情報を暴き出しました。

 

日本だとミクシの犯罪告白日記(KFCゴキブリ事件とかキセル乗車など)からの日記炎上→ネット・現実世界双方での祭り状態が有名ですね。

 

事件の発生から個人情報アップ、そしてバッシングという一連の流れを広い意味で人肉捜索と呼ぶようで、日本語の『祭り』とニュアンスは似ているかもしれません。

 

しかしそのようなネット暴力を指す人肉捜索とは別に、中国には人肉捜索サイトというのがあります。 その内容のほとんどは被害者による犯罪者への告発です。つまり自分を被害に遭わせた相手の顔や名前や経歴などをネットに書き込んで、彼の消息を警察でもなく探偵でもないネットユーザーに探して貰う仕組みになっているんです。また、身元不明者の捜索にも使われていてネット上の人捜しとも捉えられますが、顔写真から身分証のナンバーまで掲示するあたり日本の人捜しサイトよりも凄まじい執念が感じられます。日本なら逆にそっちが個人情報法違反で捕まりそうですけど、こっちの警察ってネットユーザーより頼りにならないんでしょうね。

 

 

このように一種の社会問題になり2008年の流行語にも選ばれた人肉捜索を題材に扱ったサスペンス小説があります。その名も、『人肉捜索』です。

 

 


 jinniku.JPG

 

 

事件は多くの人間から恨みを買っている株成金の死から始まります。公安部に所属する主人公何少川は被害者が直前に呪いのメールを受け取っていることに気付き、これがただの殺人事件ではないと見抜く。友人に関する別件の捜査をしていた主人公に立て続けに起こる凶行の知らせ。その案件全てにはあの呪いのメールが関わっていた。しかし、被害者たちに共通点が見出せず、事件は無差別殺人の様相を呈していく。ところが事件の背景には十年前のあるネット事件があった・・・・・・


 

 

このブログを読んで下さっている方の何人が本書を手に取るのかをたやすく想像できるのでネタバレを書くことにします。

 

本作の事件の発端は言うまでもなく『人肉捜索』にあります。

 

犯人は十年前にテレビで迂闊な発言をしたばかりに網民たちによって名前から住所まで全て暴かれ、イタズラ電話に苛まされた挙げ句に体面を気にする家族にも捨てられ放浪することになったネット暴力の被害者でした。そして犯人は自分を生き地獄に落とした人間、特に率先してプライバシーを暴いた網民たちに復讐するために姿を現したのです。

 

しかし加害者の方は遊び半分のパニッシャー気取りばかりで、誰も十年も昔に一人の人間の人生を狂わせたとは思ってもいませんでした。

 

ふとした発言がきっかけで一人の人間が社会的に抹殺されたことも、単なる遊び心がもとで殺されることも双方ともに理不尽です。

 

 

華南虎ニセ写真事件や政府高官の汚職を暴くなど、2008年はネットユーザーが活躍した『網民の年』でありました。しかしネット暴力に発展する人肉捜索はこれからの中国で間違いなく議論される問題となるでしょう。

 

先に紹介した四川大地震の少女は休学に追い込まれましたし、人肉捜索サイトには加害者の両親の携帯電話番号や実家の住所まで載せられています。行き過ぎたネット暴力に傷付けられる人はこれからもきっと出て来るでしょう。それに、一度ネットに上がった情報は必ず残ります。被害者は一生他人の視線に脅えて暮らさなければいけないのです。

 

ですから未だに個人情報法やネット関係の法律が整備されていない中国でネットユーザーが権力を持っても、ネットが単なる弱い物イジメや憂さ晴らしのツールになるだけだと思います。

 

本書は犯人が縦横無尽に移動しすぎて推理面に乏しく、ラストに重複する疑念がくどくてサスペンス性を殺す仕組みになっていましたが中国のネット事情の側面を描き出している一冊だと思います。

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無題
Budou URL
『人肉捜索』読んでみたくなりました。中国ほどではないにしろ、日本でも小中学生が似たような方法でイジメを行ない、自殺者まで出してる始末ですから、同様の小説やドラマが製作されることは時間の問題かもしれないですね。
無題
阿井 URL
日本のメディアで中国のネット状況が報道されればあるいは・・・・・・
先日国籍を換えたコン・リーの件にしてもそうですけど、中国のネットユーザーは日本のよりもっとタチ悪いですよ。あと、他人のだけじゃなく自分の個人情報までも簡単に載っけちゃうところが心配です。
脇が甘い。直訳したら変態ぽい
犬彦うがや
個人サイトの記念写真コーナーや、ようつべを見ていて思うんです。
東アジア系でも、日本人を見分けるのは簡単だなって。
日本人は画像をウプするときに目線を入れます。
なかにはおっちょこちょいな奴もいますが。
なかにはお面つけたり、被りモノしたり、大きなマスクしたり。
そのせいで、性別不明な動画があったり。
この味は嘘を吐いてる腋だぜ・・・
阿井 URL
なるほど、日本人は個人情報曝して身元が割れるのを過去の前例に倣って酷く気にしていますね。しかしミクシなどのネット知識が薄い人たちが集まるサイトには無防備な写真が多くて見ているこっちが不安になりますが。

日本でフェイスブックが流行らない理由がそんなところにある気がします。

ところで下のトラックバックの文章、頭悪そうですね。消し方がわからないからこのままにするしかないんですけど、こういう文章でもちゃんと考えた作者がいて、お金の受け渡しが発生しているんでしょうかね。

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