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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
40
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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2015年中国懸疑小説精選 編者:華斯比

 

評論家・華斯比が掲載誌の垣根を超えて2015年に発表された中国懸疑小説を厳選した短編小説集作品集。序文では中国大陸の懸疑小説及び推理小説に関する現状等を説明しており読む価値がある。またその中で『推理之門』の管理人・老蔡の意見に賛同し中国の懸疑小説とは広義の推理小説だと定義している。そして彼自身の解釈として、広義の懸疑小説とは『謎』に対する答えを主に描いている小説と定めているので本書に収録されている作品には特に凝ったトリックが用意されていない。

(ちなみに2015年中国偵探推理小説精選という本もあるが編者が違う。)

 

本書に収録されている作品内容をあらすじや作者説明とともにここに書き記します。

 

西巴斯貝之恋/高普

近未来的な社会で探偵業のような仕事を請け負っている男がある女性から行方不明の娘を探すように頼まれる。SFものかとおもいきや物語が進行していく中で登場人物たちの正体が明らかになるが、むしろ正体を理解していないと話がいまいちわからない。物語の全貌を読者にわからせる見せ方が非常に上手い。

作者の高普は台湾人。本作は「第7回台湾推理作家協会征文賞」の最終候補まで残った作品らしい。

 

瀕死的女人/時晨

とある女性が語った臨死体験の地獄の風景から殺人事件の発生を察知し、彼女が現在危険な状況にあると知った名探偵の陳爝がワトソン役の韓晋とともに彼女が入院している病院へ行き調査を行うと案の定そこの看護師の死体が見つかるという話。このような、一見無関係な話から事件を連想する人間って勘が鋭いっていう次元じゃなく頭おかしいんじゃないかと思う。

作者の時晨は中国では数少ない本格派、代表作に『黒曜館事件』がある。

 

石陽諜影/何慕

時代は後漢の建安二十一年、蜀からやってきたスパイの劉晨は捕まる前に魏の重要機密を盗み、既に送り出したと言い残して自殺した。石陽県城の都尉である賈逸は劉晨が一体誰に情報を渡したのかを探り、国外流出を防がなければいけない。

時代を1900年代にすれば反特小説になりそうな内容。

 

玫瑰花的葬礼/原暁

とある社長令嬢の関係人物の女性たちが次々と不幸な事件、事故に巻き込まれていく。その犯人とは社長令嬢の執事であり、女性たちは彼に誘拐されていただけで無事だった。事件は社長令嬢のために暴走した執事の独断行動だと判断されたが、誘拐された女性たちに異変が起きる。

 

八宝簪E伯爵

宋の時代を舞台にした首なし死体をめぐるサスペンス。首なし死体が出てくる話では死体をどのように活用するかがポイントだが、ここでも死体の首が、厳密に言うと首の一部が事件を混乱させている。

 

極度懐疑/何許人

とある舞台に連れてこられた八人の男女はピエロの命令のもとに命がけで自分たちがここに集められた理由を探し出そうとするが、タイムアップを迎えて一人ずつ殺されていく。なんかどっかで見たような展開で陳腐に思えた。

作者の何許人は詐欺師の小説『老千』シリーズを書いており、昔本を贈ってもらったことがある。

 《老千》巻1 天下有賊 著者:何許人

 

孤女太妃糖/豆沙飯団

自分の娘が再婚相手と共謀した犯罪に気付いているのではないかという母親の恐怖を描いた一作。成長して知恵を付けてきた娘を疎ましく思う両親と真相に迫りながらも知らない振りをして無垢な子供であることを見せる娘のやり取りが非常に面白い。

 

欺詐之狐/軒弦

名探偵・慕容思炫が最後にいいとこ取りをする作品。善人は騙さない『クロサギ』みたいな詐欺師の陳究風が手練手管を弄して一筋縄ではいかない詐欺師相手と騙し合いの応酬をする。

 

来自徳瑪西亜的死亡遺言/亮亮

最後は亮亮の『把自己推理成凶手的名偵探』から一篇選ばれている。事件に遭遇する度に誤認逮捕される迷探偵・狄元芳が雪山の山荘という絶好のシチュエーションで殺人事件に巻き込まれ、やっぱり逮捕される。女子中学生探偵羅小梅は今度も彼を冤罪から救えるのだろうか。

 

 

以上9篇が収録されているわけだが、各作品に初出や作者の簡単な紹介が載っているのが嬉しい。

不満点といえば序文は『2015台湾推理作家協会会訊』に掲載されたコラムを加筆修正して転載している?だけなので、結局収録作品がどのような判断基準で選ばれたのかその理由が書かれていなかったことだ。

 

 

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