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栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
40
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非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
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キオスクに並んでいたので新作だと思い飛びついたのだが、04年初版の旧作だった。中国大陸で初出版されたのが最近だったって話らしい。

しかし、台湾では(多分)書店に置かれているというのに、大陸では6年越しにやっと発売された場所が路上のキオスクという現実が中国本土のミステリ事情を反映しているようだ。

  yuye.JPGyuye1.jpg







 

左)大陸版

右)台湾版

 



『雨』の字を模した館雨夜荘で過去に起きた凄惨な殺人事件を解決するために招かれた哲学者探偵林若平。しかし過去を踏襲するかのように宿泊者たちに次々と不幸が襲いかかる。果たして林若平は事件の真相を暴くことができるのだろうか。


『雨』の字を模した館雨夜荘で過去に起きた凄惨な殺人事件を解決するために招かれた哲学者探偵林若平。しかし過去を踏襲するかのように宿泊者たちに次々と不幸が襲いかかる。果たして林若平は事件の真相を暴くことができるのだろうか。

 

上空から見ると『雨』の字に見える奇妙で血腥い歴史のある館は、付近で大雨が降り土砂崩れが起きたために外部との連絡が途切れてしまう。陸の孤島と化した館で立て続けに起こる密室殺人。そして事件が起きる度にみんなをホールに集めてアリバイを尋ねる探偵。

まさに従来の本格推理小説を見事になぞった今作。本格派の読者なら身もだえしそうなサービスだ。

作者自身もそこらへんは理解しているようで、探偵の林が宿泊者に事情聴取をしようとすると非協力的な態度を取られたり、全然捜査が進展しないのでイヤミを言われたりと報われない。また、密室にありがちの鍵がかかったドアをぶち破るシーンでは都合3回斧を使ってドアを開けており、三回目での「また斧で破るのか」とツッコミが入る描写などでは目の肥えた本格推理読者を意識しているように見える。

 

探偵の思い通りに証言せず、腹に一物を隠し持っている登場人物たちは本格推理にありがちな彼らに科せられた傀儡性を払拭しようとしているようにも見える。

しかし一般の本格推理の定石に抗おうとしている登場人物の姿が却って痛々しく、メタフィクションにもならない。

 

事件の真相には館ものの醍醐味である衝撃を感じざるを得なかったが、読んでいても何で林がその真相にまで辿り着けたのかいまいちピンと来なかった。だから林探偵の言うことが信じられず、話のオチでどんでん返しが来るのではと期待していたのだが、真相は変わらなかった。

 

探偵役である林若平は紳士然とした優しい男で、今作では一部の宿泊客にかなり舐められた態度を取られている。公的権力の警察がいない場所での探偵は胡散臭い人物に過ぎず、物語の最後になってもまったく尊敬を得られない。

もう少し破天荒な人物が探偵だったり、ワトソン役の受け身の人物がいれば宿泊客にもう少し突っ込んだ質問ができて事件は違う概要を見せたのかも知れない。

 

そもそも今作は本格推理のルールに則った事件ではあったが林によって明かされた真相が真相だし、過去の事件も解決していないので、ますます林若平シリーズにする意味が薄い。

 

そういうわけで次に読むことにしている島田荘司推理小説賞にノミネートされた氷鏡荘殺人事件には期待している。

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無題
Dokuta URL
こんにちは。前回のエントリの話題ですけど、
島田流殺人事件は、おそらく御手洗熊猫氏が友人たちに見せて、その友人たちが感想をブログなどに書いているということでは?

雨夜荘、霧影荘、氷鏡荘と、林斯諺の荘シリーズは荘の字面も綺麗ですごく気になるシリーズです。
短編の霧影荘だけ読んでいますが、論理的な推理が積み重ねられていく好編でした。

ところで、ひょっとしたらこのランキングならランクインするかも、と思っていた「本格ミステリ・ベスト10」が発売したのですが、
海外部門で寵物先生が12位、水天一色が14位でした。特に寵物先生の方は、あと1ポイント高ければ同率10位になっていたので、ほんとに惜しいところでした。
(10位以内なら、書店のフェアなどで目立つところに並べてもらえますからね…)
現在氷鏡荘読書中です
阿井 URL
Dokutaさんこんにちは。
もう一度詳しくレビューを見ると投稿者が、江成っていう熊猫と仲が良い作家でした。歳月推理12月号では二人が万博観覧をしている写真が掲載されています。
こういうきちんと目を通さなければいけませんね。ご指摘ありがとうございます。
と思ったら、12月4日に熊猫先生から最新情報が来ています。これは追ってブログに記載します。

林斯諺はバドミントンコートの亡霊ってのが傑作らしいですね。さてコレは大陸だとどうやって入手したものか…
無題
Dokuta URL
レビュー書いている人、作家さんでしたか。江成という名前は聞いたことがありませんでした。

「バトミントンコートの亡霊」は、台湾の推理作家が自作を掲載しているサイト「台灣推理夢工廠」で読むことができますよ。
http://mysteryfactory.pixnet.net/blog

http://mysteryfactory.pixnet.net/blog/category/744876

リンク先で、大学の学生によってつくられた映画版も見られます。

『推理世界』の2009年10B号( http://mysteryworld.cn/shownews.asp?news_id=252 )に、
「羽球場的亡靈」にタイトルのよく似た「网球场的亡灵」という作品が載っているようで、ちょっと気になってしまいました。
無題
阿井 URL
他にも言桄という作家も電子版で読んだと言っていました。やはり業界には既に出回っていたと考えて良いと思います。

サイト教えてくれてありがとうございます。ただでさえウェブで小説を読むのは辛いのにましてや中国語ですから苦労しそうです。

本棚探してみても推理世界の10B号はなかったです。コッチの系列は買い逃しが多い。

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