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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
40
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
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中国の小説評論家・華斯比(Huasibi)氏が2014年度の中国サスペンス小説のTOP10を発表していました。目を通してみると私がチェックしていない作品ばかりだったので、この場を借りて華斯比氏のお眼鏡に適った作品を彼の書評とともに紹介してみます。

華斯比的驚奇档案館-2014年度原創懸疑閲読TOP10

尚、このランキングはあくまでも華斯比氏が独自に決めた順位であり、何ら公式的な意味はありません。また、各作品の和訳タイトルは全て私が勝手に付けた仮訳です。 

10位 『被走的秘密』
    (
は諭の部首を人編にした漢字)

「盗まれた秘密」 著:鬼馬星 上海人民出版社

 

 

鬼馬星『民国秘事』シリーズの第一部であり、中華民国時代を舞台にした長編サスペンスミステリ小説。

このような「民国ホームドラマ」的なサスペンス小説は少なくないし、「事情聴取式ミステリ」のような暗い話は読むのが嫌になるが、作者はキャラクター造形と感情の表現に工夫を凝らしていて、「事情聴取式ミステリ」でアリバイや交友関係を尋ねた時に付いてくる重苦しい叙述を緩和している。

 

 

9位 『焚心祭』

「焚心祭」 著:鬼古女 上海人民出版社

 

作者の『罪ファイル』シリーズの4作目であり、前作3作と違って章が分かれておらずストーリーがテンポ良く進展し、純サスペンス的な作風でこれまでにあったホラー的な作風とは異なっている。伏線が多く社会派的な観点がある。だがミステリ面が素晴らしいと思っていたのに、結局は『大勢が口裏を合わせて嘘を吐いている』というよくある手を使っていたのが残念だった。(ネタバレだな!

 

 

8位 『桐花中路私立協済医院怪談』

「桐花中路私立協経病院の怪談」 著:南瓊 上海人民出版社

 

 

『奇幻・懸疑世界』で大々的に連載されていた作品だった。腐向けで女の子に絶大な人気があった。だけど連載版の責任編集者である私(阿井注:華斯比)と単行本の責任編集者が『懸疑世界』から去ってから長い時間が経ってようやく出版できた。

 

 

 

7位 『邪悪催眠師2:七個離奇的催眠殺局』

「邪悪催眠術師2 7つの奇妙な催眠殺人事件」 著:周浩暉 海峡書局

 

 

20146月に『邪悪催眠師2』(原題『心穴2』)を読んだ時にとってもタイムリーだなと思った。イヌ好きが引き起こす連続殺人事件で、羅飛(阿井注:シリーズの主人公である刑事)版の『セブン』だ。(阿井注:去年5月か6月に話題になったライチ犬肉祭のことを言っている?

犯人の模倣犯と自身のやり方を隠す手法は共に見事だ。三番目の事件の科学的トリックは『探偵ガリレオ』のデジャブがあり、2番目の事件でダッチワイフが死体の下半身を切り刻むという手法はけっこうエロかった。

  

6位 『推理之王1:無証之罪』

「推理の王1:証拠のない罪」 著:紫金陳 湖南文芸出版社

 

『高智商犯罪』シリーズ(原題『謀殺官殺』シリーズ)の作者の新シリーズ『推理之王』1作目。本書は極めて庶民的な推理小説であり非常に「リアリティ」のある小説だ。完璧な証拠がないので、推理は完璧だけど犯人を逮捕することができない。小説全体が「証拠」を中心に展開していき、探偵が犯人の犯行の一部始終を説明すると犯人が驚いて全部白状するというような推理小説は嘘っぱちだ。

 



 

5位 『七重紗舞

「サロメ」 著:E伯爵 上海人民出版社

 

欧米的なクライム・サスペンスだ。E伯爵の老練な筆さばきにより欧米のサスペンス映画を見ているような感じにさせられる。小説の内容は複雑でもないし腐向け要素もそれほど多くないが、『聖書』の「サロメ」の物語が引き起こす同性愛と関連の有る観点には心を打たれた。

 

4位 『推理之王2:壊小孩』

「推理の王2:悪ガキ」 著:紫金陳 湖南文芸出版社

 

 

少年犯罪系のサスペンス小説。国外では同じようなテーマを扱った作品は多いが、中国ではあまり見かけない。全体を読むと事件の手口やトリックよりも少年の年齢からは考えられない理性と冷酷さが際立つ。家庭や社会などの要素が作品内の一連の悲劇を引き起こしており同情に値するものの読んでいて気分が悪くなった。

 

 

3位 『第十一根手指』

「十一本目の指」 著:秦明 湖南文芸出版社

 

『法医学者秦明』シリーズの第3作で、本にはベストセラーのオーラがあった。前の2作と比べるとキャッチコピーが簡潔になっていて、著名人の推薦文もなく、本書に関する贅言もない。何故ならこのシリーズは既にベストセラーになったからだ。

前作と同様、本書全体に一本のプロットが通っているが今回の事件の真犯人が前作『雲泰事件』と大きな関連があったのには驚いた。

 

 

2位 『九州・無尽長門2・亡歌』

「九州・エンドレスコリドール2・亡歌」 著:唐缺 長江出版社

 

『知音動漫図書・時代坊・九州誌レーベル』から出版された作品で、以前は『九州誌』で連載されていた。(阿井注:九州誌とはファンタジー系小説を掲載している雑誌)

『無尽長門』の2作目の二次校正をする機会があり、その最中に素晴らしい小説のストーリーに心を奪われて好きになってしまった。

 

  

1位 『西域列王記』

「西域列王記」 著:陳漸 上海文芸出版社

 

 

歴史サスペンスの大作『西域秘史』四部作の第2作目であり、玄奘が西域を旅しているうちに高昌が滅ぼされていたストーリーなどを題材にしており、千夜一夜物語の『大衛魔瓶』(阿井注:アラジンと魔法のランプ?)をヒントにしていて東方と西方の幻想的な物語が連なっている。魔法のランプの真贋が幾度も逆転し、読者の心を踊らせる。本書の構造は壮大で西域各国の戦争描写には読み応えがある。だが前半の「高昌が滅ぼされている」シーンに筆を割きすぎており、非常に面白いのだが後半の結末が若干慌ただしくいい加減に見えた。

 

 

 


10作品中、私が読んだことが有る作品は紫金陳の2作だけでした。やはり他人の、しかも自分よりよっぽど読書量の多い人の書評は参考になります。特に1位の『西域列王記』なんかは中国のベストセラー冒険小説『盗墓筆記』や『藏地密碼』と似ているので本屋で見かけても手に取ることすらなかった本でしょう。

 

 

あと【おすすめ】されている亮亮の『季警官的無厘頭推理事件簿』(季警官の意味のわからない推理事件簿)は来週届くので読んでみます。華斯比氏が何度も推しているのでそんなに面白いのかと期待していたのですが、どうやら彼が編集を担当していたらしく、故に特に思い入れがあるのでしょう。



 華斯比氏のマイクロブログ

 

http://www.weibo.com/p/1005051268201077/home?from=page_100505&mod=TAB#place

 

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葬礼之的葬礼

 

紫金陳 

 

壊小孩

 

 

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