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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
35
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      

深夜将至,別喫罐頭 著:不帯剣

 

タイトルを直訳すると「夜更けに缶詰を食べるな」になるだろうか。たかが缶詰とは言え開ける際には封を解く高揚感とそこにできた空間を覗きこむ期待感が伴うが、この開けるという行為が今まで目に触れられなかったものを外に出すことだと思えば、その中身を見るという行為には「深淵を覗く者は…」という有名な一節が頭をよぎることだろう。

 

本書は16のショートショートで構成されており、裏表紙に『都市伝説』と書かれているように、まるで洒落怖(死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?)の中でも質の良い作品が収録されているようだった。

 

しかし、ほとんど表紙に惹かれて買っただけなので、作者が台湾人だとは中身を読むまで気が付かなかった。

道理で「マーガリン」に「人工バター」という注釈が付いていたり、建物面積を表す「坪」という単位にも注釈が付いていたりと、本筋とは関係のないものに注釈が付けられていたわけだ。確かに「マーガリン」を北京で見たことはないな。

 

本書の中で特に面白かった作品をいくつか紹介する。

 

 

『飢餓』は食べ物が消えた世界で奔走するタクシー運転手の話。飢えに耐えかね怪しい男から高額で古びた缶詰を買うと警察が家にやってきて捕まり、そこで彼は食事が法律で禁止されたという事実を知る。拷問を受けても彼の飢えは収まらず、釈放されて飢えと痛みでフラフラになった彼の目に映ったのは車に轢かれたばかりの犬の死体だった。

 

食事が何故犯罪になったのか、他の人間はどうやって生きているのか、古びた缶詰があるということは昔は食事が許されていたのか、それとも麻薬と同じ扱われ方なのか、などなど一切の掘り下げも説明もなく、ただこの現実を受け止めよとばかりに理不尽に展開する。

 

 

『生魚片』(刺身)は都市伝説的な話からきっちりとホラー小説に昇華させているが、それが逆に本作を凡作にさせてしまった。

旅行先の居酒屋で旨い刺身をおかわりすると店長に本当まだ食べるのかと聞かれる。不思議に思い厨房を覗くと、店長が自身の腹を切って肉片をお皿に載せているところだった。驚いて店を出た男の体に後日異変が起きる…

 

平山夢明の『東京伝説』にこんな話あったなぁと思い出しながら読んだ。

 

 

『租屋』(借家)は借りた部屋に次々と怪異が起きるという王道パターンを踏襲しているが後半から粘液質の化物が出て、最後は都市伝説的な終わり方で締める。家自体が化物で家と一体化するという話は小林泰三の『肉食屋敷』にも似ている。

 

 

『狗』は飼い犬の視点で展開する話で、そのあまりの人間的な独白に人間の魂が入った犬が主人公なのかと思わせられたが最後でまさかの正体が判明する叙述ホラー(こんな言葉あるのだろうか)。

 

 

表紙には『軽恐怖』(ライトホラー)と書いているけど、各作品にはどれもしっかりしたオチが用意されているので読み応えはある。中国ホラーとしてはちょっと洗練されすぎているのがやや不満なところではあるが…

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 一ヶ月前の情報で既にご存じの方もいるかもしれないけど、中国のSF界で面白い催しをやっていたのでその動きでもさらっと紹介。
 
 中国のSNSサイト豆瓣の小説関係の情報が集まる豆瓣閲読にある同文館というコーナーでアメリカのSF作品文学賞『ネビュラ賞』2012年度受賞作の翻訳を募集しておりました。
 
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 SFの宴-2012年『ネビュラ賞』作品トライアル翻訳開放
 
豆瓣
 
 2013年5月に第48回『ネビュラ賞』大会で2012年度のネビュラ賞受賞作品リストが発表された。

 ネビュラ賞受賞作品発表ページ(英語)


 受賞後まもなく豆瓣閲読は中長編小説部門受賞者Nancy Kress(ナンシー・クレス)と短編小説部門受賞者Aliette de Bodard(アリエット・ドボダール)と、3作品が入賞した中国系作家劉宇昆の正式な許可を得て、受賞作品を独占的に公開するという栄誉を与えられた。
 

 劉慈欣(中国の有名なSF小説『三体』の作者)曰く「SF小説とは科学の美しさを方程式から解き放つ橋である。君が年季の入ったSFマニアだろうが、翻訳の愛好者だろうがこのトライアルの参加を求む。一緒に橋に上って風景を見よう。」とのこと。
 
 現在英語から中国語へのトライアル翻訳を募っている作品は以下のとおり。

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『Immersion』
作:Aliette de Bodard(アリエット・ドボダール) 
2012年ネビュラ賞短編小説部門受賞作
 
『On a Red Station,Drffting』
作:Aliette de Bodard(アリエット・ドボダール) 
2012年ネビュラ賞、ヒューゴー賞入選作品

『Fountain of Age』
作:Nancy Kress(ナンシー・クレス) 
2008年ネビュラ賞中長編小説部門受賞作

『The Erdmann Nexus』
作:Nancy Kress(ナンシー・クレス) 
2009年ヒューゴー賞中編小説部門受賞作

『Shiva in Shadow』
作:Nancy Kress(ナンシー・クレス)

『Scattered Along the River of Heaven』
作:Aliette de Bodard(アリエット・ドボダール)

『The Two Sisters in Exile』
作:Aliette de Bodard(アリエット・ドボダール)
 

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 アマゾンの説明文を読んで小説の内容を知った気になったり、本の表紙だけを見て作品の雰囲気をわかった気になったりする読者にとってこの小説は地雷である。

 アマゾンの編集者推薦文には『福島県』が作品の舞台と書いてあるが、正解は神奈川県だ。そして、表紙にはセーラー服を着た少女と学生服の少年が佇んでいるが、本書の主人公は二十歳はとうに過ぎている中国人である。

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 アマゾンURL:窒息-吾妻山霊異事件簿

 物語の冒頭でわざわざ静岡県に近い神奈川県の湘南地区と明記しているのに、何故よりによって編集者の推薦文で『福島県』と誤記されているのだろうか。

 それはおそらく作品で重要な役どころを担う『吾妻山』を編集者が福島県にある吾妻山と勘違いしたせいだ。
 

 アマゾンで本書を購入した読者は『吾妻山』つながりで作品の舞台がいつか福島県に移るのだろうかと無駄な勘繰りをさせられてしまう。しかも特典として本書に同封されている作者自身が撮影した吾妻山や江ノ島のポストカードにも『日本の福島で撮影した吾妻山』と書かれているので、ここまで来ると編集者のミスと言うよりも、編集者自身が福島の吾妻山に何か思い入れがあるんじゃないかという気がしないでもない。

 
 そして朝刊を読むのが好きで、タバコを吸い、そもそも中国からやってきた中国人と紹介されているのに表紙で何故か日本の学生服を着せられてしまっている主人公を見て学園モノを期待した読者は、ホラーとファンタジー色が強く日本の関東地方を次々移動する本作を読んで、いつ学園パートに移行するのか気が気でなくなるだろう。

 
 そのようなこともあり、編集者とイラストレーターに恵まれなかったなと同情するぐらい、中身は面白いジュブナイルものだった。
 

 
 盗作騒ぎはジャンルを問わずネットを賑わす爆薬ですが、パクられた方かパクった方のどっちかが有名ではないと盛り上がりに欠ける話題でもあります。

 つい最近も中国SF小説業界ではパクられた作家が自らまとめ画像や比較表を作って微博上で証拠を提出し、パクった作家へ返答を迫るという事件があったというのに、反応が全然小さくて寂しい限りです。盗作問題で当事者たちが口を出すのは珍しいことだと思うんですが……

 
 パクられた(と思われる)作家の名前は程婧波、パクった(と思われる)作家の名前は夏笳。どちらも80年代生まれの女性作家で、現実世界でも面識のある間柄です。それが何故、微博なんかで検証画像を公開するまでに至ったのか。それを説明するためには、程婧波よりも夏笳の微博でのツイートを取り上げなければいけません。
 
 11月26日、夏笳は突然何の脈絡もなく自身の作品『《百鬼夜行街》に関することについて正面から返答する』という長文ツイートを発表します。

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 本作を構想する中でいくつかの元ネタ(日本の漫画の百鬼夜行のイメージ《墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活》(注:ニール・ゲイマン作)の環境や人物相関、聊斎志異のキャラクター造形、《趕在陥落之前》(注: 程婧波の作品)の雰囲気、そして《機器幽霊島》(注:不明、検索しても該当作品が出てこず)の技術的な設定)を参考にしたことは既に公表しているし、少数の読者からパクりだなんだと指摘されても専門家の意見を待たないと納得出来ない。

 あと程婧波の小説は中学生のときから読んでいました。程婧波先生は今でも一番尊敬する女性SF作家です。影響を受けているから似ているところもあるかもしれません。気に障ったら許してください。
 



 要約するとこんな内容です。

 この『パクりじゃねぇ、リスペクトだ』という姿勢が癇に障ったのか、それとも遂に我慢の限界が来てしまったのか、夏笳に尊敬されている程婧波が重い腰を上げます。
 

 『未来形小説』こと人形軟件3部作の2作目。
 
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 1作目の霊魂上載で自分と同じ人形軟件に命を狙われた主人公の『我』はネット世界から現実世界へ活路を見出し、日本人ハッカーアマテラスの力を借りて機械の体に自分自身をアップロードすることに成功する。本作生死之輪では舞台を現実の日本に移してロボットとなった『我』が相変わらず正体不明の組織に命を狙われます。しかも前作で協力してくれたアマテラスにも危険が及んでおり、『我』を助けに行くことが出来ない。
 
 ネットワークを駆使して世界中の仮想空間を行き来できる人形軟件の設定を活かした前作の逃亡劇に比べて、追うものと追われるもの双方が行動に制限のある現実世界でのそれは、『我』たちと『我』たちの心理を通じて読者が肉体に覚える恐怖はヴァーチャルとは比較にならないほど大きいのに、物語の規模が随分縮小して見えてしまった。

 しかし機械の体を持った『我』がネット空間とはまるっきり異なる環境にそれこそ命がけで順応していく様子と、頭を使って追跡者を出し抜いていく展開には胸を熱くさせられる。また、『我』以外の現実世界へ脱出した別の人形軟件が出てくるのも見所だろう。
 


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