中国で一番有名な日本料理といえばラーメン。人気の役割を担っているのが日本に本社を持つ味千ラーメンだ。
九州からトンコツスープを引っさげて上陸した味千ラーメンは、今では中国のファーストフード店の中では吉野家を押さえて堂々の四位となるまで中国人にとってポピュラーになった。()
味の方はと言えば可もなく不可もなく。20元程度で食べられるラーメンとして見れば美味しいのかもしれないが、決してご馳走の部類には入らない。
ラーメン以外に餃子や焼き鳥や揚げ物、どんぶり物や寿司といった多くのサイドメニューがあるおかげでラーメン屋というよりも居酒屋らしい。サイドメニューを増やし集客率を高めたこの商法は、今では北京のラーメン屋の定石になっている。(味千ラーメンが一番初めかどうかは不明)
街のあちこちに出店し、デパートやレストラン街など人通りの多い場所には必ずと言っていいほどあるこのラーメン屋は、ほかの飲食店の中でも目立つ看板が特徴だ。
丸みを帯びたフォントに真っ赤な文字、そしてラーメンどんぶりを持ったチャイナドールの看板は一度見ただけで覚えやすい。
だから先日寄った尚都SOHOというビジネス街で見かけたラーメン屋も、また味千ラーメンができたよ。ぐらいにしか思わなかった。
しかしよく見たらそれは……
長野ラーメン?!
バス停の後ろに店を構えるツマミ屋が五道口にある。ピリ辛に味付けした鴨の首や水かきなんかを量り売りするこの店舗は全国に分布しているチェーン店のようだ。歩道に面したショーケースに並ぶ味の濃そうなツマミを見ると、醤油色をした鴨の首の肉をこそぎ食ってビールでも飲もうかという気になる。一味唐辛子が振りかかったイカゲソも美味そうだ。
しかしどうも食指が動かない。懐が寒かったのが理由かもしれないが、ビールで一杯やるのはまた今度にしてバス停に並ぶことにした。
すると離れて見てようやく気付いたことだが背後の店の宣伝がうるさい。この通りは飲食店や服屋が立ち並ぶ人通りの多い場所だが宣伝を流しているのはこのツマミ屋一店だけだ。「武漢の伝統的な鴨首がどうのこうの」という平坦な声量の宣伝が何度も何度も耳に入り、ヒアリング能力が鍛えられる。
いまどきこんな大音量の宣伝をしている店があるなんてと後ろを振り返って驚いた。同じ宣伝文句の繰り返しでてっきりラジカセをかけているのかと思ったら、ショーケースから少し離れた路上でマイクをつけた女性店員が立っている。
気がつけば二週間ぐらい更新を放っておいている。このままじゃブログのトップに広告記事が載ってしまうので、まぁ簡単に更新。
とある日本語のフリーペーパーの10月号で中華料理特集をしていた。そこで取り上げられた老舗の北京ダック店の紹介文の結びの言葉が首をかしげる内容だった。
北京ダックは低カロリーでビタミンやカルシウムなど各種栄養素が含まれており女性にふさわしい健康的な食べ物云々。
しかし効果が眼に見えるまでいったい何羽食えばいいのか。野暮な話になってしまうが、北京ダックに限らずきちんと作られた料理なら何がしかの効能があって当然。
少し話が違うが、日本のスシはヘルシーだぜ、と言い放ち高価なネタが乗った寿司を何十貫も平らげたロシア人がいたという佐藤優の話を思い出した。
読書の秋ってことなので外に出て本を読むことにした。
場所は新光天地という高級デパートの敷地内に設置されているベンチ。本を読むような場所ではないのだが他に読書に適した場所もない。
しばらく読んでいると声をかけられた。訛りの強い中国語だった。顔を上げると年齢30代後半ぐらいの男が日に焼けた顔に笑顔を浮かべて立っていた。口調から察してどうやらボクに何か勧めているようだが、ヒドイ訛りで聞いたことのない単語をズラズラ並べてまくしたてられるので何も理解できない。
ボク日本人だからアンタの言ってることわからないよ。
こんにちの日中関係をまったく無視した言葉で拒絶したものの、男は尚更嬉しそうに話を続けた。訛りが若干緩くなった気がした。
彼の話を数回聞き直してようやく四大仏山やら九華山という単語が聞き取れて、仏教関係の勧誘だということがわかった。
肩提げ鞄から『安徽省九華山仏教協会』と記された手帳を出して見せてくれたが、本当にタイミングが悪かったと言って良いだろう。何故ならそのときボクが読んでいた本は暗訪十年セカンドシーズン。中国の詐欺犯罪を特集した本を読んでいたボクに向かっていったい何をしようと言うのか。