副管理人の阿井幸作です。
中国に留学に来てもう半年にはなりますが、まだ中国の小説事情は詳しいわけじゃありません。ただ、せっかく異国にいるのだからちょっとこっちの小説などを紹介してみようと思います。
ボクらは大学にいたとき二人だけですが一応ミス研をやっていたので、今回は推理小説について書きます。
こっちでは昨今のアニメブームも相まって『名探偵コナン』や『少年探偵Q』と言った探偵ものが流行っているので、意外と推理小説は人気なんじゃないかと思っていたのですが、中国人の友人が言うには小説のジャンルの中で一番人気がないのがミステリだそうです。
だけど一応あることはあるもので、この前この本を買ってきました。
その名もズバリ『推理』というこの月刊ミステリ雑誌、中には中国人作家の書いた小説が三本、コラム、ニュース、外国人作家の小説が載っており意外と濃い内容。なんか妙に日本の推理小説界についての記述が多かったけど・・・(次号も買ったけど同じ作りだった)
希望を持って読んだ中国人作家の小説はそれほど大した特色がなく、作品の中には私立探偵も副業探偵もいれば、警察と太いパイプを持っている探偵も、ミステリ小説かぶれの探偵もおり、言ってしまえば極めて欧米的な探偵しかいなかった。
また、薄い雑誌のせいか作品はどれも読者に推理させる余地を与えない自己完結的なミステリばかりでちょっと残念だった。
ただその中で一篇、作品の出来はともかくわりかし面白い小説があった。
汽車の中で女物の大きな箱を持っている一人の中年男性に目がとまったワトソン役の主人公『私』のもとに、ミステリかぶれのホームズ役が近寄ってきて、エラリークイーンやホームズなどの故事と、自分の経験や観察眼をもとに、その中年が箱の中に殺した自分の妻を詰めているという推理の帰結を導き出しいざ逮捕しようとします。
しかしその中年は汽車から降りて死んでいるはずの妻と落ち合って駅を出てしまう。推理が外れて落胆する探偵だったが、その一方で中年も気落ちしていた。何故なら彼は探偵の推理どおり、妻を殺して箱に詰めて捨てようと計画していたからだ。
つまり犯行はイレギュラーが生じたため探偵・犯人双方の思い通りにいかなかっただけで、順調に行っていたら駅で逮捕劇が演じられていたのだ。
探偵のキャラクターも物語の内容もまだまだ浅いものだったが、犯人が犯行を行わなければ探偵の推理は意味をなさないっていうミステリへの皮肉が面白かった。
それと掲載されている海外作品の一つに東野圭吾の作品があったんだけど、これって絶対無断掲載だよなぁ・・・他にもジャック・フットレルなどの名作も載ってたんだけど、こういう風に過去の海外の名作を勝手に翻訳して掲載するのって昔の日本の推理小説界みたいだ。
だったらエログロナンセンスな作品もあれば良いんだけどなあ…表紙が好みだから余計そういうのを求めてます。