私は見たことありますよ、ハハッ、中国でですけどね。
中国小説の授業で話題が『首吊り死体』になったときに教授が事も無げに言い放った。この言葉がボクに中国にのめり込む人間が変人だという偏見を確かにさせた。
教授が中国で死体を見たのは三十余年も前のこと。雲南ではまだ象が暴れていた時代の出来事です。幸か不幸か、ボクはまだ死体を見たことがない。たまに道ばたで寝転がっている肉体労働者や乞食や子供を見かけることがあるぐらいだ。
この著者は若いときに香港で見た無惨な死体とそれを扱う報道の姿勢に好奇心を持ったことが著書の執筆につながったそうです。やはり中国研究者は変人が多い。
著者の樋泉氏は中国研究家の間では有名な方だそうで、本書は実地調査に基づく文章も多い。
中国では今でも風水に基づいた埋葬をしているとか、名古屋人の結婚式並に派手な葬式を行って散財するとか、あの世の生活が楽になるよう遺体と一緒にお金ばかりか電化製品までも納めたりするとか、中国人の葬式観念が知り得る良書。