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自己紹介:
24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。
副管理人 阿井幸作(あい こうさく)
28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。
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闇の子供たち
2008/09/04 [Thu] 21:45
『血と骨』『タクシー狂躁曲』で有名な梁石日の小説です。初版が発売されたのは今から六年前の2002年。
東南アジアに蔓延る児童売春・臓器売買をテーマに、タイで暗躍する幼児売買組織と不幸な子供を救おうとする人権ボランティア団体のやりとりを描いた物語。
今でこそ映画化されて有名になっていますが、センセーショナルな内容なので発売当時の知名度が知りたくなります。
ボクは『江頭2:50のpppするぞ』でエガちゃんが今作を紹介しているのを見て原作を買いましたが、レビューサイトに目を通すとエガちゃんと一緒で原作より映画を観た人の方が多いみたい。
猫がシッポをふる日まで
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やはり映像化されると作品のエグさが一層増しているようで、登場人物への嫌悪感もさることながら日本人としての自分を恥じる気持ちも強く沸くらしい。
しかし映画は原作とはラストシーンが異なるようで承伏しかねる点も多いらしい。確かに原作の身震いするような毅然とした結末は、解説の永江朗氏が言ったように「梁石日しか書けない」だろう。
少年トッパのブログ
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嘘つきを反省する日記
さん
静かな筆致で描かれる幼児虐待に目を覆い、無力感を味わう人も少なくはない。ボクはこの小説を母親に頼んで送ってもらったのだけど、母も数ページ目を通して本を閉じたらしい。でもだからこそボクは友人に勧めてみたいと思った。
以下は感想です。
この小説は幼児売買マフィアとボランティアの二つの軸で構成されていて、物語の視点が交互に展開します。ボランティアが少ない資金と人員を振り絞り活動しているのを嘲笑うように、次ページでは日本人や西洋人が年齢一桁の児童を犯しています。
その構図を悪と正義の対立と表現するにはあまりに陳腐です。上記でボクが「幼児売買組織とボランティア団体の
やりとり
」とまるでシュールなスラップスティックの紹介のように書いたのはここにあります。
ボランティアよりも犯罪組織の味方がとても多いのです。政府、軍、警察、タイ国家の権力全てがマフィアに与し利益を得ています。対するボランティア側は資金難で捻出したお金で幼児を救出しようとしても無下に断られる有様です。はっきり言って『戦い』にすらなっていません。
だからこそタイにODAを提供し、観光地化に一役買っている日本人である主人公の存在が重要になってくるのですが、圧倒的な暴力と権力の前では無力です。
しかしこの絶望感と嫌悪感に溢れる小説に光明を見いだせるとしたら、それはこの物語の構成にあるでしょう。
この物語にはマフィアやペドフィリアたちが、何故自分がそうなったのかという原因を述べています。
自分も幼少時代に犯されたから
という言い訳にもならない理由がほとんどなので、犯罪の連鎖が止まらない様子に読者は虚無感を覚えます。
でもそれに立ち向かうボランティア側のバックボーン、つまり政府と癒着している犯罪組織と対峙する彼らの行動原理が全く書かれていないんです。
ボランティアのタイ人も日本人も何を言うともなく活動に尽力し、無力さに苦悩し、子供を愛しています。
主人公すら必要最低限の過去しか書かれていません。だから主人公の無根拠で軽率な行動に疑問を持つ読者もいるかもしれませんが、これは読者の無意識な反抗心を体現した姿だと思います。
この作品には理由がなくても、大きな義務感がなくても、人を救いたいという意志さえあればボランティアはできるし命を助けられる
当たり前の正義感
が通底しています。
小説の結末は歯痒いものでしたが、児童売春や臓器売買という許されざる問題に無関心な人間を振り向かせる内容でした。
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無題
佐藤ゆき
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目を覆いたくなる現実。
本を読み終えて、映画を観終えて、重苦しい気持ちになったとしても尚、このような現実がアルと言うこと自体を知るということから始まる、そこが大事なのだと私も思います。
2008/09/05(Fri)01:52:24
編集
無題
阿井
URL
そうですね。
勘違いしてはいけないのは「こういう現実もあるさ」と達観した口を利くことは、現実を受け入れていることではないということです。
2008/09/06(Sat)15:23:19
編集
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