こっちで生活すると仕事とは無関係に名刺を配る機会がよくあるのですが、私は今まで会社から支給された名刺しか持っておりませんでした。それには会社の共有アドレスしか書いていないため、後日個人的な内容のメールを部長に見られたりしたので思い切って阿井幸作名義の名刺を作ってみました。
表には『日中ミステリ小説愛好者』と『日中ホラー小説愛好者』と書き、黄色い付箋を貼っている場所には微博やメアドを書いております。
そして裏面です。
妖怪の『件』(くだん)とその解説を載せております。
この『件』は中国の推理小説家にして妖怪絵師『白澤瞳』氏に依頼して描いてもらったものです。彼には結局全体のデザインまでやってもらって名刺を作成する上で大変助かりました。
本当なら戦争や飢饉などを預言する等の文言も載せたかったんですが「お前邪教か?」と誤解されるのも嫌なので解説文はだいぶ簡素になっております。
左には『この絵を持っていると福が来る』いう件のもうひとつの特徴を記載し、縁起物としての価値をもたせました。
完全に個人の名刺なのでどうせなら目立つように好きに作ってしまえと思い取り掛かったわけですが、妖怪のイラストで日本らしさを出し、『件』が縁起物であるという解説を載せて相手に興味を持ってもらうような名刺が完成しました。
『白澤瞳』氏の協力のおかげで印刷までスムーズに進んだので、彼にはこの場でも改めてお礼を申し上げます。
今年はできるだけ中国のミステリ関係者と実際の交流を持とうと思っているので、これで今後は堂々と名刺を配り、自分を宣伝することができます。
ただ、これはあくまでも阿井幸作名義の名刺であるので、やっぱり本名名義での名刺も作るべきだったなぁとちょっと後悔しました。
大方の中国人にとって5月3日は『五一』連休の最終日ですが、木曜と金曜も出社していた私にとっては休みの初日であり、中国の暦通り5月4日から働く私にとっては最後の休みです。
その希少な時間を使って果実酒を作りました。
今回作った果実酒は酒に果物を漬け込むという日本ではポピュラーなものですが、どうやら中国では果実をアルコール発酵させ醸造酒を作っても良いそうです。
日本なら個人での醸造酒の製造はポリス沙汰ですが、中国ではネットで『果酒』と検索すれば葡萄等の醸造酒の作り方を調べることができます。もっとも中国には果実を米酒や白酒に漬ける果実酒も存在するので何がポピュラーでマイナーかとは一概には言えないでしょう。
まぁ醸造酒は難しそうなので今後も作ることはないでしょう。葡萄を何かに漬け込むことはあるかもしれませんが…
そして今日一日を費やして作った果実酒が以下の4つです。
(作るにあたり果物は全て三源里菜市場で、お酒は輸入食品販売店『Jennylou`s』で購入しました)
キウイのホワイトラム(バカルディ×2本)漬け
ラムと果物は合うんじゃないかと思い、酸味と甘味の強いキウイと組み合わせてみた。ラム酒はブラックのほうが好きなんですが、ビジュアルを考えホワイトラムを使用。
アメリカンチェリーのテキーラ(JOSE CUERVO テキーラシルバー)漬け
もう一本アメリカンチェリーを使った果実酒を作ったのですが、それには色付きのお酒を使用するため、漬け込みの様子が観察できるようにこれには透明なテキーラを使いました。
スターフルーツのウォッカ(フィンランディア)漬け
一時期スターフルーツにハマっていたんですが、とあるサイトでこの果物にはカリウム程度しか栄養素が含まれていないことを知り、言わば奇妙な形をした水に過ぎなかったことがわかって購入を控えておりました。ですが、JOJO第三部のアニメ化を祝して製作。スターフルーツはジューシーで甘いのですが、エグみもあるためウォッカがそれを消してくれることを期待しています。
アメリカンチェリーのウィスキー(Grants×2本)漬け
今回の本命。これを作るまでに使用する氷砂糖を漬け込む果物の40%の割合で入れていたのですが、ホワイトリカーとは違って単体でも飲めるお酒で漬ける場合はそこまでの氷砂糖が必要なのかと気付き、20%程度の200グラムに抑えました。
ちなみに各果実酒にかかった値段は以下のとおりです。
キウイのホワイトラム漬け 247元
アメリカンチェリーのテキーラ漬け 171元
スターフルーツのウォッカ漬け 150元
アメリカンチェリーのウィスキー漬け 256元
材料代だけで合計824元かかりました。1元16円のレートだとすると、13,000元程度です。これに瓶代を足すと15,000円ぐらいになります。日本で作った場合とどっちが安く済むんでしょうかね。
成功と言えるかどうかは3ヶ月先の話になりますが、上手くいけば今度は果物のミックス漬けとかやりたいものです。
今後中国に何年いるのか自分でもわかりませんが、果実酒を作るたびに「呑み頃になるまでは帰国しないでおこう」と小さな決心をしたいです。
柳の綿(柳絮)が舞う春の北京を取り留めもなく散歩してみた。
近所の川では陽光の下、太公望たちが釣りに興じていた。この川は夏の暑い日に悪臭を発することがあるのだが、この日は特に臭わなかったし、水面の色もどぎつい緑ではなかった。
彼らが食べるために釣っているのか、それとも観賞用に持って帰るのかはわからないがこの川にいる魚はどちらの用途にも不向きだと思う。
この日見ていた限りでは鮒のような小さい魚しか釣果はなかったが、去年の11月には鯉ぐらい大きな魚が釣り上がるのを見たことがあった。それを釣った老人は魚をタモに入れたまま岸から上がり、しばらく歩いたかと思うとせっかく釣った魚を歩道に置き、歩行者に向かって「1匹15元だよ」とたたき売りを始めた。
小汚い魚1匹しかなく、しかも仕入先がすぐにわかる露天に買いに来る客は一人もいないんだが、老人がお店を開いていた場所が1年前まで大きな市場があった跡地の前だったことが気になった。
まさか市場があった時はこの川で釣った魚をここに卸していたんじゃなかろうか。
今日釣れた魚は売り物にするには小さすぎたが、一番手前のオッサンが2匹目を釣り上げてもまだ糸を垂らしていたので、やはり食べるために釣っているのだとなんとなく思った。
その後は書店がひしめく書籍の卸売マーケットビルに行った。ここでは以前『涼宮ハルヒの驚愕』を買った。
面白い中国産ラノベはないのかと上記の書店以外もいろいろ探したのだが見つからなかった。しかしこのビルに入っている書店は店舗ごとに取り扱っている本の種類が異なるのだが、50にも上る店舗数がありそうなのにミステリ関係専門の書店が一つもないのが寂しい。
ここでの収穫はアマゾンや京東では回収され未だ再販の目処が立っていない天聞角川のライトノベルの一つ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』がまだ売られていたのを確認できたことぐらいだ。
あとはこの統率のとれていない音楽のテキストだろう。
バスから見つけた亀おじさん。
通行人や停車している車に話しかけている。かなり大きな亀だが値段は一体いくらなんだろうか。そして食用として売っているのだろうか。気になるところだ。前述の魚1匹で露天を開いた老人のように、この亀もどこかから獲ってきた(盗ってきた)ものじゃあるまいか。
そして最後は高級デパートで見つけたお店。
これもう(何屋だか)わかんねぇな。
正体は上海生まれの有名な花屋らしい。このデパートには1ヶ月という期間限定で出店するようだ。
店をかなり回ったのにほとんど何の収穫もなかった。帰りに見つけたこのケーキ屋で何か買おうと思ったが怪しいので止めた。日本、台湾で20年以上の人気を持つ『ミスターアンドリューのチーズケーキ』と書いているが、日本でこんな店を聞いたことがなかったからだ。首都圏でのみ出店している店なのだろうか。(アンドリューのエッグタルトという店は見つかったが…)
この前偽物のチーズケーキ屋が北京で見つかったというニュースを聞いたので、これも昨今のチーズケーキブームに乗った胡散臭い店なんじゃないだろうか。
札幌ステラプレイス6階レストランコートにある『自然食バイキング 菜蒔季』は野菜を使った料理を中心にしたビュッフェスタイルのレストランで、昼ごろには平日であっても店外に婦人たちの列ができるほどの人気店だ。
http://r.gnavi.co.jp/pm3sxjm20000/?sc_aid=plan_alli_kireistyle
1月9日の昼、特に食べたいと思うものはなく、しかし連日の暴飲暴食のせいで胃もたれを起こしていた体にとって健康にいい料理はうってつけだった。そこで去年もちょうどこの時期に食べに行ったことがある菜蒔季に行ったのだった。
12時を過ぎていたがレストランコートの多くの店は行列が作られていたが、中でも菜蒔季は圧倒的に女性が多かった。その中で男一人だけ並ぶのは多少気が引けたが、女性の年齢層が高めということもあり居心地の悪さは覚えなかった。
20分ほど小説を読みながら待っているとようやく椅子とソファの2人掛けの席に通される。店内はやはり大半が主婦で、一人で座っているのは私ぐらいだった。そして店員から本店の特色の説明を受けて一人だけのバイキングが始まった。
この店のお皿は丸い大皿と9つの窪みがある四角形のお皿の2種類がある。
健康食をウリにしているこの店は豊富なメニューも客を惹きつける特色となっており、普通の大皿を使ったのでは全てを味わうことは不可能だろう。
しかしこの四角形のお皿は窪みごとにメニューを入れることが可能で、1枚で最大9品の料理を楽しむことができる。体に良い野菜中心の料理を少量かつバランスよく配分することが可能なのだ。
要するに四角形のお皿は1枚のお皿でありながら、9つの小鉢だった。
とりあえず私はそのお皿にふろふき大根、カボチャのヨーグルト和え、ひじきの煮物、根菜のアヒージョ、ローストビーフ、炒飯などを盛ったがすぐに平らげてしまった。そして第二陣に出ようかというところで、隣のテーブルに女性が一人座ったことに気づいた。私同様ソファを背にしており、店員の説明は聞かずすぐにフードコーナーへ向かった。
男一人と女一人、この店ではどっちが浮いた存在になるだろう。女性層が厚い分、女性の一人飯は逆に人目に付きそうだった。
今度は大皿にパスタやニョッキなどの主食を盛った私が帰って来ると、ほどなくして女性は9つの小鉢皿を持ってきたが、それをテーブルに置くとまたフードコーナーへと行った。そして再び戻ってきた彼女は白い大皿を手にしていた。そこで私はとうとう気がついた。
彼女は、白い大皿に炒飯やグラタンなどの主食を盛り、四角形のお皿には副菜のみを9品詰め込んでいたのだ。しかも私がそのまま食べた炒飯にはほうれん草の餡が掛けられ、黄色い卵炒飯と緑色のソースが食欲をそそる色合いを放っていた。
対する私は前回、小鉢に主食も副菜も適当に詰めるという節操の無さを見せ、更に第二陣の白い大皿ではニョッキのスープと鶏団子のトマト煮のソースを混ぜてしまうだけではなく、その他に盛った雑穀米を汁でビショビショにさせていた。
2種類のお皿を見事に扱ってみせる彼女はきっとバイキングのプロに違いない。私は汚名返上とばかりに第三陣へと向かったが、ここで既に詰んでしまっていることに気がつく。いくらメニューが多いとはいえ、全く新しい料理を9品選べば主役のいなく絵的にも地味なお皿になってしまう。かと言ってまたローストビーフや唐揚げを選んでは芸がなく、食い意地の張った人間に見られかねなかった。そう、もし四角形のお皿を複数回使うのであれば、主役を張れる肉系のメニューも分けて盛り付けるべきだったのだ。
敗北を悟った私はもう適当に自分の好きなメニューばかり選び席へと戻った。すると彼女もまた主食のおかわりをしていた。白い大皿にはピザ、パスタ、ニョッキなどイタリアをテーマにした4品の主食がカルテットを成していたのだ。
バイキングだからと言って無闇に多国籍化を奨励せず、1枚のお皿に1国を代表するメニューを盛り合わせたのだ。
既に戦意を失った私に残されたのはスイーツだけだった。この店はスイーツの種類も多く、ゼリーやアイスなど子供に好かれる物からお汁粉など年配の口にあうメニューが用意されている。
だが流石にスイーツを何種類も食べられそうになかった。私の頭の中は隣の一家が食べていたあんみつ用の白玉だんごを入れたお汁粉とアップルパイを食べることでいっぱいだった。スイーツ用の木の葉形のお皿にそれぞれ盛って席へ戻ると、入れ替わるように彼女が席を立った。彼女もスイーツタイムになったのだ。
しかし彼女は9つの窪みが付いたあの四角形のお皿を持って帰ってきた。それぞれの窪みには白玉だんご1個に抹茶パウダーが掛けられ、豆乳プリンも1口サイズで恭しく盛られていた。そう、彼女は小鉢にスイーツを少量ずつ盛ることですべてのスイーツを1皿で網羅したのだった。
アラカルトを思わせるお皿の全景、店側に用意されている料理しか食べられないバイキングだというのに創意工夫が感じられる盛り付け。彼女のお皿は客のことを考えたまさに料理だった。
それに比べて私のスイーツは隣の一家に訴えられてもおかしくないパクリ。ボロボロに打ちのめされた私は、制限時間の70分のおそらく半分も使い切らないうちに退店。彼女はというと小さなスプーンでスイーツを1品1品じっくりと味わっていた。
心に余裕が有るときの『食の軍師』ごっこは意外と面白い。まぁ料理が美味しい日本でしか出来ない遊びだろうけど。