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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
42
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
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本書は2011年に非ホジキンリンパ腫に罹り、2012年に亡くなった中国人漫画家・熊頓氏が自身の1年間の闘病生活?を微漫画(微博/マイクロブログの漫画)に掲載した漫画をまとめたイラストエッセイです。最近映画化されてそれがなかなか好評を博しているので今更ながら購入して読んでみました。

 

『闘病生活?』と書いたのはエッセイには特に悲壮感が漂っていないからです。実際の入院中、彼女は精神的に不安定になっていたようで漫画を描くことで平静を保っていたのかもしれませんが、本来なら辛くて退屈な入院生活のはずなのにまるで日常生活の延長であるかのように描いています。賑やかな入院生活を見ていると命に関わる難病を患っている人間とは到底思えず、化学療法をするために髪の毛を全部剃っても、イケメンがいたらわざわざカツラをかぶり直したり、太ればダイエットをしたりと日常に戻ろうとしている様子にはやはり全く悲壮感を感じられません。

 

作品には暗い描写を排してギャグに走ってオチをつけるという姿勢が貫かれていて、読んでいると闘病なんか大したことないんじゃないかという気にさえさせられますが、何の前触れもなく作者逝去という形での終わり方には普段一緒に暮らしていた知人との突然の別れを想起させ、死んでしまったことのそのリアリティによって彼女を身近に感じることができます。

 

 

本書の不満は漫画に登場する彼女の友人たちが一体何者なのか書かれていないことです。恐らく著者の他の作品に既に登場している人物なのでしょうが、簡単な紹介ぐらいは書いて欲しかったです。

 

彼女の闘病生活は笑いと優しさに包まれていますが、この漫画の裏では幾度と無く涙を流したのでしょう。しかし彼女の1年間をこうして漫画にして振り返ってみると、人間は笑いながら死ぬこともできるのかなと前向きな気持ちにさせられます。

 

 

 

さて、本書の著者紹介では熊頓氏が『中国のたかぎなおこ』(注:中国ではたかぎなおこ氏(中国語表記:高木直子)のエッセイ漫画が非常に人気があります。。と呼ばれていると書かれていますが、両者の関連性がいまいちわかりません。

 

あとこの作品は微漫画に『滾蛋吧!腫瘤君』(出て行け!腫瘍君)というタイトルで掲載されましたが実は没になったタイトルがあります。それがこれです。

 

この『夜勤病棟』というタイトル案は彼女の友人たちに「このエロ女が!」とツッコミを入れられてしまいます。

著者熊頓は1982年生まれのいわゆる『80後』なのですが、これはつまり中国人の30歳代女性はみんな『夜勤病棟』を知っているということでしょうか?

 

現在中国で公開中の映画は原作にはない熊頓と医者との恋愛(なんかフィクションとして残酷すぎる気がする)も描かれているようで、『宅女偵探桂香』なんかよりよっぽど面白いと思います。(どっちも見ていないですが。)

 

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SF、サスペンス、武侠、ホラー、ミステリなど各ジャンルを網羅する複合的雑誌『超好看』が去年2014年に主催した第1『這篇小説超好看』(この小説が超面白い)の新人賞を受賞したのが本作である。

 

http://www.motie.com/huodong/chaohaokan

選考委員に何故か日本人の今村友紀氏がいる。しかも授賞式では対談まで行ったらしい。

 

作者林戈声はSFや武侠小説、サスペンスまで何でもこなすまさに『超好看』にふさわしい作家である。本作のタイトルが水滸伝から取られていることからもわかるように、本書は作家自身の専門知識を複合的に組み合わさった逸品である。

 

だが私には本書の魅力というか面白さというものが理解できず、ちょっと今回は紹介するかどうか迷った。

 

本書には2人の主人公がいる。新人刑事の趙銭孫と大学院生の柳公子である。趙銭孫側を表の世界とするならば、柳公子側は裏の世界であるが、2人がいったいどのような関係性にあるのか、そして2人の物語がどのように結びつくのかという謎は一向にわからず、読んでいて始終不安感に付きまとわれた。何故なら趙銭孫がいるのは確かに現実世界であるが、柳公子は外界から隔絶されたお廟で、本名や性別すらも分からない人間と不思議な空間を命がけで探検しているからだ。

注目すべきは本作の舞台が2030年の近未来に設定されているにも関わらず、未来的要素が全く見えないことだ。だが、西暦3000年の日本を舞台にした『リアル鬼ごっこ』ではあるまいし、何も考えなしに年代を未来に設定するわけがない。その期待は中盤辺りから叶い、物語には徐々にSF要素が顕著になっていく。更に柳公子がいる世界のおかしさも目立ち始めて、話が現実離れするほどに表と裏の世界の繋がりが明らかになるという構造には唸らされる。

世界観が掴めてからの中盤から、2つの世界がまさに表裏一体だったのだと明らかになる終盤までの流れは見事ではあるが、序盤の冗長な展開には全く辟易させられた。どうもこの作家は推理小説のメソッドには疎いんじゃないだろうか。

 

物語の冒頭で紹介される柳公子が迷い込んだお廟が外界と隔絶されていて、内部の人間としか連絡できない微信(ウィーチャット。中国のLINE)を使って顔の見えない他の生存者と情報をやりとりするという手段にクローズドサークルもの新たな可能性を感じたのだが、実はそれは全くの誤解で、やはり本作はミステリではなかったのではないかと思う。


はじめからSFとして読んでいれば、いったいこの本の何が面白いところなのだろうと悩みながら読み進めることもなかったんじゃないかと後悔している。

五次方謀殺 著:軒弦

 

バカバカしいほど面白い傑作。

 

本書の帯には周浩暉(刑警羅飛)シリーズ作者、雷米(心理罪)シリーズ作者、紫金陳(謀殺官員)シリーズ作者、庄秦(有名なサスペンスホラー小説家)の連名の推薦があり、庄秦だけ代表作がないのか…となんだかモヤっとした気分にさせられる。周浩暉と雷米は一定以上のレベルのミステリ・サスペンス小説を必ずと言っていいほど紹介している『推薦文作家』だが、本書は確実に彼らの賞賛を得るに値する内容だ。

そしてキャッチコピーには『盗夢空間』(インセプション)に匹敵する頭を悩ませる大作であり、ミステリ界の『蝴蝶効応』(バタフライ・エフェクト)と称される。と書かれている。

 

 


全面真っ黒の別荘・漆黒館にやってきた夏は殺人事件に巻き込まれる。そこで従業員として働いていた慕容思炫の推理によりすぐに犯人が見つかったが、犯人の哀れな姿を見た夏は殺人事件が起きなかった未来を切望する。そして翌日、家に帰ってきた夏のもとに差出人不明の奇妙な機械が届く。その機械を作動させてみると、なんと時間が1日過去の、つまり殺人事件が起こる前の漆黒館にいた頃に戻っていた。これから起こる犯行を知る夏は犯人の凶行を未然に防ぐことに成功する。にも関わらず翌朝にはやはり李が死体となって見つかってしまう。しかもタイムスリップを重ねるごとに事態は前回よりも確実に悪くなっていき、徐々に夏自身まで追い詰められていく。


 

本書はタイムスリップを活用したSFミステリだが、館ものにありがちなトリック及び推理もきちんと用意されており、また黒いユーモアに溢れている。

 

被害者の李は金持ちで人間のクズであり、夏がどの世界軸に行っても絶対殺される運命にある。夏の目的は李を死なせないことではなく、犯人に殺人をさせないことなのだが、Aの犯行を阻止すると、今度はBが犯行を実施し、しかも犯罪のスケールや悲劇性が徐々に大きくなっていくという悪夢を夏は見続けることになる。

 

選択肢一つのミスでバッドエンドを迎えるという構成は『かまいたちの夜』とか『ひぐらしのなく頃に』などのサウンドノベルゲームを思い起こさせるが、失敗するたびにタイムスリップをし、前回の経験を活かして次はもっと良い結果を生もうとするのは桜坂洋の『All You Need Is Kill』にも似ている。

 

 

本作に登場する名探偵・慕容思炫は軒弦の生んだ名キャラクターで、珠玉の短篇集『密室不可告人』にも完璧な推理を披露する。本作ではどの世界軸で起きたいかなる事件も完璧に解決する完全なる名探偵という役割を担い、人間というよりも物語の機構の一部として活躍する。もしこの慕容思炫がタイムスリップをすればきっと確実に犯罪を防ぐことが出来たのだろうが、探偵の仕事は事件を防ぐことではなく解決することにあるのでその役目を担うことは出来ないだろう。

 

最後的推理 馬若水

 

ラスト十数ページでサイコホラーに変わるミステリ小説というかサスペンス小説。タイトルに「推理」と書いてあり作中で登場人物が「推理」を披露するものの本書はミステリ小説のジャンルではないと思われる。

 

 


結婚相談所で働く司徒甜は親身になる性格が災いしそこの会員である数学教師の木村(Mu cun 中国人)に勘違いされて言い寄られる。ある晩、司徒甜の前に木村が結婚指輪を持って現れ、身の危険を感じた司徒甜が人を呼んだため、木村は警察に捕まり、近辺によく出没する変質者と間違えられた結果教師を辞め、結婚相談所も退会する。木村の結末に責任を感じていた司徒甜は後日本物の変質者に遭い、警察に木村の無実を訴えるものの後の祭り。しかし、またもや変質者に遭遇した司徒甜は友人沙悦の彼氏である警察官陳健に助けられるが、追跡する陳健が見たものは変質者ではなく死体だった。

それからしばらくし、死体発見場所の近くである動物園で偶然再会を果たした司徒甜と木村はこの死体遺棄事件の謎を追うことになる。


 

 

本書は『春天的邂逅』(春の邂逅)、『夏天的推理』(夏の推理)、『秋天的悪夢』(秋の悪夢)、『冬天的童話』(冬の童話)の4章からなり、第1章『春天的邂逅』では女慣れしていない木村のストーカー資質と言動の痛々しさに悶える内容になっているが、好きだった女性に拒絶されて、変質者に間違えられて捕まり、更に教師の職を辞したことがショック療法になったのだろうか、第2章から木村は突如覚醒したかのように司徒甜に対し気軽に話しかけ、これが俺の本分なんだと言わんばかりに警察以上の推理能力を発揮して司徒甜を感心させ、徐々に彼女の心すらも惹きつけていく。

 

しかし、警察すらも舌を巻く木村の推理も実際に司徒甜が事実を確認すると間違っていることが多々あり、やはり素人の推理はそんなものかと読者は思わせられるがラスト十数ページで木村が推理をしていた真の目的が明らかになる。

 

推理をする者にとって、その目的はもちろん事件を解決するため、犯人を捕まえるため、真実に近づくため、など『謎』を起点に行動しているが木村の動機は全く違ったのである。

 

当初は全く意味がわからなかった死体遺棄事件は謎が解かれるにつれて魅力が衰え事件のスケールも小さくなり、真相が明らかになる頃には読者は事件に振り回された徒労感に襲われるが、読者に失意を抱かせるこの物語は全てラスト十数ページのために構成されたと言っていい。ホラーとしては間違いなく良書だ。

深夜将至,別喫罐頭 著:不帯剣

 

タイトルを直訳すると「夜更けに缶詰を食べるな」になるだろうか。たかが缶詰とは言え開ける際には封を解く高揚感とそこにできた空間を覗きこむ期待感が伴うが、この開けるという行為が今まで目に触れられなかったものを外に出すことだと思えば、その中身を見るという行為には「深淵を覗く者は…」という有名な一節が頭をよぎることだろう。

 

本書は16のショートショートで構成されており、裏表紙に『都市伝説』と書かれているように、まるで洒落怖(死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?)の中でも質の良い作品が収録されているようだった。

 

しかし、ほとんど表紙に惹かれて買っただけなので、作者が台湾人だとは中身を読むまで気が付かなかった。

道理で「マーガリン」に「人工バター」という注釈が付いていたり、建物面積を表す「坪」という単位にも注釈が付いていたりと、本筋とは関係のないものに注釈が付けられていたわけだ。確かに「マーガリン」を北京で見たことはないな。

 

本書の中で特に面白かった作品をいくつか紹介する。

 

 

『飢餓』は食べ物が消えた世界で奔走するタクシー運転手の話。飢えに耐えかね怪しい男から高額で古びた缶詰を買うと警察が家にやってきて捕まり、そこで彼は食事が法律で禁止されたという事実を知る。拷問を受けても彼の飢えは収まらず、釈放されて飢えと痛みでフラフラになった彼の目に映ったのは車に轢かれたばかりの犬の死体だった。

 

食事が何故犯罪になったのか、他の人間はどうやって生きているのか、古びた缶詰があるということは昔は食事が許されていたのか、それとも麻薬と同じ扱われ方なのか、などなど一切の掘り下げも説明もなく、ただこの現実を受け止めよとばかりに理不尽に展開する。

 

 

『生魚片』(刺身)は都市伝説的な話からきっちりとホラー小説に昇華させているが、それが逆に本作を凡作にさせてしまった。

旅行先の居酒屋で旨い刺身をおかわりすると店長に本当まだ食べるのかと聞かれる。不思議に思い厨房を覗くと、店長が自身の腹を切って肉片をお皿に載せているところだった。驚いて店を出た男の体に後日異変が起きる…

 

平山夢明の『東京伝説』にこんな話あったなぁと思い出しながら読んだ。

 

 

『租屋』(借家)は借りた部屋に次々と怪異が起きるという王道パターンを踏襲しているが後半から粘液質の化物が出て、最後は都市伝説的な終わり方で締める。家自体が化物で家と一体化するという話は小林泰三の『肉食屋敷』にも似ている。

 

 

『狗』は飼い犬の視点で展開する話で、そのあまりの人間的な独白に人間の魂が入った犬が主人公なのかと思わせられたが最後でまさかの正体が判明する叙述ホラー(こんな言葉あるのだろうか)。

 

 

表紙には『軽恐怖』(ライトホラー)と書いているけど、各作品にはどれもしっかりしたオチが用意されているので読み応えはある。中国ホラーとしてはちょっと洗練されすぎているのがやや不満なところではあるが…


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