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栖鄭 椎(すてい しい)
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42
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非公開
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1983/06/25
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契約社員
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ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

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快把我哥帯走 著者:幽・霊

 

タイトルを直訳すると『早く兄を連れて行って』。ラノベタイトルっぽく意訳すると『お兄ちゃんさっさと出ていって』ってところだろうか(帯走を出て行けにするのは意訳すぎるだろうか)。

タイトルだけ見てライトノベルかと思いアマゾンで即買したのだが中身は漫画だった。だけど内容は『まんがタウン』にでも載せていいんじゃないかってぐらいのほのぼの兄妹漫画だった。

 

もし兄がいたら

もしこんな兄がいたらきっと時秒と同じように

毎日何回でも暴れたい?!

 

キャッチコピーの1文目に「もし兄がいたら」という仮定を立てるのが中国らしい。日本なら2番目の「もしこんな兄がいたら」から始まるだろうが、中国なら兄弟姉妹がいることが結構ハードルの高いIfの話なのでこう書いても違和感はない。

欠哥(中国には兄が足りない)、国欠妹(中国には妹が足りない)と嘆く声が特にビリビリ動画の『干物妹!うまるちゃん』の画面上に出てくるように、一人っ子政策化に生きている中国人が兄弟姉妹のいる生活に興味を持ち、羨んでいるのは確実だ。私は以前、留学中に知り合った中国人学生の口から『姉』という単語が出てくるのでまさかお姉さんがいるのかと尋ねたところ実はイトコだったってことが数回もあった。身近な人間を擬似的な兄弟に例えて身内自慢をしたい気持ちがあるのかもしれない。

ただ、今後はイトコなんて存在も少なくなるのだろう。

 

さて、本作品はいわゆるウェブ漫画で、今年1月に微博にアップされてから合計閲覧数が3億回にも上り、2015年度の第12回金龍賞の最佳劇情漫画賞の銅賞に選ばれた。

(金龍賞:中国のアニメや漫画などの優れた作品に与えられる賞)

(最佳劇情漫画賞:直訳すると最優秀ストーリー漫画賞)

 

あと、「兄がいたら」というキャッチコピーから察する通り、この漫画は女性読者を対象にして描かれている。

 

 

キャラクター紹介

 

兄:時分

テンション低めの高校生。色気より食い気の面倒くさがり屋。バスケ部所属。可愛い。

 

妹:時秒

テンション低めの中学生。兄妹喧嘩にはいつも勝つ方。兄よりはしっかりしている。可愛い。



 

時分の友人:開心

バスケ部のエース。以前食堂で時秒の代わりにお金を支払ったことがきっかけで時秒に一目惚れされる。しかし開心と時分はそのことを知らず、時秒も片思いの相手が兄の友人だと気付いていない。

 

時秒の友人:苗妙妙

妄想過多の女の子。時分に好意を抱いている。


 

キャラが可愛い漫画だけど4コマ漫画ではない。しかしテンポは4コマ漫画に似ていて、オチはついているがひねったものではない。兄妹あるあるネタが通用しづらい中国でどんな漫画ができるのだろうと期待したもののカップルネタを兄妹ネタに置き換えただけじゃないのかというオチがちらほらある。しかし兄妹だからこそ微笑ましく見え、また許容できるネタもあるので、つかず離れずの距離感をよく表現できていると思う。


 

一口ちょうだいのシーン

 

コーラのシーン

(説明すると自分のコーラを勝手に飲んだ時秒に「それさっきツバ入れた」と嘘を吐いたところ吐き戻される。数分後、そんなことをすっかり忘れてコーラを飲む時分に時秒がドン引きしている図)

 

作者の幽・霊は実は双子の姉妹。これらも実体験を下敷きにしているのだろうか・

 

 

実はこの兄妹はちょっと複雑な家庭環境にあり小さい頃に親が離婚して父親と暮らしている。何故父親と暮らしているのかと言うと、明るく元気で教養もある母親より無教養で飲兵衛のタクシー運転手の父親に同情したというブチャラティみたいな行動を起こした時分が父親を選んで時秒も兄に付いて行ったからなのだが、これ母親からすると子供二人に捨てられたってことだからダメージデカそう…

 

ところで、両親の離婚で子供が頼りがいのある親ではなく可哀想な親を選ぶという元ネタはどこまで遡れるのだろう。

 

 

この両親の離婚が描かれた29話の過去編は是非ともみんなに読んでもらいたい。先日父親を選んだことも忘れて、母親が自分たちを捨てるはずがないと確信している時分と時秒が家から出て行った母親に戻って来てもらおうと体を張った作戦を実行するのだが、全てはもう終わっていたと気付いた時分が兄として時秒をあやすシーンはフィクションが故の嫌味のない美しい兄妹愛を感じる。

 

 

このようにシリアスなシーンもあるが以下のようなネタも仕込まれ漫画としての完成度は結構高く内容が充実している。

 

 

やだかっこいい

 

壁ドン

 

トンガリアゴのイケメン

 

あと各所に出てくる妙に構図が上手な関節技や投技の一枚絵が無性に気になった。作者は格闘技や格闘漫画が好きなのだろうか。

 

  

 

  

  しかしこの漫画、何故『快把我哥帯走』(早く兄を連れて行って)というタイトルなのだろうか。妹が兄を嫌っている描写もうざがっている描写もないし、喧嘩をすると言っても時秒が一方的に時分を投げ飛ばしたり関節技を決めたりと微笑ましい内容なので、なんでこんな兄を邪険に扱うタイトルなのかは読んでもよくわからなかった。
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101日から国慶節長期連休を迎えた中国の北京ではオリンピック公園付近の国家会議センターで大規模なコスプレイベント I DO13が開かれていた。イベントには国内の有名コスプレイヤーやダンスユニットの他に海外からのゲストを招き、101日にはニコニコ動画の有名躍り手仮面ライアー217が来る予定になっていたが、私の目的は最終日の103日にあった。その日にはなんとニコニコ動画で有名なパンツレスリングの兄貴ことビリー・ヘリントンが来るというのである。ビリー兄貴が中国に来るのはおそらくこれで3回目で2012年には上海に、2014年には山東省東営市に来ている。

 

この機会を逃したら多分日本でも会えないと思った私は当日の3日、オタク趣味の友人(日本人)と会場に向かった。

 

イベント会場は国家会議センターの一階全てを使用しており、これまで私が行った北京のコスプレイベントの中でも比較的大きな規模だった。しかし各ブースで販売されている物は抱きまくらだったりTシャツだったりカラーコンタクトやその他の小物だったりで別段見どころはなかった。強いて言えば『うまるちゃん』グッズが妙に多くて、そのぬいぐるみを買っている来場者が目立ったことだ。あとは全体的にラブライブが優勢でアイドルマスター関係のグッズは少なく、時代の趨勢を感じさせられた。

 

・各種販売物や展示物

 

 

 

 

 

 

 

  


 ・兄貴待ち

出し物をするステージはメインとサブの2つあり、メインではダンスユニットの演目がずっと行われていて、ビリー兄貴はサブステージでの登場となる。私と友人はいくら兄貴とはいえ中国での人気は薄いんじゃないかと開演前に不安がっていて、もし観覧者が少ないようなことがあれば我々二人で精一杯声を出そうなんて話し合っていた。そして開演予定時刻の30分前にステージを囲うロープの一番近くに陣取り、兄貴の登場を待った。

 

  

そして当初の時刻より遅れること1330、ステージ付近は見渡す限りの黒山の人だかりができ、少しでも兄貴を間近で見ようと前のめりになる後方の観覧者のせいで、前列の我々は徐々にロープ側に押しやられていった。

 

人垣の中から兄貴が登場すると割れんばかりの歓声が次々に巻き起こった。しかし何故か兄貴は一旦セットの裏側に隠れ、壇上に上がった司会者が皆に「アニキ」(日本語)コールを要求する。「上海じゃもっと凄かったぞ」という司会者の檄が飛び、アニキコールは更に大きくなる。

 

そしてついに兄貴がステージに上がる。
 
 
 

 

既に後方からのプレッシャーが我々の立ち位置にまで及んでいて、最前列にいたはずの我々はいつの間にか前から3番目ぐらいの位置まで動かされ、場は混乱しつつあった。更に兄貴が参加者にレスリングを披露すると観覧者の熱狂と歓声がますます高まり、ここらへんで我々二人は身の危険を感じその場を離脱した。

 

1330から始まった兄貴の演目はその後希望者全員サービスへのサイン会へと移り、1530ぐらいにようやく終わった。
 


  ・宅舞(踊ってみた)大会

さて今度はメインステージの方を見てみよう。メインステージでは全国宅舞大賽(全国踊ってみた大会)と称したコスプレダンス合戦が行われており、正確な数は数えていないが参加者の大半がラブライブのコスプレイヤーだった。
 
 
 

  

そしてステージ周りにはこのような異様な集団がいた。


 

 

最初に見た時、こいつらはラブライバーなのか、それとも日本のラブライバーのコスプレイヤーなのか迷ったが多分前者で合っている。彼ら(女性もいる)はラブライブコスプレユニット全てのダンスを応援し、多分どのダンスユニットより運動量が多かったがしかし応援ダンスのレパートリーは少なく、日本のオタ芸のようなキレはない。中には体全体でサイリウムをぶんぶんぶん回す男もいたが、通行人にエライ邪魔がられていた。(正直、隣を通る時は当たるんじゃないかと怖かった)

 

 

そして最後は北京でもそこそこ有名なAKB48のコピーユニットが登場するものの、AKB48の曲は知らないのかラブライバーは応援を放棄。更に今まで散々ラブライブばかり見せられてこのユニットもうんざりしたのか踊りにはキレがなく、あんまり盛り上がることなく終わってしまった。

 

 

 

今回のコスプレイベントI DO13の総評としては、まさか日本では下火と言われている兄貴が中国北京ではまだこれほどの人気を持っているとは全くの予想外であり、あの熱狂ぶりを見られただけでも収穫だった。しかしトークといえるものがほとんどなく、すぐにレスリングとサイン会のイベントになってしまったのは残念だった。

以前の島田荘司のサイン会もそうだがせっかく中国まで来てくれたゲストのトークを観覧者は求めていないだろうか。それとも外国人のトークショーは難しいんだろうか。

そしてダンスはラブライブ一色になり、より楽しめなくなった。おそらくこれらのダンスユニットは以前はAKB48とかを踊っていたんだろうが、ラブライブの方が受けると思って宗旨替えでもしたんだろう。それは別に良いのだが応援団のラブライバーのせいで、彼等を応援させるために踊っているという主従逆転した構図に見えてしまい、この2つのグループで完結した世界をずっと見せ続けらて正直参った。

 

ラブライブを知らない観覧者のためにせめてユニットに親近感を持たせるために、せっかくプロジェクターがあるんだからダンス前に自己紹介の動画とか流して欲しかった。あと、応援団はホントいらない。


 ・EVAEXPOの結末

 

会場を出ると地下の吹き抜けにエヴァンゲリオンのポスターが掛けられているのを見つけ、ここがあのEVAEXPOの会場かと驚いたのだが近くにこんな張り紙が…

 

 

『新世紀エヴァンゲリオン20周年大展覧会北京駅』は敷地に不可抗力的な原因があり、安全性を考慮して関係部門からの指示を受けた結果、開催を取り消すことになりました。

皆様にご不便をおかけして誠に申し訳ございませんが、既にチケットを購入した方々はチケットを購入した会社で全額返還が行えます。ご協力とご理解に感謝します。

新世紀エヴァンゲリオン主催者

2015年10月1日

 


 

 

ネットの噂だと大型イベントを行うのに届け出をしていなかったせいで主催者側が警察に連れて行かれたってことなんだが…101日が本来の開催日ということは当日に取り消しが決まったのだろうか。相変わらずこの国はわからない。

 

 

 

・今回の戦利品

  

日本からの駄菓子

 

 

日本のコミケにも毎回出展している中国の同人サークルYonder voiceの雨音クロスロード

 

 

 

 

 

Salome 七重紗舞 著:E伯爵

 

中国のミステリ評論家・華斯比が2014年度中国サスペンス小説第5位に選んだ本作をとうとう積ん読から救い出して読んでみたのだが、「うーん…」という感想しか出ない微妙な内容だった。

 

舞台はアメリカのニューヨーク。アジア系アメリカ人の刑事アレックス・リーは新約聖書の『サロメ』を模した猟奇的連続殺人事件を担当することになる。大学教授のモリス・ノルマンの助力で犯人が同性愛者の男で、とあるキリスト教組織の構成員をターゲットにしていることがわかるが警察の一枚上を行く犯人の凶行は終わることなくついにはアレックス・リー自身にも魔の手が及ぶ。そして彼は自身も同性愛者だと公言するモリスに疑惑の眼差しを向ける。

 

 

いわゆる翻訳ミステリ風の小説。モリスが事件の鍵を握っているんだなというのは容易に予想がついたが、なにせ後半まで犯人の具体的な人物像が全く出てこないのでこのままモリスが真犯人だったらどうしようという不安が常に付きまとう内容だった。ただ、モリスの過去の秘密についてスマートに伏線を張っていて、こういう自然な伏線の張り方には年季を感じさせられた。

また本作でもE伯爵の十八番である読者の想像力を煽る耽美的な設定があり、モリスが別の意味でアレックス・リーを狙っているんじゃないかという番外的なサスペンスも見どころの一つだ。

 

ただし小説としてはあまり面白くはなかった。犯罪と聖書を絡めたり、同性愛差別や児童虐待などの社会問題を組み入れたり、いかにもアメリカ『らしく』仕上げてきたなというのが第一印象だが、じゃあアメリカドラマと一体何が違うんだと言えば特に目新しい点はないように見えた。

実はこの作品の初出は2007年らしく、ならばその時期にアメリカドラマと遜色のない長編を書き上げたことは見事としか言えないが、2014年にわざわざ再評価するような作品かと言えばそれも違う。

 

 

この本、読んでいる時にやけに気になったのが地の文でのアレックス・リーの三人称だ。本名の「アレックス・リー」の他に「黒髪の男」とか「黒髪の刑事」などの名称で呼ばれているのだが、この使い分けがいまいち理解できなかった。読者がアレックス・リーの外見を忘れないようにという配慮なのか?

あまりにも「黒髪黒髪」うるさいので、実はアレックス・リーの隣にもう一人アジア系の人間がいてそいつが犯人だという叙述トリックなんじゃないかと疑ったがそんなことはなかった。このくどさで翻訳ミステリっぽさでも出しているのだろうか。

 

 

温柔在窓辺綻放

 

中国語の推理小説を対象にした『島田荘司推理小説賞』の常連作家・王稼駿が第三回島田荘司推理小説賞に応募して入選した作品が本作で、元々のタイトルは『熱望的人』だった。それがミステリ専門雑誌『最推理』に連載されるときに「こんなタイトルじゃ売れない」と編集に言われたのか『温柔在窓辺綻放(仮訳:優しさは窓辺で花開く)』と改題された。タイトルである程度察しがつくが、本作は感動系ミステリを狙っている。ただしその内容は王稼駿が『明暗線』で発揮した底辺学生の自分勝手な友情や他者の理解を拒む苦悩と言った特色が描けてはいるもののそれが青春へと昇華されておらずやや消化不良と言ったところだ。それに今回は恐らく親子の交流をテーマの一つにしているのだろうが不良学生同士の付き合いと比べてこの大人と子供が心を通わせる様子はどれも陳腐に見えてリアリティもオリジナリティもなく到底感動できる話ではなかった。

 

そもそもこの作品は前半と後半でまるでジャンルが異なっていて一つの作品としての一貫性に欠けているように思えた。まず本書の裏表紙に記載されているあらすじをざっと書いてみよう。

 


大病を患い全身麻痺になった妻の易理希のために夫の郭樹言は意思の疎通が出来る装置『小獅子』を作り上げる。一方、彼らの住む地区ではここ最近凶悪な殺人事件が発生し、警察の駿作は易理希が事件に関する何かを知っているのではと推理し彼女から事情を聞く。そして『小獅子』が出した容疑者の名前は他でもない夫の郭樹言のものだった。


 

このあらすじを読んだ読者はきっと本書をSF要素のある推理小説と思い、『小獅子』の出した答えに装置の故障または意図的なバグの存在を疑い、更にはそもそも『小獅子』の証言に信憑性はあるのかなどと考えるだろうがそんなもの杞憂に終わる。何せ『小獅子』の役割は前半で終わり、中盤からは殺人事件の被害者に近しい人物である学生たちの学校生活に移行するからだ。

郭樹言・易理希夫婦の隣に住み家族ぐるみの付き合いをしてきた学生の吉宇、駿作の息子で不良の秀人、そして彼らの学校に転校してきた章小茜の3人が主軸となり学校でそして家庭で醜い争いを起こす。この3人は決して殺人事件と無関係ではないのだが、彼らの介入によって物語の軸が大きくぶれたという印象は否めない。

 

肝心の推理部分、要するに殺人事件の犯人に迫る描写もまるでおざなりで、読者の予想もしない犯人が登場し、更に郭樹言・易理希夫婦の思惑なんかも明かされたが、これらの結末は家族問題や学校問題が混線した本を長い間読まされた読者を納得させるものではない。特にラストに明かされる郭樹言・易理希夫婦の無私の奉仕など如何にも感動的で『エンディングだぞ、泣けよ』と言われているようで鼻白んでしまった。

 

本作が第三回島田荘司推理小説賞で一体どのような評価を受けたのか是非とも知りたいものである。きっと私が見逃した魅力が本書には隠れているに違いない。

 

去年に引き続き、今年も北京ブックフェアに行ってまいりました。今年の開催日は826日から30日の4日間で、前半2日間が中国を含む世界各国の出版社が各々持ち寄った本の版権を売買する商談の日となり、後半29日と30日が一般来場者向けの展示日となっています。

 

本当なら上海ブックフェアにこそ行きたかったんですがね。今年は仕事のせいで時間が取れなかったのです。

  

そして今年は抗日戦争勝利70周年を迎える年であり、更に翌週の93日には北京で軍事パレードも執り行われるのでブックフェアの展示も少なからずそれを反映していると予想して若干緊張しました。

 

 

 

5元のチケット代を払う代わりに受付でブックフェアの公式微信をフォローすることで無料入場することができました。まずは日本ブースに行きます。

 

 

・日本ブース

 

相変わらず講談社のブースが一番大きく、それ以外のブースも去年と同様といったところです。毎年参加しているということは一定の成果があるということでしょうか。

 

 

講談社ブースにて

 

既に日本語訳されている中国ミステリ『蝶の夢 著:水天一色』が置かれています。逆輸入でしょうか…?

 

『掟上今日子の推薦文』はポスターも貼られていました。

 

『竹』氏のイラスト集。しかし大陸では『戯言シリーズ』はまだ正式な簡体字版が出ていないのでは…

 

 

他の日本の出版社ブース

  

 

女の子向けの本が毎年必ずあります。

 

 

こういう『謎本』は去年も見ましたが中国語訳されたという話は全く聞きません。なのに展示する目的はなんなんでしょう

 

 

残念ですが北京でバルが流行るのはあと2年は必要だと思います。

 

 

 

日本ブースでは『日本アニメーター見本市』の動画が流れていて、けっこうな数の中国人が足を止めて見ていました。しかし動画の字幕が英語しかなかったのがちょっと残念です。

あと本当はいけないことかもしれませんが、動画一本を全てムービーに撮っている女性がいました。中国人ってこういうところで言語学習するから侮れないんですよね。

 

 

日本で2014年に年間ベストセラーになった本を展示しているコーナーです。二位にちゃんと大川隆法の本を置いているところにプロ意識を感じます。

 

ちなみに、ここでは版権を売り買いするだけですので、ここに陳列されている日本の書籍は買うことはできません。生殺しです。

 

 

・韓国ブース

 

なんか年々規模が大きくなっているような気がする韓国ブースですが本番はあくまで商談を主に行う平日のようで、去年同様一般参加日の土曜日には多くのブースが既に撤収しておりました。

 

そして韓国のアニメや漫画、ゲームなどを宣伝するブースも去年ほどの活気がありませんでした。タブレットがあって漫画を読めるようになっているのですが、漫画の内容だけじゃなく言語設定も韓国語仕様になっているので全然操作できませんでした。

 

パンフレットを見てみると既に多くの作品が中国語訳されてウェブに掲載されているようです。しかし…

 

TSものまであるのか…(困惑)

 

この『醜男変美女』は以下のサイトで読むことができますが、紹介文に『韓国原作』とか全く書いていない不親切設計です。お釣りに500ウォン硬貨を渡している描写がないと舞台がどこなのか本当にわかりません。

 http://www.u17.com/comic/83116.html

  

さて、韓国ブースが年々大きくなっていると書きましたが、確かに面積では韓国の方が広いとは言え、実際の出展社数は圧倒的に日本の方が多いです。

  

これは会場に貼られていた出展社リストです。赤線枠内が韓国ブースで、青線枠内全てが日本ブースです。この数を見ると、海外勢では日本が最も多く出展しているようです。日本側は以下のように十数の出版社が協力して一つのブースで展示しているようで、そのためこんな数になるのだと思われます。


  

その他、ドイツやアラブ首長国連邦のブースも例年通り大きかったです。特にアラブブースはダンスや絵画コーナーがあり、来場者への民族衣装の貸し出しなど行っておりお祭りのようでした。

 

 

・中国のブース

 

海外ブースとは異なり、中国ブースではその場で本を購入することができます。別に中国の本はいつでも買えるので真剣に見る必要はないのですがそれでも今年は全然食指が動きませんでした。そこで期待したのが香港や台湾ブースなのですが、そこにも去年の廃墟の本のような心ときめく本がなく、結局今年は収穫ゼロのまま退場となりました。

 

 

本に英語の簡単な紹介文が付けられています。ただし全ての本についているわけではありません。また、日本ブースの一部の本には中国語の説明文が付いていました。

 


 

展示されている中国の書籍のうち、この『中国龍的発明』だけは面白そうでした。出版社は信頼と実績の『三聯書店』。思えば去年の上海ブックフェアでは買った本を確認したところ大半が『三聯書店』でした。

 

 

なんかエヴァっぽい…エヴァっぽくない?

 

 

 

・トークショー

  

829日の10時から12時まで中国SF小説の大家・劉慈欣のサイン会が行われていました。それを知ったのはこのスケジュールを見たあと…全く惜しいことをしました。

 

・抗日関係

 

去年の段階ですでに70周年に向けた展示をしていたのである程度覚悟していたのですが、今年の北京ブックフェアは『抗日』がテーマの一つであるようでした。

 

 

 

 

  

抗日関係の本が各ブースでズラリと並んでいます

 

 

すっごいブレてしまいました…一応言っておきますと本で『70』という数字を表しています。

 

 

絵本で学ぶ抗日。

 

 

念のため言っておきますと日本ブースの前で展示をするなど、そこまで下品なことはしていません。(そもそも会場が東館と西館に分かれていて、海外ブースの集まる館では抗日関係のブースがなかった気がする。)

 

しかしブースの数は多いですがこの展示が果たしてどれほど来場者の意向に沿っているのか疑問です。置くのならもうちょっと読んで楽しい本を置けよというのが一般来場者の本音じゃないでしょうか。

 

 

北京ブックフェアは決して本を購入するのが目的ではなく雰囲気を楽しむためだけに行っているようなものですが、今年は輪をかけてつまらなかったなぁというのが感想です。もっと推理小説、SF小説、武侠小説など大衆文学を置いて海外に宣伝してほしく、そのためには現地の中国人読者がもっと自国の小説に対して興味と誇りを持つことが大事なのではないかと思った次第です。

 


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