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栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
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性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

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偵探日記之隠匿的証言 著:西樵媛(広西人民出版社)

 

これまで中国人が書いた日本を舞台にしたミステリを何冊何話も読んできましたが、それらの作品に登場するのはみな日本人であり、単純に日本ミステリの体裁を借りているに過ぎません。

ホラージャンルではありますが日本を舞台にし中国人を登場させた作品に『窒息』を挙げることが出来ます。そして本作『偵探日記之隠匿的証言』では日本の殺人事件を解明する中国人探偵が登場します。しかし探偵が中国人である意味が全く感じられず、物語の構成そのものに疑問が生じてミステリ要素を楽しむことが出来ませんでした。

 


小学生までを日本で過ごしたことがあり現在はまた日本に滞在中である中国人の穆木は以前にとある殺人事件の際に知り合った刑事の小田切と検死医の水戸とともに彼の身近で起こる難解な殺人事件を調査する。全4作の短篇からなる本書で穆木は、『戯劇的人生』では身分を偽り豪華客船に潜入し、『美麗陰謀』では妹の所属する劇団で起きた殺人事件について、『替罪羊』ではクローズドサークル状態になった別荘で友人達の中から犯人を探し、『卑微的殺意』では犯人が遺したダイイングメッセージを探り、有名人連続殺人事件の謎を追う。


 

 

本書の特徴としては4篇の作品全てに毒を用いた事件が登場することですが、事件の詳細を述べる前にまずは本書を読む上で気になって腑に落ちない点を紹介しましょう。

 

・穆木が中国人である設定

穆木の本職は推理小説家であり、日本のミステリ雑誌で探偵『暮木優』(穆木も暮木も中国語の発音は同じくMumu)が活躍する小説を連載しております。もともと小学校まで日本にいたことがあり日本語能力には全く問題はなく、それは『戯劇的人生』で豪華客船のスタッフとして働き客を欺いていたことからもわかります。

それどころか穆木は作中でいちいち探偵であることに注目されますが、外国人であることを指摘されたことがありません。だから、中国人であることが推理をするの上で優位に働くことも、それがハンデになることもありません。

では何故本書では暮木優ではなく、中国人の設定を持つ穆木を主人公にしているのでしょう。

 

・作中作の存在

本書で起こる毒殺事件は穆木が実際に遭遇し小説に改編した事件を模倣しております。それが『十天遺嘱』と2年前に相川家で起こった連続殺人事件を書いた『古玉的詛呪』です。しかしこの2作がほとんど作中作的扱いで詳細はほとんど書かれておりません。調べてみると『十天遺嘱』は作者・西樵媛のブログで連載されており、穆木が創作したという設定の探偵暮木優が難事件に当たっています(未読)。ですが『古玉的詛呪』がどこに掲載されていたのかは今のところ探し出せておりません。

つまり『古玉的詛呪』または別の作品で穆木を中国人にした理由というか必然性が書かれているのでしょう。じゃなきゃ最初から日本人探偵の暮木優を出していれば良いだけの話ですからね。

作品後半で穆木が自分の作品を真似して凶行を犯した犯人を咎めるシーンがありますが、じゃあ実在の事件をモデルに小説を書いているお前はどうなんだよ。と全く説得力がありません。

・キャラクターの名前

調べてみるとこの作者はイギリスに留学経験のあるオタク女子で、おそらく日本文化の知識は一般の中国人オタクと同様と思います。だからか、作中に登場する日本人の名前がおかしいんですよね。

酒井中越、唐沢松織、佐藤容優、瀬戸無桜、麻里恒原、小島草などなど…

九井平川と九井長岩の兄弟に至っては考えるのを放棄したんじゃないかというぐらいおかしいです。そしてこのような作者の誤解や知識不足から来る奇妙な名前って、ちゃんと考え抜かれたライトノベルのキャラクターの名前とは異なり、全く魅力がありません。

だからここまで来ると、無理して日本が舞台のミステリを書かなきゃ良かったんじゃとさえ思います。

 

 

表紙に『シャーロック・ホームズ、江戸川コナン次の名探偵は誰だ?と中国人なら誰でも知っている探偵の名前しか書いていないことや、出版されていない作品を作中作として登場させる構成などを見ると、中国ミステリのレベルの低さは作家だけに起因するものではなく、彼らを指導する編集者にもいくらかの原因があると言えます。

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