アニメやマンガ文化においては本州からだいぶ遅れている北海道。雑誌やコミックが2日遅れで本屋に並ぶことは子供時代から叩き込まれた内地との埋められない格差である。
中でもテレ東が映らない釧路にいる子供たちは、マンガのアニメ化が必ずしもグッドニュースとは思えなくなる。
想像してもらいたい。購読していた大好きなマンガが連載誌上で【アニメ化決定!】と大々的に宣伝されて詳細情報を読み、《18:00~18:30 テレ東系列で放送》とアニメ僻地に全く無遠慮な告知を目の当たりにしたときの子供の心境を。ボクはよく月刊少年ガンガンのマンガでその手の悔しい思いをしたおかげで、アニメ化の情報を聞いても「どうせテレ東だろ」と先手を打って失望していた。
マンガが2日遅れに到着するのは配送技術の問題や印刷業の限界のため仕方ないと納得できるし、北海道全体が同じ状況なのだからまだ気が休まる。だが北海道のちょっと東に位置しているだけでテレ東の電波が届かない釧路に生まれた子供たちはすっかり卑屈になってしまい、あの有名なポケモンショックが起きたときは友人と口元を歪めながら「釧路で良かったな」と自嘲することしかできなかったのだ。
そんな試される大地釧路にとうとうアニメショップができたというから驚きだ。その名もmoe staition。
読書の秋ってことなので外に出て本を読むことにした。
場所は新光天地という高級デパートの敷地内に設置されているベンチ。本を読むような場所ではないのだが他に読書に適した場所もない。
しばらく読んでいると声をかけられた。訛りの強い中国語だった。顔を上げると年齢30代後半ぐらいの男が日に焼けた顔に笑顔を浮かべて立っていた。口調から察してどうやらボクに何か勧めているようだが、ヒドイ訛りで聞いたことのない単語をズラズラ並べてまくしたてられるので何も理解できない。
ボク日本人だからアンタの言ってることわからないよ。
こんにちの日中関係をまったく無視した言葉で拒絶したものの、男は尚更嬉しそうに話を続けた。訛りが若干緩くなった気がした。
彼の話を数回聞き直してようやく四大仏山やら九華山という単語が聞き取れて、仏教関係の勧誘だということがわかった。
肩提げ鞄から『安徽省九華山仏教協会』と記された手帳を出して見せてくれたが、本当にタイミングが悪かったと言って良いだろう。何故ならそのときボクが読んでいた本は暗訪十年セカンドシーズン。中国の詐欺犯罪を特集した本を読んでいたボクに向かっていったい何をしようと言うのか。
北京の留学生憩いの場である漫画喫茶B3がとんでもないイベントをやらかしました。
カツ丼25元(300円程度)を注文すると12時間漫画読み放題というカツ丼パックを期間限定ではじめたのです。
そこでボクは友人とともに夜の七時頃にB3へ行ったのですが、噂を聞きつけた日本人が他にもいたらしく店内がボクが今まで見た中で一番賑わっていました。
ボクらにとって他のお客さんはみんな戦友でありライバル。読みたい本が誰かに読まれていればひっそり軌道修正する仲間意識があるのだ。
その後見知った顔がやってきて、ボクらはカツ丼パックを薦めた。だがイベント内容をカツ丼を食べなきゃいけないと解釈した彼らはそれを頼まず普通に漫画を読み、帰って行った。
その後、客がやってきたら去っていく。6時間経ち10時間経ち、結局最後はボクら二人だけになってしまった。
このときのボクらは、このイベントが
カツ丼を頼めば12時間漫画を読める
から
カツ丼を食べなければ12時間読めない
と変化してラスト1時間になると
カツ丼食べたら12時間漫画を読まなければいけない。
という苦行へと変わった。
そして午前七時を迎え、12時間を耐えきったボクらは虚しい気持ちのまま店をあとにした。
12時間はきつすぎる。だが今までパック料金なんかなかったB3がこういうイベントをやってくれるとは非常にありがたかった。これで深夜パックとかもやってくれないかなぁ