中国にはチャンスがゴロゴロ転がっている・・・13億もの人口と広大な土地を持つこの国に可能性を見出し、胸に野望を抱いて留学に来ている人も少なくありません。
留学生仲間Wさんもその一人です。
とは言ってもWさんは金を稼ぎに来たわけではありません。学生時代に読んだ本に感銘を受けて、いつかこれを日本語に翻訳して日本で出版したいという夢を持ち、とうとう著者である教授が在籍しているこの大学に来たのです。
そして先日ついに出版決定という運びになったのです。
ここにも野望に燃える男がいたか・・・
楊先生「じゃあ次はニュージーランド人のレオ」
レオ「はい、えーと、ボクらにとって漢字ってパッと見、意味がわからないじゃないですか」
先生「まぁなぁ。文化が違うモンなぁ」
レオ「ボクも今でこそこうして中国語話してますけど、覚えたての頃はさっぱりで」
先生「ほぉ」
レオ「大学生のときに習い始めたんですけど、うちの大学って留学生がたくさんいるんですよ。中国人もアメリカ人も、日本人もいました。
それである日、ボクのニュージーランド人の友達が、腕に漢字のタトゥーを彫ったんですよ。そのときはまだなんて漢字が書かれているのかもわからなかったんですけど、その後調べてみると何の意味もない漢字だったんですよ。文字は忘れちゃったんですけど、彫る意味もない漢字で」
先生「でもええやん、もし変な漢字で下手に意味があったらめっちゃ恥ずかしいし」
レオ「そうなんですよ」
しかし大変なことになったな。
日本人留学生のSはそう口を開いた。
彼が言っているのは今や海外でも問題が波及している『メラミン入り牛乳』のことだった。中国の大手牛乳会社数社が牛乳に『メラミン』という薬品を入れて水増ししていた事件は中国人に衝撃を与え、特に最大手だったA社とB社からもその薬品が出てきたと言うことは致命的だった。
オレはAとB社なら安全だと思って勧めたのによ。
ガイドのバイトをやっているSは日本から来る観光客に北京の名跡を案内している。オリンピック中は毎日のように会場へ出向き、その後の買い物からお土産選びまで担当していたらしく、そこで中国の牛乳を紹介したのだ。
C社のは飲むたんびに下してたから、それに比べるとAとB社のはたまに腹を壊すぐらいだから良かれと思ったんだけどよ。
C社とは北京に本社を置く牛乳メーカーで、今回の牛乳騒動の中で数少ない『白』だった会社である。中国メディアやスーパーなどはこぞってC社の牛乳の安全性を宣伝している。
「いくらそのときは何のニュースもなかったとは言え、初めからC社を勧めるべきでしたね」
ボクの言葉にSは持っていた湯飲みを置き、口を歪めた。
C社のが安全だってなんで言える?
SがC社のを勧めなかったのには別な理由があった。
いま日本では『イキガミ』という漫画が星新一の『生活維持省』の盗作ではないかという問題で賑わっていますが、誰も『金剛番長』と『鋼鉄番長の密室』の酷似を指摘する人はいません。
『鋼鉄番長の密室』とは月刊少年ガンガンで連載されていたミステリ漫画『スパイラル』の オリジナルノベルです。戦後に勃発した『番長戦国時代』に君臨した鋼鉄番長の突然の死を現代に生きる主人公が解くという破天荒なストーリーなんですが、鋼鉄番長の他にも流星番長、ピストル番長、魔法番長、ナパーム番長やナイフ番長などの頭が痛くなる名前が大勢出てきます。しかし設定は馬鹿でも伏線の張り方 や推理のロジックさはきちんとしていて、推理小説として一読の価値がある本です。
こちらの方のサイトであらすじが述べられています。原作を知っていないとわからない会話かもしれませんが、対談方式なのでスラスラと頭に入ると思います。
また、この方はスパイラル原作者城平京先生の特技というか癖をピタリと言い当てていると思います。(ちなみにこの城平先生はデビュー作『名探偵に薔薇を』で実在しない架空の毒薬『小人地獄』を中心に据えたミステリを展開させた)
『金剛番長』と 言えばいまサンデーで人気を誇る番長漫画です。番長による日本支配を阻止するために金剛番長と呼ばれる破格の肉体を持つ主人公が、坊主の格好をした念仏番長、日本刀を持っている居合番長、ひたすら卑怯な卑怯番長、機械的な言動が目立つマシン番長などと戦います。倒された番長が主人公の男気に惚れて仲間にな るあたりに往年の少年漫画らしさを感じさせる傑作です。
詳しくはこちらの方のサイトを御覧下さい。スポーツ漫画の旗手鈴木央先生が描いたギャグあり熱血あり友情ありの漫画は単なるトンデモではありません。
こうしてあらすじを書いてみますと番長たちがやっていることや番長の名前に類似点が見られます。