中国の書店には中国語訳された日本の書籍が平積みされている。人気はやはりミステリだがエッセイ系も多く売られており、一体誰が目を付けたのか疑問視するような本もある。
以前書店で中国語訳された『来自水的信息』(水からの伝言)を見かけたときはとうとうここまで来てしまったかと恐ろしくなったものだ。日本ならネットやテレビで検証をしているが、ここ中国ではなんの検査も通されず大勢の人間に読まれるわけだ。日本でも批判の対象になっている問題の本が外国で読まれて良いのだろうか。
しかしその心配は杞憂に終わり、『来自水的信息』は反論すら出ることもなくブームにすらならなかった。中国の教育現場で採用されなくて良かった……
そしたら先日日本人向けフリーペーパーA誌を読んだらエライ告知が書かれてた。
とある音楽教室で「水の結晶に見る、水と音楽の不思議」という講座をやるというのだ。
アワワワワワ(((( ;゚Д゚)))
蒸留水にモーツァルトを聴かせたらどうなるかなど驚きと発見に満ちた内容なのだそうだ。
アワワワワワワワワ(((( ;゚Д゚)))
小さい子供がいるお母さんには必聴の内容であるそうだ。
アワワワワワワ(((( ;゚Д゚)))
冷やかしに行こうかなぁとも思ったが、参加費50元もかかるから止めた。それになんだか怖くなったのだ。
中国の日本人向けフリーペーパーは中国の規定を遵守して発行している。雑誌の中で毛沢東の写真は使わない、中国の国旗は使わないなどである。もしも無許可で掲載すると後日莫大な違反金を請求される。
なかでもフリーペーパーがデリケートになる問題は『気』を使った療法をしているマッサージ店だ。それは中国で邪教と認定されている『法輪功』対策の規定であり、あらゆる雑誌での掲載は禁止のはずである。
この規定を日本のフリーペーパーが遵守しているのには道理がある。
日本では患者の体を傷付けて最悪には死に至らしめる詐欺紛いの心霊治療の事件が少なからず存在した。もしも中国で『気』を扱ったお店が日本人客に取り返しのつかない怪我を負わせたら、紹介したフリーペーパー会社にも責任が生じるから、フリーペーパー誌は読者と会社を防衛するために信頼度の低い情報を書いてはいけないのだ。
フリーペーパーは中国で暮らす日本人の大切な情報源だ。
『水からの伝言』という科学的根拠のない有料のイベント情報を掲載したフリーペーパーA誌は迂闊だったのではないだろうか。