中国の東野圭吾と言われる有名サスペンス小説家・周浩暉の作品がまた盗作されたようです。
発端は6月11日に周浩暉が読者から貰った通報です。読者から雑誌『青年文摘』の6月上第11期に掲載されている短編『河豚殺手』が彼の短編『西施笑』と内容が一致しているという連絡があり、周浩暉が盗作を確認しました。そしてある読者(通報者と同一人物?)がマイクロブログでその作者である王某に盗作を指摘したところ、王某は謝るどころか「周浩暉って誰だよ」とうそぶくばかりか周浩暉を馬鹿にする対応を取ったため、周浩暉がその一連のコメントをリツイートしました。
現在、周浩暉のそのツイートは500以上もリツイートされ、また王某のマイクロブログも500以上のコメント(主に批判)が寄せられて炎上しております。
冒頭で『また盗作された』と書きましたが、周浩暉の盗作被害と言えば2014年12月に著書『邪悪催眠師』のストーリーやキャラ設定、犯人の動機などがテレビドラマの『美人製造』に酷似しているとしてプロデューサーの于正を訴えて、2016年3月に著作権侵害裁判をやったばかりです。
その裁判も泥沼になりそうなのに体力有るなぁと感心させられますが、周浩暉は自作の『西施笑』と『河豚殺手』が具体的にどこが似ているのかを書いておりません。ですのでネットで落ちている2作品を読み比べてみました。
『西施笑』
http://c.tieba.baidu.com/p/3015844192?see_lz=1
『河豚殺手』
周浩暉の『西施笑』は食通の主人公が年老いた料理人にふぐ料理をご馳走になり、西施笑と呼ばれるふぐの卵巣が如何に絶品であるかと教えられるグルメ小説です。
王某の『河豚殺手』はいわゆるショートストーリーと呼ばれる内容で、日本人ふぐ調理師が父親の敵であるマフィアのボスにフグ毒を盛って毒殺するという話です。
両方共ふぐが登場していますがそれだけで盗作とは言えないでしょう。両作品ともキモになっているのは中国におけるふぐの伝統的な食べ方です。
本当かどうかわかりませんが、中国にはふぐを調理した際にまず調理師や主人側がふぐを食べて安全性を証明し、それから客に提供するという伝統?(民間伝承?)があるようです。
http://www.360doc.com/content/11/0518/20/1205635_117748333.shtml
『西施笑』では主人側である老人の料理人が主人公に先んじてふぐの卵巣を食べ、『河豚殺手』ではふぐ調理師が先に味見することで敵に無警戒に毒を食べさせています。『河豚殺手』では「東方では調理師が先にふぐを食べて、30分間なにもなければ客に提供するルールがある。」と書いているものの、日本にもそんな風習があったかな?と疑問が生じますが書き手も読み手も中国人ですので別に気にするところではないでしょう。
さて、このエピソードだけでしたら周浩暉も中国に古くから伝わっている話を流用していると思うので盗作とは言えません。作品のオチに触れることになりますが『河豚殺手』で調理師が食べたふぐには実は毒なんか入っておらず、別の手段を使ってふぐ毒による中毒死に見せかけて相手を殺すというトリックが『西施笑』にも出てくるのです。
周浩暉が明言していないので確定できませんが今回の盗作疑惑はトリック盗用疑惑なのです。
この問題が今後どういう進展を見せるかわかりませんが、もし裁判にまで縺れ込んだ場合中国の法廷がトリックの盗用疑惑にどのような決断を下すのか興味が湧いてきます。