本番の9月11日19時から22時までが授賞式でした。3時間も何やるんだろうと疑問でしたが始まってみると賞の発表の連続に驚きました。
私が記録しただけでも今回はこのぐらいの賞がありました。
科幻電影創意賞
科幻探索賞
最佳原創図書
最佳引進図書
最佳青少年作品
最佳評論
最佳編輯
最佳美術作品
最佳短篇小説
最佳科幻社団
浩林杯最佳小児図書
年度新秀
最佳中篇小説
最佳長篇小説
特別貢献賞
編集者に授与される賞や小説の表紙を描いたデザイナーに対する賞もありえらい景気の良さを見せつけられた気がします。
第6回の賞一覧を見てみると「最佳科幻迷賞(SFファン賞)」なんかもあったようで、賞の種類は毎年増減しているようです。しかも聞くところによると賞の数はまだまだ増える予定ですので、例えば私が今から中国SFに関するレビューを書き続けていけば第8回には『最佳海外科幻評論賞』なんかを作ってもらって受賞できるのではないでしょうかと妄想してしまいます。
授賞式の合間には寸劇というか出し物もあって見ていて飽きなかったです。
ライトセーバーを持ち、ジェダイやシスの格好をして出て来る審査員たち
手品。花束をステッキに変えるというベタベタなものから美女の空中浮揚までやっていた。この一連の手品、セットで売られていそう。
たちはらとうや、Cat Rambo、そして中国人作家(名前忘れた)の日米中三ヶ国語による老舍の『猫城記』の朗読会。
ミュージシャン(有名?)による『銀河之外』の生演奏。なかなか良い詩だった。
・総評
デカイイベント、国内外の著名人、数々の賞と賞金を見てやっぱお金があるところは良いなぁと思ったのが正直な感想。もしこれと同じ規模を中国推理のジャンルでやるとしたらまずスポンサーを呼ぶための目玉となる作家なり作品なりを用意する必要があり、当分の間は期待できません。
そして中国SFがメディアミックス、というより映像化に力を入れていることに興味を惹かれました。中国推理も同様にドラマ化を進めていますが、中国SFはそれより一段上の映画化を目指し、国外への進出を狙っています。あの『三体』が2017年にいよいよ劇場公開されるということですがそれがこの先駆けになるのでしょうか。まぁ絶対に成功させなきゃいけないプロジェクトでしょうし、我々外国人も成功を祈っています。最近のハリウッド映画で露骨な中国押しがありウンザリしている人が多いと聞いているので、だったら一から全部中国国内で製作してくれというのが世界の映画ファンの本心なのではないでしょうか。
ところで中国SFではタイムスリップや輪廻転生などが規制されているという話を聞きましたが、結局のところこの制約は有効なのか、そして作り手側は不利益を被っているのかが気になりました。
またこれは現場でとある中国人SF作家から聞いた話なのですが、日本ミステリ(海外ミステリ)を主に出版する新星出版社のような日本SF(海外SF)専門の出版社がないから中国には新しい海外SFがあまり入ってこないようです。「いちばん有名な日本人SF作家は?」という私の質問にその作家は「星新一?」と笑いながら答えてくれましたがちょっと冗談には聞こえませんでした。
ただし伊藤計劃の『虐殺器官』と『ハーモニー』は簡体字訳されていますし、今回の最佳引進図書(最優秀海外図書)では『火星の人』が金賞を取りましたので、要するに本国で売れている作品ならば中国で売るつもりはあるということなのでしょう。ココらへんが日本ミステリ事情と異なっており、日本ミステリの場合はその作品単体が無名でも『日本ミステリ』という幅広いジャンルで一定数の売れ行きを見込んで出版しているのかと思います。
ただ、中国SFの発展具合を見るともう海外SFなんかいらないんじゃないかと思います。中国側もいまは中国SFを海外に宣伝することに焦点を絞っているようですので、今後は世界が中国SFを理解する側に回るのではないでしょうか。
終わり!!