学生街でもない街中でTシャツを見かけるぐらい中国社会に浸透していた『進撃の巨人』ブームもアニメが終わって一段落したかと思いきや、中国のネット上では如何にも中国らしい話題が紛糾しておりました。
事の発端は『漫画少年』という雑誌が『進撃の巨人』の中国語版を掲載したことです。
これがただの海賊版なら何の話題にもならなかったと思いますが、中国人が問題視したのは扉絵に載っているこのキャッチコピー。
日本授権同歩連載
最熱血的漫画連載
(日本から権利を貰い日本と同時連載)
(最もアツい漫画を連載)
これに反応したのが日本の人気漫画を中国語に翻訳している『鼠絵漢化組』の微博アカウント。自分たちの翻訳物が勝手に雑誌に載せられていることを知った彼らは、雑誌の売上を伸ばすために日本から著作権を貰ったと嘘まで吐く『漫画少年』のやり口を恥ずべき海賊版商法だ。と強く非難。
中国の講談社が発行している勁漫画のアカウントもこれに反応。講談社は中国で『進撃の巨人』の版権をどこにも渡していねぇよと『漫画少年』との関係を完全否定。
この『漫画少年』の裏表紙を見るに、『日本から権利を貰』った作品は『進撃の巨人』に限らず、掲載作品全てのことを言っているようなので、講談社側が事を荒立てれば他の漫画にも問題は波及するんじゃないでしょうか。
日本の漫画を勝手に載せている雑誌なんて今までたくさんありました。『ワンピース』と『名探偵コナン』と『RATMAN』(少年エース)を載せ、出版社の垣根を取っ払った雑誌なんかもありましたし、そもそも海賊版が横行している社会なのですから、権利云々さえ書いていなければ目を付けられることはなかったでしょう。
あと、無断で翻訳が使われたと怒る『鼠絵漢化組』に対して微博では、勝手に漫画を中国語に翻訳するのもどうなのよ?という綺麗なブーメランが返ってきましたが、ネットはビジネス的な利益が出ないから大丈夫というよく分からない答えでそれを退けていました。本家の講談社が出てきた以上、とばっちりを食らう可能性もあるからしばらくは黙っていた方が良いと思いますけどね。
同じ業界に本家がいるにも関わらずオリジナルを名乗るその大胆な手口もさることながら、それを指摘した側もグレーだったという一体どこに視点を据えれば良いのかわからない、ひとつの事件に問題がとっ散らかった著作権問題でした。
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