中国語の推理小説の発展と発掘を掲げた『島田荘司推理小説賞』が再び開催されました。
今回の応募総数は65作品。そのほとんどは台湾と中国大陸や香港からでしたが、他にもマレーシア、カナダ、イギリス、ニュージーランドからの応募がありました。
応募作品は前回の数を超えただけではなく、より多くの国の作家が参加しし、作品のテーマもさらに豊富で多彩となっています。
1次予選を通過したのは次の9作品です。
台湾からは冷言の『反向演化』、陳嘉振の『設計殺人』、林斯諺の『無名之女』が選ばれました。
中国大陸では連環の『結界之径』、江成の『再見、雪国』、王稼駿の『簒改』、雷鈞の『妙計』が予選を突破。
更に香港からは陳浩基の『遺忘・刑警』、カナダからは文善の『客西馬尼』(注:ゲッセマネ)が1次選考を通過しています。
これら9作品は既に第2選考の段階に入っているようです。
選考委員には台湾の著名作家の詹宏志、映画評論家の景翔、そして日本からはミステリ評論家の玉田誠(注:寵物先生の虚擬街頭漂流記などを翻訳した人)が名を連ねています。
彼らに選ばれた3作品が最終候補作品として残り、大賞作品は島田荘司自身によって選ばれます。
第1回受賞作品の『虚擬街頭漂流記』は近未来の台湾が舞台でした。バーチャルリアリティの技術を用いて再現された仮想都市で起きた殺人事件が現実と仮想を行き来し、明快な推理と読者の情感に訴える物語が備わった上質なSFミステリです。
第1回では最終候補に残れなかった陳嘉振と王稼駿が雪辱を果たすのか。それとも惜しくも大賞を逃した林斯諺が栄冠を勝ち取るのか。
個人的には林斯諺に勝ち残って欲しいですが、大陸勢にも頑張ってもらいたいです。