夢オチ、楽屋オチ、爆発オチとオチにはいろいろな種類があるけど次に来るジャンルは「シャブオチ」になるんじゃないだろうか。
実は夢でしたってのが夢オチ、どうしてもオチが思い付かなくて無理矢理終わらせてしまうのが爆発オチだけど、実はクスリキメてましたっていうのがシャブオチ。漫画の神様 手塚治虫先生もこれは禁止してはいないだろう。
漫画の内容は極めて単純。
物語は主人公ケンジ君の平凡な日常生活を描くだけなんだけど、毎回話の途中で何かが起こってケンジ君の心が折れちゃってクスリに逃げる。そこから非日常的な展開になるんだけど、ケンジ君がいつクスリをキメたのかは読者に見せないように描いている。
夢オチ漫画だと、主人公が片思いしている女の子が何の脈絡もなく主人公に言い寄って来たら「ああ、これは夢だな」と読者が気付くように、シャブオチの漫画にも読者にそれとなく訴えるような書き込みがある。
コマの片隅に『緑色のチョウ』とか『身の丈もあるカマドウマ』『パースの狂った人間』『ヒレの生えたウサギ』とかが出てきたり、コマ割りがグニャグニャしてたりするのがあると読者は「ああ、ここからもうクスリキメてんだな」って判断することができる。しかしコマの異変が途中から始まるとも限らない。一コマ目からいきなり身長三メートルの博士が『紫色のさなぎ』に黄色の液体を注射しているっていう展開もあり得る。
でもオチは決まっている。ケンジ君がラストのコマでクスリが切れて禁断症状が出てガタガタ震えていたり、道ばたでヨダレを垂らして寝ているのが出てきてお仕舞い。次号に続く。
こういう展開もアリだ。
主人公ケンジ君はどこにでもいる普通の少年。普通の人と違うところはちょっと小金を持ってるってとこかな。それでイヤなことがあったりすると夜の街角に立っている片言の中東人に助けを求めるんだ。
ケンジ「バイニ~ン、崖の上のポニョのチケットが手に入らなかったよ~~」
中東人「ハイ、エルエスディ~。コレデ映画ヨリモットオモシロイモノガミレマスヨ~」
シチュエーションによってバイニンがくれるクスリは違う。ダイエットしたいときは覚醒剤を、ヌキたいのに風俗に行けなかったときはヘロインをケンジ君に売ります。ケンジ君は基本的に、たいしたことでもないことでクスリキメます。
オチはせっかくイイ気分でいるケンジ君のところに警察が来たり、バイニンに叱られたりする。まぁ簡単に言ってしまえば『ドラえもん方式』です。懲りないケンジ君は反省することもなく次号で再びシャブをキメます。
このシャブオチ漫画、なんとか描けないかな。
作中には残虐な表現とか反社会的な描写は出てくるけど、全部クスリをキメてるときの妄想だから問題なし。しかも「クスリに走ったらこうなる」っていう教訓も含まれているから子どもに読ませたい漫画になること間違いなしだ。
ボクには画力がないから、誰か他の人描いてくれー。