為她準備的好躯殻/著:何襪皮
アマゾンの紹介文に『白夜行』、『白日焔火』(中国の恋愛サスペンス映画。中国のハルピンを舞台にした映画で内容が『白夜行』と似ていることから『東北版白夜行』と言われている)に匹敵すると書かれ三番煎じ扱いされた可哀想な作品。
わざわざ『Give You the Perfect Body』と英語のタイトルまで書かれているのは、作者がアメリカからの帰国子女だからだろうか。
1946年の中国がまだ中華民国だった時代を舞台に、所持品でしか身元が判明できない轢死体の真相を探るという話で、当時の科学知識や捜査手法のハンデを利用し死体の正体を巧妙に隠しているが、大体の読者はその死体が偽物だと気がつくだろう。
だからこそ死んだと思われていた少女とその共犯者の正体をどのように浮かび上がらせていくのかが作品の肝になるのだが、『白夜行』のようなと事前に紹介されているだけあり共犯者の存在は比較的早めに明らかになる。
しかしここに紹介文のミスリードという禁じ手が効いてくる。『白夜行』と同じような内容ならば共犯者はきっと少女と同年代かと思いきや、死体を捏造するのに一番適した男が彼女を助ける役目を担っているのにはややズルいような気がした。先入観も手伝い、この男は囮で本命の少年がどこかに隠れていると最後の最後まで疑ってしまった、
『白夜行のような作品』というのは読者が読後に持つ感想であって、読む前に忠告されるようなものではないだろう。中国ミステリはもういい加減東野圭吾の名前を使って新作を宣伝するのは止めてほしい。