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1983/06/25
職業:
契約社員
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自己紹介:
24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。
副管理人 阿井幸作(あい こうさく)
28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。
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中国サスペンス小説 遺骨档案620 レビュー
2012/02/16 [Thu] 07:38
小説を5冊ほどアマゾンで一気に買った時期があった。しかしアマゾンの評価を参考にして手当たり次第買ったは良いが、実際何が面白いのかわからない。
そこで生の声を聞いてみたくなり微博でその5冊の画像を添付して『最初に何を読んだら良い?』って構ってちゃんみたいな質問をつぶやいたら、ある作家に
『オレの本に決まってるじゃねぇか!!』
って売り込みをかけられた。
そんな読者との距離感ゼロな作家の書いた作品が
【遺骨档案620】
だ。
この本、表紙に
凡一
と
燕南飛
の2名の名前があるとおり、2人の作家による共作である。私にリツイートしてくれたのは凡一の方だ。
この小説、サスペンス小説としてのつかみが秀逸である。まるで欧米サスペンスドラマの出だし数分間のように続きを気にさせる見せ方を意識している。
名探偵と謳われていた刑事の陸凡一は3年前に取調室で起きた容疑者の怪死のせいで警察を除籍させられ、その出来事がトラウマとなって悪夢を見続けるようになり精神病院に通院していた。しかし最近立て続けに起こる女性の顔を剥ぐという猟奇的な連続殺人事件がきっかけで復職することになる。持ち前の推理能力を発揮して瞬く間に事件の核心へ迫る彼だったが、その捜査チームで女ホームズと呼ばれているもう一人の名探偵欧陽嘉に実は陸凡一こそが真犯人なのではないかという疑いをかけられる。
疑惑を一笑に付す陸凡一は反撃とばかりに欧陽嘉の怪しい点を挙げて今度は彼女を疑い始める。
次々明らかになる事実は両者が犯人であるという仮説を補強していくことにしかならない。果たして陸凡一と欧陽嘉のどちらかが犯人なのだろうか。それとも全く別の真犯人がいるのだろうか。
名探偵同士が互いを真犯人だと指摘し、虎視眈々と証拠を掴もうとするやや突飛な構成が魅力のサスペンス小説。本書は真犯人の姿が物語後半までなかなか出てこないため、2人の主人公を敵同士にすることで一定の緊張感を保っている。事実、陸凡一が捜査に加わってから事件らしい事件は起こらないので仮想敵が必要なのだ。
死体の顔が剥ぎ取られた意味や、死体に謎の数字を刻んだ犯人の意図などが序盤に推理されることに物足りなさを感じるが、後半にそれらの推論を根底からひっくり返す新事実が明らかになる。また、3年前の事件の謎が今頃になって明らかになるなど伏線の貼り方は見事と言っていい。
物語の最高潮に謎の組織が闖入することさえなければ良いサスペンス小説という評価で終わっていただろう。確かに第三者の存在は早くからほのめかされてはいたものの、いきなり出てきた組織に物語の伏線を全て回収させる荒業は、魅力的な謎や伏線に作者自身が振り回されていた結果なのかもしれない。
本書はシリーズ物であり、既に2作目が出ている。1作目で耐性を付けられたおかげで、2作目にも謎の組織が出てきてこれまでの展開を乱暴にまとめることがあっても、逆に違和感なく受け入れられそうだ。このあたりがシリーズ物の強みなのかもしれない。
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