中国の上海では2016年8月17日から8月23日まで上海書展(以下、上海ブックフェア)が開かれました。中国全土の出版社が集まり膨大な数の本を展示・販売するこの会では今年も世界各国から有名な作家がトークショーやサイン会をするために訪中し、日本からは吉田修一や伊坂幸太郎が来ました。
そこで私はブックフェア見学及び今回のサイン会などのために集まる中国人のミステリ小説家や読者と交流を深めるために8月18日から22日までの間に上海に滞在しました。
ブログではこの4日間の様子を写真を交えて報告いたします。
18日朝、北京南駅から時速300キロ以上出る高速鉄道に乗り5時間ほどかけて上海の虹橋駅に着いたのは12時過ぎ。そのままホテルへ直行しました。
ホテルは北新径にある『藍色国際青年旅舎』というユースホステルに泊まれるよう友人に手配して貰っていました。6人部屋を借り、4泊5日で一人500元という格安であるにも関わらず部屋はとても清潔でした。(場所や時期によるが普通のビジネスホテルは一泊200元から300元ぐらいかかる)
それからしばらく一服して14時に上海の静安路にある上海展覧中心(以下、上海展覧センター)で開催されている上海ブックフェアへ向かいました。チケットは1人10元(夜の参観料は5元になる)。ブックフェアは入場するまでが非常に難儀で、チケット購入で列に並び、手荷物検査でも列に並ぶためサイン会などのイベントに参加する予定がある人はこれを考慮しなければなりません。慣れた人は事前にチケットを大量購入しています。(会場の周りにはだふ屋もいて1枚20元でチケットを売っている。感覚としては2014年より減った気がする。)
18日は平日だったのでそれほど長く列に並ばずにすみ、会場入りできました。
そしてチラチラと各ブースを見て回り、15時には世紀文叡と日本のディスカヴァー・トゥエンティワンの合同イベント『与文野初一起写作-中日虚擬偶像作家写作団中国発布会』(文野はじめと一緒の執筆-日中2次元アイドル作家執筆団体の中国発表会)を見学。
ディスカヴァー・トゥエンティワンの社長干場弓子さんがNOVELiDOL文野はじめの中国進出を語り、スクリーンにはPVが映しだされます。(文野はじめについてはここ参照)
上が日本バージョンの文野はじめで下が中国バージョンなのですが、私はロングヘアーの中国バージョンがタイプですね。というか、中国バージョンの方が幼く見える気が…
その後、中国での文野はじめのパートナー(こういう言い方で良いのか?)となる2人の若手作家・明珠と李想が登場し小規模ながらもサイン会が始まりました。私自身、文野はじめなんて知らなかったし、どういう形態の小説なのかよく理解できませんでしたがなんか斬新なことしているなと感動して、10代後半の女の子や小学生ぐらいの少年たちに混ざってどちらの本も購入してサインをもらいました。
この企画についてわからないことがあります。李想の本は『杉樹種在肺里 我把它做成了小提琴』(肺に生えた杉の木 ボクはそれをバイオリンにした)と言い、明珠の本は『少年明珠的奇幻之旅』(少年明珠の不思議な旅)と言うのですが、ネットを検索してみますと李想はこの本と全く同じ内容の作品を2014年に『杉』というタイトルで発表しています。また明珠の方は2012年に発表した『大師作品』が今回の作品と同じようです。
李想の本。あらすじを見る限り同じ内容のようです。(参照:https://book.douban.com/subject/25819503/)
明珠の本。目次が今回の本と一緒。(参照:https://book.douban.com/subject/19960150/)
私はてっきり未発表の新作が採用されたと思っていたのですがどうも違うようです。このアタリについてはあとでまた調べてみたいです。
世紀文景出版社のイベント 吉田修一のサイン会のポスター。
吉田先生の座談会及びサイン会は17日と18日にあったのですが私は時間の関係上参加できませんでした。参加者の話だと吉田先生はツーショット写真もOKしてくれてとても優しかったと言うことです。
そのあとは友人たちと食事会。何故か上海で中国の東北料理を食べるということになりました。美味しかったのですが違和感が拭えませんでした。ただしさすがは上海、東北料理レストランであってもメニューに紹興酒があったのには驚きました。
ホテルに戻ってからは部屋でルームメイトと二次会。部屋には机がないので余っているロッカーを倒してそれを机代わりにし酒やツマミを並べました。あるものを使って機転を利かせる行動が貧乏旅行っぽくて楽しかったです。
今回ルームメイトとなった友人は、このホテルを予約してくれた福建在住の大学生で社交的なミステリ好き・NiaNNNNNNNNN君(Nの数が安定しない)、天津在住の大学生で国内外のミステリ小説家のサイン本をコレクションしている・棄之竹君(日本語ちょっとできる)、北京在住の大学生で8月19日及び21日にある限定50名の伊坂幸太郎座談会にどちらも行けたラッキーマン・灯証君(日本語勉強中)、編集者兼評論家で武侠小説やミステリ小説に詳しい華斯比の4人です。彼らがいたおかげで今回の上海旅行が楽しく充実したものになりました。
次回は2日目の19日の報告をします。この日はブックフェアには行かずルームメイトと一緒に日本の古本が売っている本屋に寄り、彼らの日本書籍への熱烈な関心を目の当たりにしました。