友人たちと北京の郊外にある洞窟に遠足に行くことになりまして。
まぁ友人と言っても会社の元同僚で、嗚呼半ば逃げるような形で会社を辞めることになってしまって迷惑を掛けて申し訳ございやせんって今なお罪悪感を覚えている人たちです。
日曜の朝七時に駅集合なので23時を回ったときに寝る準備をしていたら元同僚のAクンから電話がかかってきまして。
A「阿井さん明日ですけど大丈夫ですかー」
ボク「あーそろそろ寝るところだよ」
A「そうですかーところで弁当ですけどちゃんと作ってきてくださいよー」
この遠足の情報は携帯電話のメールでやり取りしていまして、時刻や待ち合わせ場所が書かれた中国語の文面の後ろに確かにローマ字で『kakuji ryouri tukutte mottekite kudasai』っていう補足がありました。
でも、弁当なんて作るのも面倒だし材料を揃えるのも大変だし、そもそも何が楽しくて弁当持って行くんだよと無視した。
ボク「コンビニのオニギリとかサンドイッチにするよ。作るの面倒だし」
A「えっ?違いますよ。みんなで料理作ってオカズ分け合うんですよ」
(°Д°)ハァ?
なにその浮かれた女子高生みたいな企画は?けいおん!!か?今週そんな話だったのか?
A「ちなみにボクはみんなの分のおにぎり作っていきますけどね」
聞いてねぇよ、つーかなに君はちょっと楽な作業選んでるんだよ!!
A「阿井さんはどうしますか?」
ボク「どうしますかも何も初耳だよ。なんだよ弁当って、そんなもん自分が食べる分だけ作ればいいじゃん」
A「えー今からなんとかなりませんかね?」
ボク「いま夜の11時だよ。ウチの近所に24時間営業のスーパーはねぇよ!つーか北京にねぇよ!オレの問題を解決してくれる店はよ!」
結局お菓子を持ってくることで許してもらいました。
最悪です。ボク以外の全員がお弁当を作る気満々だそうです。そんな中ボク一人だけポッキーで済まそうとしているんですよ。また新しく謝ることが増えました。
嗚呼、金曜日にかかってきたAクンからの電話に気付けば良かった。メンドイからかけ直さなかったんだよなぁ。
しかし今回の件って遠足にかける情熱とか温度差以前に、社内と社外の距離感を思い知らされましたね。
そりゃ他の人たちはみんな毎日会社で顔を合わせるから計画も立てられるし、話を進めてテンションも上がって張り切ってお弁当を作ろうっていう気持ちになるでしょう。一緒に買い出しに行って料理を作っている人たちもいるかもしれません。
でもボクはずっと一人だったんですよ。
はっきり言えばボクだけ部外者なんですよ!!
毎日三食一人で食べてる人間に、他所様に食べさせる弁当を作るなんて考えはないよ!!
昨日の晩飯スイカだぜ?そんな人間に、みんなで仲良く楽しくやろうよっていうけいおん!!みたいな幸福感は思い至らないし理解できないよ。
結局ボクは遠足して洞窟を見ること、つまり一人でも可能なことを目的にしていて、他の人はみんなで遠足に行ってお弁当を食べて洞窟も見るっていう空気感を楽しみにしていたんですね。ボクもみんなも遠足を口実にはしていますが、最終着陸地点はこんなに違うんですよね。
本当にボクなんか、軽音楽をやりたくて軽音楽部に入部したら他の部員はお茶してケーキ食べてガールズトークばかりで肝心のバンド活動なんか副業感覚でたまにしかやらないから怒ってばかりいる初期のあずにゃんみたいなもんですよ!!
つーか日曜ってライブハウスでアニソンカラオケ大会じゃなかったっけ?あーそっち行けば良かったわ。洞窟よりよっぽど湿気てるし暗いしさ!何よりけいおん!!っぽいじゃん!
とコレは出発前日の土曜深夜に書きまして、これ書き終えたときにしゃおりんさんから『昨日のカラオケ大会盛り上がりましたよー』って知らせが来た。うっかり過ぎだよオレ……
なんだかんだで当日は面白かったです。ボクの他にも料理作ってない人がいたので安心もしました。
さて、幹事から「洞窟に行く」とだけ聞かされていて具体的な場所は到着してから知ることになった。そしたら着いた先が京东大溶洞という北京では有名な鍾乳洞。外が35度を超す真夏日なのに洞窟内の内部は10数度という冷気で支配されている。観光客はまとまった数の団体となり当地のガイドに引率されて30分ほど洞窟内を探索するので、半袖短パンじゃ若干さぶい。
鍾乳洞は写真撮影が禁止されていたので(だけどみんな撮ってた)ここで写真を公開することはできない。内部には15億年をかけてできた鍾乳石が人間や動物などの様々な姿に形成されていて、それら自然な彫像が各所でライトアップされている。しかしあまりの『それっぽさ』に、まさかコレ自分で彫ったんじゃないかと疑惑の眼差しを向けざるをえない。
洞 窟の廊下は坑道のようにゴツゴツした壁面で、岩肌に触れると冷たく濡れている。その壁面からは飴色をしたこぶし大の丸い石英が出ており、濡れて滑りやすい 廊下を進むために掴むのに丁度良いサイズで、これもヒンヤリスベスベしていてとても気持ちが良い。しかし団体客がみんな触っていくので一部の石がやけに生 暖かい。
まぁなんだかんだ行く前に一人で悩んで文句を言ってましたが楽しい日帰り旅行でした。いまなんか毎日が日曜日状態で腐っちゃいそうだから、こういった旅行とかでメリハリつけた方が良いですね。同僚たちに感謝です。
なんで行く前の深夜にけいおんけいおんと連呼していたのかは、いまになって考えても全くよくわかりません。