CANDY 糖果 著/喜喜果
講談社の『勁漫画』に連載されていたラブコメファンタジー作品のコミックスです。
少女イブは森で小人と出会い、彼が落としたキャンディーを口にする。しかしそのキャンディーは精霊が宿る木の実で、そのせいで彼女の頭からは植物の芽が生え、更に体を精霊に乗っ取られてしまう。そして乗り移った精霊によって自身が毛嫌いしている『ロン毛野郎』ことオーズ医師に告白してしまうことに。精霊からオーズ医師と結婚すれば体から出て行くことを告げられたイブは嫌々ながら精霊の誘いに乗ることに。
だが小人から結婚しても精霊は出て行くことはなく、しかもこのままだと精霊の力の影響で村全体に累が及ぶと警告されたイブは半ば強制的に小人とともに森へ入る。そしてイブの身を案じたオーズ医師は彼女を追って森へと向かうが……
ストーリー展開以上に絵とマンガ表現の巧さに驚かされる作品でした。キャラのデフォルメも上手に描けています。
嫌いと無関心の関係性から徐々に打ち解けて惹かれ合っていくという王道展開もさることながら、終盤で実は出会った当初は二人はまだ仲が良かったという過去が提示され、イブのツンデレっぷりがより際立つストーリー展開となっています。
考えられたストーリー構成だなと感心する反面、重要人物が途中でフェイドアウトしたまま再登場しなかったり、目指していた場所に結局行かなかったりなど伏線が回収できていなかった点(回収する必要がなかった?)にはやや不満が残りました。
ただし総合的に見て非常にレベルが高い作品でした。また作者喜喜果はラブコメもファンタジーもギャグも、更には動きのある絵も描けるので、原作をつけるか、指導をすればとんでもなく化けるんじゃないかと思います。もしかすると今後日本で作品を発表することがあるかもしれません。