7月30日と31日に休日を利用して香港に行ってきた。
実は香港に行くこと自体が目的の今回の小旅行。土曜はシンセンに宿泊して、翌日の日曜に香港に行ってその日の夕方にシンセンに戻るという日帰り旅行だ。
余りの疲労と熱気で夏バテを起こしたおかげで、香港へ行く前日まではシンセンから香港への出国ゲートをくぐったら踵を返して中国に再入国してやろう、とすら考えていた。
ただ、日帰りとは言え香港旅行なのでそれなりに満喫しなければ損。
そこでシンセンのホテルでネットを繋ぎ、香港についていろいろ調べているうちに変わったイベントの情報を発見する
それが『香港動漫電玩節』だ。
今年の7月29日~8月2日までの間、香港の香港島では『香港動漫電玩節』というビックなアニメフェアが開かれていた。
特にこれと言った目的もないボクはこれに参加することに決めた。
たった5日しか開かれないイベントに参加できるなんて、考えようによってはタイガーバームやディズニーランドに行くよりも貴重な体験と言えなくもない。
1枚30香港ドル(約308円)
会場から湾仔駅は近いとは言え、そこは土地勘ゼロの旅行者。更に香港の共通語である広東語も英語も話せないので道も聞けない。
とりあえず『それ』っぽい人たちの後を付いていくことにする。
警察署の壁に子どもたちが描いた防犯ポスターが貼られていた。この絵を辿っていけば会場に着くんじゃないだろうか。
『それ』っぽい人の姿を見失い道に迷ってウロウロしていると、こんな案内標識をいくつも見つけた。どうやら矢印通りに進んでいけば会場に行けるらしい。
標識に案内されるまま進んでいくと『仲間』が増えてきた。歩道には即席のガードレールが設置され、そこかしこには警備員の姿がある。通行整理の規模からこのアニメフェスがただのイベントじゃないことが薄々わかってきた。
そしてついに入場。
完全に舐めてた。なんなんだこの黒山は。会場内にブースがいくつあるのかなんて数え切れない。
アニメ・漫画関係のみならずゲームのコーナーも多数設置されていた。
Xboxのキネクトを体験することもできる。
ブースの大きさから日本の出版社が全面協力していることが伺える。集英社や講談社、小学館、秋田書店、スクエニ等の主力出版社はほとんど参加しているようだ。
そして少年漫画だけではなく青年雑誌のコミックも豊富、並んでいる漫画はもちろん全て正規版だ。1冊40香港ドル(約400円)程度である。
闇金ウシジマくんこと吸血耳窿。
耳窿とは広東語で『ピアス』を表すようだが、『大耳窿』という『高利貸し』を意味する言葉があるらしい。
帯には18歳未満禁止の注意書きがある。
アニメイトのブースもあった。フィギュアが山のように積まれている。雑誌の付録が4つで100香港ドル(約1000円)の値段で売られていた。
イベントやサイン会のプログラム表。香港人作家の名前がほとんどだが、日本人の名前もある。
18:00からイベントが予定されている『中島愛』とは『マクロスF』のランカ・リーの声優さんだ。
サイン会のブースに足を運んだとき、ライトノベル『C3‐シーキューブ』の作者・水瀬葉月先生のサイン会が行われていた。
名前とは裏腹に意外とイケメンだ。
そしてもう1人のイケメン(映像だけど)、香港人漫画家の陳某だ。
彼の作品『火鳳燎原』は日本語訳にもなっているので、知っている方もいるだろう。
三国志の司馬懿を主人公にした本作品は香港の漫画雑誌上で、2001年から連載されている大長編漫画である。
だが香港漫画=池上遼一という十年来の先入観があるので、どうしても『覇‐LORD』が頭に浮かんでしまう。
しかし池上遼一と比べると陳某が描く漫画の線は柔らかく、キャラクターも『男臭い』というより『男らしい』雰囲気に留まっている。肝心の漫画を読んでいないので詳しいことは言えないが、古い香港漫画(池上遼一作風)が劇画調を脱して新しい画風に進化する過渡期のような印象があった。
さて、会場にはもう1人の香港人漫画家のブースがあった。それが李志清だ。
武狭小説家・金庸の原作『射雕英雄伝』を漫画化した彼の代表作品は日本でも翻訳出版されている。
有名なベテラン漫画家で、初日の7月29日にはサイン会も開かれたのだが今回のフェスにはやや場違いだったらしい。ブースは閑古鳥が鳴いていた。
あまりに暇なのかブースの中でスタッフが漫画を読んでいる。彼女が読んでいる漫画が李志清のものなのかは判断つかない。
こっからコスプレタイム
目の前を歩いていた『ワンピース』のエース
同じく目の前を歩いていた『らき☆すた』の4人組(写真には写っていないが、先頭にはピンク色の髪のレイヤーがいる)。原作じゃ一番背が高いキャラが小さくて、こなたが一番デカかった。
アグネスって香港人なんだよなぁ……
・総括・
6時間程度の香港旅行は物の値段に圧倒されてばかりだった。
例えばセブンイレブンで売られていたサントリーの極品ウーロン茶は9香港ドル(約90円)。北京の定価3元(36円)のウーロン茶と比べると、買うのを少しためらうレベルである。(ちなみにシンセンでは4,5元で売られていた)
ライトノベル『涼宮ハルヒの驚愕』を中国大陸で買うと1冊20元(243円)だが、ここ香港では50香港ドル(500円)という2倍の価格がつけられている。
漫画コミックスも同じ正規版でも、大陸と香港には価格の上で大きな差があった。
しかし香港の物価が大陸と比べて高いからこそ、これほどの規模のフェスが開けるのだろう。
フェスの帰り道。漫画のイラストが描かれた出版社の公式バッグを手に提げて、グッズの詰まったリュックを背負い、『ブリーチ』の斬魄刀を腰に差す香港人オタクたちの姿があった。
北京から来た日本人のボクには香港人オタクの経済力がまぶしく見えた。
・おまけ・
フェスの唯一の戦利品が、この伊藤潤二と木原浩勝のコラボ怪談集『怪、刺す』。
表紙に書かれた『話刺・木原浩勝』『絵刺・伊藤潤二』の意味が当初全然わからなかった。
調べてみたらオリジナルの『はな刺・木原浩勝』『刺し絵・伊藤潤二』を再現しているようだ。
オリジナルのフォントいじりも再現。
ちなみにこれも18禁である。香港とは言えまるっきり自由というわけにもいかないらしい。