紙数は120ページで掲載作品は8作品。では作品全てショートストーリーなのかと思いきや、ここらへんが非常に中国の漫画らしい。『勁漫画』は知音と同様に1ページの誌面に4ページの漫画を縮小させて掲載しているのだ。
つまり1作品につき30ページ程度というボリュームが保証されている。アニメージュぐらいのサイズの漫画雑誌を8元という価格に抑えているのはこういう理由があるのだろう。
肝心の掲載漫画だがどれも一様に絵が上手い。そして子供向けから青年向けまでひと通り揃っているという感じだ。特に面白そうだったのが、映画CUBEみたいな展開から目が離せなさそうな学園漫画『核心防衛 Heart Defence』と、ロボットと超能力が混在する近未来で起こる犯罪を捜査するミステリ漫画『CARRIER 携帯者』だ。
仮想空間に仕掛けられた生死をかけたサバイバルゲーム
何故か通常サイズの『CARRIER 携帯者』
しかしせっかく講談社が協力しているのに『流亡民』(Liumang チンピラという意味)が主人公の漫画がなかったのが物足りない。講談社と言ったらチンピラ、ヤンキー漫画だろうに。
そして日本からのゲスト漫画がなかったのも少々意外だった。『真正的原創少年漫画雑誌』(ホントウのオリジナル少年漫画雑誌)と表紙に大々的に書いているように、作家全員中国勢で固めるのだろうか。
唯一誌面に登場した日本人漫画家は『RAVE』や『フェアリーテイル』などで有名な真島ヒロだけだ。だが真島先生も読者プレゼントのサイン色紙と、購入者特典のポスターとクリアファイルにイラストを描いているだけであり、掲載陣に名を連ねてはいない。
角川天漫と比べ『勁漫画』には日本の出版元の色が薄い。確かに『勁漫画』(Jin Manhua)は雑誌名こそ『マガジン』とかけているようだが、殊更に講談社の漫画を宣伝、または中国語に訳して転載することはないみたいだ。
裏表紙がAnimateの広告で他雑誌のアニメ店長のキャラクターが堂々と載っていたり、そのキャッチコピーには『銀魂』、『Fate/Zero』、『初音ミクシリーズ』、『夏目友人帳』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『ONE PIECE』など数十作品のグッズが絶賛発売中!などと器用に講談社系作品を抜いているあたり、広告すら掲載誌や出版元への配慮などないようだ。
2012年1月6日OPENと 明らかに使い回しの表紙裏
中国では珍しくコンビニで漫画を売ることに決めた『勁漫画』には今後も中国で新しい概念を打ち立てて欲しい。とりあえず漫画がコンビニで買えるという認識が広がるまで苦しい戦いになりそうな気がする。私は本誌をセブン・イレブンで見つけたが、中国のローカルコンビニでも売られているかどうかは不明だ。
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